ユビキタスとは何か―情報・技術・人間 (岩波新書 新赤版 1080)坂村 健岩波書店このアイテムの詳細を見る |
ユビキタス社会の実現に向けての手段や、実運用への試験的な事例、運用に向け社会全般的なインフラの整備、制度の整備などについて記述されている。運用に向けてのICカード、RFIDの用途については、物、人、場所の管理の為に使うことが考察されているが、その内容はあくまでも概要で研究段階のものを解かり易く書いている。
解かり易いが、内容の濃さが薄いのでインパクトにかけ、ユビキタス社会の有効性とメリットをイメージするには、力不足という印象でした。
128ビットのUコードを使って無限大に近い数量の個別管理が可能となる。物や物流過程、トレーサビリティは巷でもうたわれているが、人の感性、体質、特性などを配慮してICチップにより家電製品などに情報を展開する。やり方によっては、人の感性までデータベース化すること可能ということで、利用方法によっては、有効に機能する便利な環境を作ることができるのだと期待感も増します。ただ現状の物流などでのRFIDを使ったシステムとコストパフォーマンスを考えると本当の意味での実用にはもう数年、著者の書いているUコードを使っての実用化には10年ほど掛かるというのは理解できる。またそれにあわせて一部のものが絶対的な利権を行使して、その市場を占有し独占することが無い様Uコードは十分に用意されているとのことだか、国の制度を整備し社会、民間企業がインフラ面を充実されることも必要とのことで、その設備投資は多大なものだと思った。
ユビキタスについてのコンセプト的な理解はできるがその具体的な実用性については少々現実とまだ離れているという印象もあり、具体的な実用例をもう少し詳しく記述されていると面白みが沸くと感じた。著者の言いたいことが、環境面や利用範囲を記すと同時に国としての制度の整備の実現が無いと有効なユビキタス社会を実現できないという面であり、どちらかと言うと著者の提言と現状の進み具合の報告という印象でした。