
外出先で立寄った温室の中、外で吹き荒れる春の嵐の厳しさは微塵ほども無い心地よい暖かさ。そしてたくさんの花が咲きそろい春真っ盛り。時おり風の音が聞こえてもそこは別天地というにふさわしい。
心地よい温室の中はむせぶような花の香りがただよう。訪れた人たちはそのなかで丁寧に見て回っている。値札を見ながら考える人もいる。温室は暖と和みがうまくかみ合い幸せを感じさせる。
温室は暖地の植物を栽培したり、時期外れの開花や結実を狙って考えられたもで、温度を高めに維持すように考案されている。いまでは化石燃料もその手段として用いられている。これを使用した農業は「先端」という評価もある。
それとは逆に、温室を頭にいただく言葉にあまりいいイメージは無い。温室効果に温室効果ガスは環境の悪化を語るとき、温室育ちは軽いねたみも含んで頼りない人を表す代名詞のひとつになっている。
このところ首相は小泉・安倍・福田・麻生と4代続けて2世3世などの議員が就任。耳学問では庶民的な苦労など知らないままに育った方々と思う。それがいけないわけではないが、圧倒的多数の庶民が経験する世間の波にもまれることは少ない。
真面目に働いても将来の生活や医療、教育や育児に就労などで、先行きの不安が蓄積されている。温室の中にいる人たちへこうした風を届けるのはその扉を開けることだ、温室から出るとき吹き込んだ冷たい風をさけながらそう感じた。
(写真:春たけなわな温室の風景)