夢見るタンポポおばさん

富士山麓の風景、花の写真。エッセイ。

幸せを祈って

2012-05-26 22:05:41 | 日記・エッセイ・コラム

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今日五月二十六日は、私が三十数年前初めて母親になった日です。

偶然ですが、私の父方の祖母の命日です。

祖母とは、二十二年一緒に生活しました。

三人の兄の後に生まれた末っ子の私をとても大切に育ててくれました。

姉が生後間もなく亡くなったこともあったと思いますが、とにかくとても丁寧に、手塩にかけて慈しんで下さいました。

祖母の優しい穏やかな微笑み、言葉使いや、動作も子供心に周りのおばあさん達と違って上品に感じて、私の自慢の祖母でした。

優しかった祖母ですが、躾はかなりしっかりしていて、特に掃除は徹底していました。

小学校の四年位の時に、帰宅後近所のお姉さん達と遊ぼうとして「掃除は今朝登校前にやりました。」と言うと、「御飯は一日三回食べるでしょう?」と教えられました。

朝、登校前に掃除。下校後も掃除。

当時は悲しく思っていましたが、私の生家は、私が現在住んでいる家の十倍も広い屋敷ですから、庭の落ち葉掃き等に、猫の手も借りたい程だったのだろうと思います。

私が大学四年生の時の五月二十六日、祖母は、歯の治療を受けて帰宅後、座敷に休んでいました。

夕方義姉が「夕飯ですよ。」と起こしに行くと布団の中で亡くなっていたそうです。

その日の朝、私の夢の中で枕元に穏やかな微笑を浮かべた祖母が立っていて、まるで観音様のようだったので、「おばあちゃん」と声を掛けて目覚めました。お別れに来てくれたのだと思います。

私の初めての出産が祖母の命日と言うのも、祖母と私の結び付きの深さを象徴していると思っています。

今日の写真は、私の母親(享年67才)が晩年数百枚書き残した般若心経の写経です。毛筆で書いています。この写経を書いた時は65才。

母は亡くなる18日前まで炎天下重いお茶の袋を担いでいました。

写経はみんなの幸せと心の平安を求めて続けていたようです。