「やきもの散歩道~Ⅲ~」では、ちょっとマニアックなスポットを紹介しようと思うのですが・・マニアックと言っても私がそう感じるだけで、焼き物の町では当たり前の風景かもしれません。 妖しく光る焦げ茶の壁、縦に走る亀裂さえも不思議な文様のように見えるこの場所は・・そう、実はこれ陶窯の中なんです。
とこにゃんに向かう途中に立ち寄った建物は1980年代まで土管を生産されていたという「利助窯」さん。
お目当ては窯跡の見学で、奥様から色々とお話を聞かせて頂きました。二階のカフェからこぼれてくる良い香りが鼻腔をくすぐります。
左に小さく見えている置物は「やきもの散歩道 七福神の三番:布袋」。町歩きのそれぞれに七福神のスタンプが有るのですが、今回は珍しくパス(笑)
明治の終わりから昭和60年の最期の火入れまで、80年以上も使われてきた陶窯。不可思議な文様のような壁を見ていると、何か不思議な声が聞こえてきそうな・・そんな錯覚にとらわれます。
歩く先々に思わず足を止めてしまう工房の数々・・ずっとこんな調子なので中々先に進めません(^^;)
「陶製2.5メートルの大般若面」が展示されていると言う「窯や」さん。窯跡ギャラリーの壁に掛けられた「小面(こおもて)」は、光と影によって美しくも哀しくも、また怪しく微笑んでいるようさえ見えます。ただし鬼面は、より恐ろしさを感じさせてくれましたが(^^;)
そうそう、噂の大般若面はツーショットも可能なように、ちゃんと横にイスも用意されています。般若のイメージから受ける「怖さ」を感じさせない、不思議な穏やかさを持った面でした。
並べられた土管が好奇心をくすぐる窯の中、一種独特の不思議な空気を漂わせていたけれど・・・・でも工房の名前が何だったのか・・・?。抜け落ちてしまった記憶は容易に蘇ってはくれません。
まるで不思議な魔法にかかったみたいに、目に入るすべてが魅力的に思え、ついつい手に取って見たくなるのを・・・一生懸命我慢した記憶はあるのに。
沢山の工房が並ぶ一画では、作家さんが作り上げた作品がいとも無造作に飾られていて思わず立ち止まり、それがあまりにも風景に溶け込んでいたりすると、思わずまじまじと見直してしまいます。しっかり精を出せ!とハッパをかける獅子さん。急かされた親父さんはちょっと仏頂面をしながら、それでもせっせとロクロを廻します。
土間に散乱する茶碗に湯飲み、砕けたお皿の数々!もしや壮大な夫婦喧嘩?! いえいえ、これも「morrina」さんの楽しいアートなんです。
常滑焼と言ったら猫と急須のイメージですが、もちろんそればっかりではありません。こちらの工房の一角には、穏やかな笑みを湛えたお地蔵様がおいでです。
おや、こちらの辻には更に大勢のお地蔵様が(*^^*)
町歩きの途次でお見掛けした「松寿山:光明寺」。
何と境内には、大きなハートを大切に抱える焼き物のご住職様がいらっしゃいました。
ところがご亭主殿と来たら、屋根の飾り瓦の獅子さんに夢中(^^;) ご住職様への挨拶も忘れて、ずっと上を向きっぱなし(笑) 確かにとっても魅力的な一対ですけどね。
それでも、お堂に納められたお地蔵様へのご挨拶は忘れなかったようです。
建前上はマップに従って、その実、好き勝手に右に左と路地を進む私たち。
おや、こんな場所に小さな「とこにゃん」。一体何をした罰でカゴに閉じ込められたの?と、側の張り紙を見れば・・・「野良猫の餌やリ禁止」の注意書き。招き猫の町で野良猫という単語を見るとは・・・
ねぇ、猫さんは突然空から降って野良猫になったわけではないし、土くれからぽこっと生まれて野良猫になったわけでもない。迷惑だと言って眉をひそめる人間をどうこう言う資格も権利もないけれど・・・・
実際に招き猫通りで出会った猫ちゃんたちは、威嚇するでもなく、不用意に近づくでも無く、穏やかな目で私たちを見ていた・・。ねぇ、あの猫(こ)たち、きっと!飼い猫だよね。誰かの家の大切な家族だよね!そうであって欲しいと願わずにはいられない。
町歩きの途次で見かけた「招福招喜猫神社」。祠の中に鎮座される猫神様に手を合わせて、本気のお願いをしました。野良猫と呼ばれる猫さんたちが天寿を全うできますように、どうか、どうかお守りください・・・
切ない思いを抱いて・・・「やきもの散歩道」は~Ⅳ~へ続きます。
訪問日:2011年9月24日
常滑は散策したくなるような魅力的な町ですね。
面白い看板、面白い狛犬、面白い標識、
色んなものが詰め込まれていて、
きっと一日中、楽しめると思います(*^^*)