いつものように 、夕食後「館中散歩」と称して車いすで館内をうろうろし、窓から夜景を鑑賞した。
今夜は十五夜か。寒そうな夜空に満月が煌々と輝き言葉を失った。
寒い夜は湿度が低く月の光も真っ直ぐに地上に届く。
オソマツ君は、若いころ、冬、よくスキーに出かけていた。
スキー場は貧弱で不満だったが、何と言っても近くて民宿に泊まれば安いので、美濃の民宿に泊まることが多かった。
数人の友人と車2台で、1台は女子もう1台が男子で民宿も2軒にお世話になった。
そんな時夕食後、友人と女子の民宿を訪ね、
『何か困っていることは無いか?』などと、戸外で震えながら立ち話をしたものだ。
そんな時お月様の美しさに腰を抜かし、お月様に向かって話しかけたり、 お月様の返事を聞いたような気がしたものだ。
オソマツながら、あれもオソマツ君の、青春の一コマということだろう。
今夜お月様を見てそんなことを思い出していた。(T)