お爺さんの贈り物
今日は私の父方の祖父萬作の命日です。
昭和36年11月16日に67才で逝去しました。
内孫の私は8歳。小学生でした。
亡くなる迄一緒に生活していましたが、8歳の私から見てもとても良い人。
祖父の齢を超えて、68才の老人になった私が見ても、
一言で表現すると、『好々爺』。
言葉通りの優しくて、善意に溢れた老人でした。
お爺さんの贈り物
祖父が亡くなってから凡そ四半世紀経った或る夜の出来事です。
当時沼津市郊外の新興住宅地に住んで、
富士市の外れの会社に通勤していた夫のバイクが、
町外れで突然パンクしてしまって困っていたそうです。
もう夕暮れ時を過ぎて辺りは暗くなっていました。
ポツンと灯りの点いている自転車屋さん迄バイクを引いて歩いて行きました。
店のオジサンが出て来て、「どこまで帰るの」と聞いたので、
夫が家の住所を言うと、突然私の祖父の名前を出して、
Г萬作さんを知っている?」
「次郎長みたいな人だった。」Гとても世話になった」とオジサン。
夫が、Г萬作は、家内の祖父です。」と言うと、
Гとても良い人だった。」Гあの人には世話になった。」と何度も言いながらパンクしているバイクを
丁寧に直してくれました。
お爺さんの贈り物ですね……
夫は私の祖父には逢ったことも見たことも無いのですが、
亡くなってから二十数年経っても、人の心に残っている祖父の面影を見たことと思います。