車泊で「ご当地マンホール」

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特別史跡・閑谷(しずたに)学校~其の二 in 岡山県備前市閑谷

2021年11月19日 08時00分00秒 | 神社仏閣・名所・観光・岡山県

昨日に続いての閑谷学校、校地を出て右に行くと、『津田永忠』が閑谷学校守護の願いを込めて築いた椿山の門に至ります。特別史跡「椿山(つばきやま)」。参道の左右には守護の願いが込められた約400本近いヤブツバキが植えられています。

空気が変わった・・・そんな形容がこれほど相応しい場所はないでしょう。生い茂るツバキの枝は決して出しゃばらず、静かに影を落としています。そう言えば、研修の一環でここを訪れた時、担当講師の話しの中に「武士の世界では椿は嫌われていた。それは花が落ちるさまが首が落ちるようで不吉であるから。しかし、あえて潔さを求める為に池田藩ではこの木を植えた。だが本当の所は、種から取れる椿油が刀を磨く為に最適であったからだ」。それを聞いてもの凄く納得した事を思い出しました。

参道の奥には池田光政公の髪・爪・歯などを納めた供養塚「御納所」が、玉垣の奥、緑の褥の中で大切に祀られています。

お文庫の後方に見える人工の緑地は「火除山」。この西側に学舎や学房(寄宿舎)などがあり、そこからの出火が講堂などに及ばないようにするため、防火の目的でつくられた山です。

「火除山」を右手に見て先に進むと、明治三十八年(1905)に建てられた国登録有形文化財の「旧閑谷中学校」が見えてきます。

明治38年(1905)『江川三郎八』の設計によってに閑谷学校の学房跡地に建てられた「私立閑谷黌(しずたにこう)」

幾多の変遷を経て閑谷校舎は閉鎖され、昭和40年からは青少年教育施設として活用。1991年にセンターが移転した後は、「閑谷学校資料館」として活用されています。

館内の展示はいずれも興味深く、閑谷学校の歩んできた歴史などが仔細に紹介されています。ことに閑谷学校講堂の模型は、決して見ることの出来ない内部の構造などが俯瞰でき、かなりの時間を費やしてしまいました。

入り口近くに建立されていた『西薇山(にしびざん)』先生顕彰碑。薇山の教えを慕う教え子たちによって大正十四年に建立された碑文には、「西薇山(本名毅一)に組織された閑谷保黌会と、その中心となって閑谷学校の再興をはかり、同十七年教頭(翌年黌長)として家族とともに閑谷に移り住み、その半生を閑谷黌教育にささげた」旨が記されています。

特別史跡を巡るコースもいよいよ終盤。ここは、藩主の命を受けて閑谷学校を創建し、椿谷を築いた『津田永忠』の屋敷跡。と言っても、案内板がなければ何にも気づかずに通り過ぎてしまいそうです。

更に川沿いの細い道を進むと、初秋の残り少ない日差しの中に浮かび上がるように、文化十年(1813)に建てられた「黄葉亭」が、優雅な姿を表しました。

かって生徒から儒者、文人までが茶を楽しんだ憩いの場・・閑谷に来訪した『頼山陽』『管茶山』も、ここで茶を楽しみ酒を汲み交わしたと・・・資料は伝えています。

 

もと来た道を引き返し、もう一度閑谷学校の美しさを目に焼き付けて帰路につく事に。そういえばこの電話ボックス、国宝の講堂を模したデザインだったんですね。

かっては茅葺であった講堂の屋根が、閑谷窯で焼かれた窯変瓦に変えられたのは何時の事だったのでしょう。釉薬を使用しない瓦は、焼き具合によって1枚1枚色合いが異なるとか・・それは数百年の時を経ても変わる事無く鮮やかです。

帰路に立ち寄った「閑谷学校」の入り口にあたる特別史跡「石門」。閑谷学校の校門として、元禄10年(1987)に立てられたものです。今は3分の2が埋もれていますが、当時の門柱の高さは380cmであったとか。江戸時代には、ここから北が閑谷学校の校地であり、門の両側には柴垣が設けられていました。

「国宝の講堂をはじめ、聖廟や閑谷神社などほとんどの建造物が国の重要文化財に指定されている「閑谷学校」。寛文十年(1670)、岡山藩主池田光政は日本ではじめてとなる「庶民のための学校」を創建しました。その谷深き地の学校は閑谷学校と名付けられ、明治、大正、昭和とさまざまな分野で、現在の日本の歴史をかたち作る有能なリーダー達を輩出してきました。」閑谷学校公式HPより

訪問日:2006年9月30日


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