浜松市天竜区二俣町阿蔵にある「天竜浜名湖鉄道天竜浜名湖線・天竜二俣駅」。
天竜浜名湖鉄道線の中心的な駅でありながら、駅舎は開業当時からの瓦葺き木造の建物。 駅前に立った時の、何ともいえない甘酸っぱい気持ちは、これがいつか見た風景に似ていたからか、それともかすかな記憶の中に刻み込まれた風景だからか・・。
もちろん、ここに来たのは生まれてこの方今日が初めて、それなのに何だろう?この不思議な懐かしさ。・・・ああ、それは多分、幼い頃に母に手を引かれて電車に乗った日の、あの手のぬくもりが蘇るから。 はるか昔の遠い遠い記憶の片隅に大切にしまいこまれた、思い出の情景と似ているからだろう。
プラットホームに立ってもう直ぐ来るはずの電車を待っている私に、母は「まだだいぶ間があるから」と笑う。 振り返った目の先に、すっかり日焼けしてしまったけれど可愛い母の笑い顔があった筈・・でも年老いてしまった母の顔しか思い出せない。
「ほら、電車が入ってきたよ」とご亭主殿の声で、ここが見知らぬ土地の見知らぬ駅だと思い出す。 記憶の中にあったオレンジと緑の車体とは似ても似つかぬ、洒落たオフグレーの電車。きっと町の中心駅なのだろう。見知らぬ人が次々と乗り込んでいく・・
国登録有形文化財に指定され「本屋」、「上り・下り上屋およびプラットホーム」。今回は外観のみでしたが、敷地内の「揚水機室」、「高架貯水槽」も同じく国登録有形文化財に。さらに、蒸気機関車時代から今も現役の「扇形庫と転車台」は近代化産業遺産に認定されています。
駅の北側の小さな公園に静態保存された蒸気機関車「C58形389号機」。 「製造銘版」によれば、昭和21年(1946)に「汽車會社」によって造られたものとあります。旧国鉄二俣線でも活躍した戦後型の機関車ですが、乗ったことも無いくせに、やっぱり奇妙に懐かしい😊
さらに「阿蔵駅前広場」には「キハ20形気動車」と「ナハネ20形寝台客車」が展示。 蒸気機関車からディーゼル車へと推移した時期、旧国鉄二俣線の主役的存在として活躍した「キハ20」。
青い車体の「ナハネ20」は、ブルートレイン「あさかぜ号」として東海道線を走っていたそうです。
蒸気機関車もブルートレインも、一度も乗ったことが無い癖に、何故か保存されている古い電車を見るのが好き。でも間違っても「鉄オタ」では無いので、案内に書かかれた薄っぺらい知識しかありません😊
敷地内のとある壁に飾られていた三枚の絵、よく見ると大好きな「鏝(こて)絵」!! 三枚の鏝絵は、旧天竜市のシンボルであった「杉」・「山百合」・「キセキレイ」の意匠に、ちょっぴり得した気分😊
駅舎をバックに記念の一枚。いつかこの写真を見ながら旅のあれこれを思い出せたら・・きっと素敵な時間が過ごせるだろうね。
訪問日:2011年11月17日
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