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毎朝、5時過ぎに朝刊を取りに玄関を出る。ある朝、子ツバメ1羽が電線にいる。見ていると、きょろきょろと首を振っては飛び立ち、私の目の届く範囲を旋回しては戻ってくる。
翌日もその翌日も同じ。するとなにか親しみが湧き「お早う」と声をかける。それへの返事だろうか旋回を見せてくれる。見つめていて飽きない。それは、帰省した孫が、部屋の中を大きく成ったと転げるように駆けていた幼少のころに重なる。ツバメのような速さはないが、精一杯、爺ちゃんを喜ばせようとする気持ちが表れていた。
子ツバメを保護したことや外敵から守ったこと、巣の補修をしたことなど、ツバメとの交流を伝える温かい文章をツバメのシーズン中にはよく目にする。そんな交流の様子を思いながら旋回を見ている。
親ツバメが子ツバメのそばを「ついて来い」とすり抜ける。子ツバメは後を追う。戻ってくる間隔がだんだんと延びる。
その様子がある雨の朝から見られなくなった。きっと独り立ちしたのだと思う。それにしても毎朝、同じ所で待っていてくれたことが不思議で、どこかを飛んでいる子ツバメにエールを送る。