
「さげもん展」の開催案内に私も出品(掲載の写真)しています、と添え書きがあった。会場は我が家から徒歩で1200歩ほど、ミニ散歩を兼ねて出かけた。出品者は、随筆を書いて投稿、地域にある保育園の保母、おばあちゃん役でもある快活な人。本場・柳川のさげもんも展示されていた。
「さげもん」、初めて耳にしたときは何のことかわからず聞き返したら「知らんのか」と笑われた記憶がある。それは福岡県柳川市に伝わる風習で吊るし飾りのひとつだと知ったのはしばらく経ってからだった。最近、名勝・錦帯橋近くの観光施設で定期的にさげもん展が開かれる。この日も、多くの観光の人らが熱心に鑑賞されていた。
女の子の生まれた家庭に一生の幸せを願い母方の親戚、母、祖母が用意したという。展示されている作品はいずれも丁寧な細工と糸の鮮やかな色彩の組み合わせが見事というしかない。会場を訪れた人はとにかく撮る、撮る、撮る、スマホが大活躍をしている。そんな中、デジカメで撮っているのは私だけ、ちょっと気が引けた。
吊るし飾りは7列7個の49個、人生50年といわれた時代、女性は一歩引いて49年と配慮したためと説明がある。今ならちょっと口にできないいわれが秘められているようだが、歴史をしのばせる。こうした伝統工芸品を眺めると心静かな気になるのはよわいを重ねたからか。
(今日の575) さげもんに手業の極致教えられ