長柄町山根に建つ「顕本法華宗寺院:威王山:飯尾寺(いいおじ)」。「大曼荼羅」を御本尊とします。
山門から見上げる石段は目を見張るほど、しかも軽く眩暈がしそうな高さですが・・実は車で行けます😊 本当は、とても登れそうにないとしょげる私を見て、ご亭主殿が一生懸命、車用の参道を探してくれました。
「創建年代等については不詳であるが、もともとは鎌倉時代から室町時代にかけてこの地方を領した飯尾氏が建立した仏堂に始まるとされる。南北朝時代の僧で法華宗妙満寺派(現在の顕本法華宗)の祖『日什(にちじゅう)』(1314~1391)が開山となり、妙満寺派の寺院となったと伝えられる。」山門説明より
説明版の右上に見る「木造不動明王坐像」は、国の重要文化財に指定されているとか。 像高約85cm、重さ20k、玉眼に檜の寄木造で、寺伝では文覚上人の作と伝えられています。
人気の無い境内はことさらに静かで、差し込む日差しは思ったよりも温かく春の気配。 本堂の前には、長柄町指定文化財として「石灯籠・狛犬」の説明、そして「波の伊八」の文字😲。 これには本当に吃驚、それを目当てに訪ねてきた訳でもないのに、こんな行幸に巡りあえるとは! 大して信心深くも無いのに良いのだろうか😓
締め切られた本堂のガラス越しにしがみつくようにして覗き込む二人、そこには鮮やかな雌雄の龍。この本堂欄間彫刻は『武志伊八郎伸由』の作で、文化11年(1814)に製作されたと言われています。
龍は仏法守護の八部衆の一つで、特に不動明王を本尊とする寺院にはその造形が多く見られます。 ガラス越しなのと、周囲の明り取りから光が入ってくる為、画像としては見辛いかもしれません。
正面向かって左の欄間彫刻は「松に鶴」ですが、こちらに関しては特に作者の説明はありません。
懸魚には「波と鳳凰」。奥には波の間を戯れる二匹の亀の姿があります。これにも特に作者の名はありませんが、個人的には気に入ってます。
彩色が施されていたと思われる「手挟(たばさみ)」は、かなり磨り減ってますが「松に鶴」。本堂が鮮やかな朱塗りなので、創建当時はもっと艶やかで美しいものだったと想像できます。
渦巻く鬣(たてがみ)をなびかせて振り向くのは、木鼻の唐獅子。懸魚の彫刻と似たタッチなので、もしかしたら同一の方かもしれません。
吽形の唐獅子のかみ締めた口元からは、鋭くとがった歯が覗いており、かなりの迫力。 それなのに、一生懸命に見上げた唐獅子から感じられるのは、穏やかで心地よい気配なのです。
もう一対の木鼻の唐獅子は、先に紹介したものよりも更に優しげで穏やかに感じられます。 じっと見上げていると、古い友人と久しぶりに出会ったような不思議な感覚に思わず笑顔に。
どれほどの年月を、この高みで過ごしてきたのか・・きっと大勢の参拝者を見守ってきたんだね。 思いもかけない宮彫刻の数々に出会えて大満足の私、一方ご亭主殿も大満足だったのですが・・・その理由は明日😄
参拝日:2019年3月9日
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