上を見ても下を見ても、もちろん前を見ても横を見ても、とにかくステキの連続で目が離せない「やきもの散歩道」。
次のステキは、明治20年(1887)に33名の窯仲間により開設され、昭和49年(1974)1月まで使用された登り窯。現地説明によれば、関りの深かった企業の名前から「陶榮窯(とうえいがま)」と呼ばれている由。
見上げる視線の先に展開されるのは、傾斜角約17度、8つの焼成窯、高さの異なる10本の煙突・・
思わず息をのむ美しさに先に進むことも忘れ、じっと立ち止まって見上げる二人。そう・・・美しい。言葉にならない圧倒的な存在感に、歩き続けた足の痛みさえも忘れます。
昭和57年(1982)に国の重要有形民俗文化財に指定され、2007年には近代化産業遺産にも認定された「陶榮窯」。整然と詰まれた煉瓦の窯からは、かって常滑の空を染めた筈の煙の匂いまでも感じられます。
釜の中は想像以上に広く、内部の見学も可能と有って、ご亭主殿は早速中に(笑)。かってこの窯の中で常滑の名を知らしめた様々な物が生み出されたのかと思うと、今この場所にいる自分たちの存在がとても不思議に思えてきます。
薄暗い窯に差し込む外界の光はほんのりと暖かく、使い込まれた煉瓦の色はこの上無く優しい。一朝一夕には生まれない確かな歴史の前で、私たちは今とても感動している・・
焼物の生成過程で生まれた様々なモノは、至る所で有効に活用されています。
時間に制限がないなら、いやこのまま時間が立ち止まってくれるのなら、私たちはもう少し、後ほんの少しだけここで過ぎ去った昔を懐かしむのに・・
この美しい登窯がある一帯は「登窯広場」として整備され、歩き疲れた足を休めるにも最適の場所。
広場の中央を占めるのは、圧倒的な規模と鮮やかな色彩で描かれたタイルの陶壁。こういうのを見ると流石はINAXの本拠地だと改めて実感ます。
さらに「展示工房館」の 館内には、「両面焚倒焔式角窯(りょうめんだきとうえんしきかくがま)」が保存展示されています。
舌を噛みそうな名前の窯は、大正10年(1921)に現在の場所に築窯されて以来、煙突、窯、建物ともほとんど当時のままの姿を保っているとか。非常に大きな窯のため、1997年に窯本体と煙突は国の登録有形文化財に、また貴重な産業遺産として各方面から注目を集めていると説明にありました。
石炭を投入する窯焚き口
窯の内部
建物の外部に今も残る煉瓦造りの煙突
「登窯広場」のラストは煙突を思わせるオブジェ『柴田正明』作の「時空」。
名残は尽きませんが、「やきもの散歩道」のステキはまだまだ続きます。ねぇ、私たちって「やきもの散歩道」のコース、どれくらいを歩いたんだろう? まだまだこの先に続く坂道、もしかして今日中に回りきれるのかしら?一抹の不安を残しつつ「やきもの散歩道~Ⅲ~」に続きます(笑)
訪問日:2011年9月24日
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