思考の整理学 (ちくま文庫) | |
外山 滋比古 | |
筑摩書房 |
思考の整理学を読み返してみた。
エッセイを読みたいと思い、久しぶりに手にとってみた。
前回読んだ時の印象が残ってなく、書評が非常に良かったので、
相当期待したがいたって普通のこたが書かれている印象だった。
今回、ゆっくりと言葉ひとつひとつの意味するところを
考えながら読んだ。
思考についての見識に深みがあり、日常の中で、よく
遭遇する考えることへの取り組みを整理する為の、
筆者なりの捉え方、考え方、振る舞いが経験値を
含めて書かれている。
今回、あらためて読んで気づかされたことがいくつかある。
考えたこと、思いついたこと、アイデアなどは、考えついた
その瞬間に表に出すのではなく、少し時間を置いて寝かせて
おく。
瞬間、瞬間では、良い考えと思った事も時間を置く事で真に
良い考えか、自身にも見えてくる。煮詰まった考え、難問に
対する考えも、長い時間考え続けても良い解に結びつかない
事もあり、考え続ける事で、思考を制約する事態にもなる。
そう言った場合、一度、縛りを解き放ち柔軟な状態で考える
ほうが良い考えに行き着く。
このような事は、私自身も日常生活の中で、よく垣間見れる
ケースがあって、良い考えだなと思ったり、これはいい
アイデアと思っても、一日経つと拍子抜けし、数日経つ
と関心が浅くなり、それ以上の考えを見直す事を行わなく
なったりする。
考え、思考というものは、時間をかけて考察を重ねると
熟成され、昇華されて行くものなのだと思う。
思考だけでなく現実の把握には、二段階ある。
実際に目の前にある事象、事実を把握する人の考察なく
直接的に捉える一次的な現実。起きている直接的な現実
に対し人の考察を加えて、解釈した上で把握する二次的
な現実。
冷静に考えれば、その通りで明確に分けて考えたことは
無かったが、様々な人が簡易的に表現できる 場がある
現代では、物事をしっかり捉える為にも意識しておくべき
ことである。
最終章は、筆者の現代社会における思考進める上で周辺環境
含めて危機に感じていることが書かれている。筆者が最も
言いたい事、危機を感じていることを書き綴ったちからの
こもった章である。
この章だけでも読むメリットがある。
このような、思考の捉え方、思考の成長のさせ方を気づかせる
良い本である。各テーマが短い文章量で書かれているので
どこからでも読めるエッセイである。