「池之宮神社」の大切な御神域であり、遠州七不思議「龍神伝説」でも有名な「桜ヶ池」。 およそ二万年前、丘陵の谷を砂が塞き止め、そこに涌いた水が池となって出来た「砂丘堰止湖」。標高四十メートル、小高い山の上にあり、東西北の三方を原生林に囲まれた神秘の池。深い緑の色に染められた池の面を時折揺らすのは、ゆらりと日差しを浴びる水鳥たち。
その桜ヶ池を真正面から見据えるように建立された『皇円阿闍梨・法然上人』供養碑。平安時代末期の嘉応元年(1169)6月13日、すでに96歳の齢であった比叡山の名僧『皇円阿闍梨』は、世の人々を救済する為に人の身を捨て、自ら桜ヶ池に入定されて龍神と化し、池の主神となられました。
後に高弟であった『法然上人』は、赤飯をつめた二つのお櫃を供養のために池心に沈めました。 一つは池宮神社のご神体である池に、一つは自ら龍神となられた我が師『皇円阿闍梨』のために・・
その伝説を元に、池之宮神社ではお彼岸の中日に「お櫃(ひつ)納め(県無形民俗文化財)」の神事がとり行われます。地元の氏子青年たちが、池の中央に立ち泳ぎで進み、願いを込めたお櫃を池の中央に次々と沈める。そうして、お櫃が空になって浮かび上がれば願いが叶うとされています。
「桜ヶ池とおひつ納め」の看板には、祭礼の由来と共に、神事の様子が紹介されています。「池の中央に立ち泳ぎで進み、奉納されたお櫃を池の中央へ沈めていく」というものですが・・でも絵で見ると、まるっきり龍に襲われて必死に泳ぐ氏子たち・・・・いや・・何か違う(^^;)
ちなみにこの看板の側には、樹木で作った龍が、イラストのままに首を向けて迫ってきます。 なんかますます「恐ろしい龍神様」の祟りを恐れて、お櫃をお供えします的な雰囲気(笑)
とりあえず龍神様の近くには、御幣を指し水を湛えた「御神櫃」と呼ばれるお櫃が奉納されています。
ご祭神とは別に「桜ヶ池」をご神体とする「池之宮神社」。朱塗りの美しい手水舎の中央に置かれた手水には、力強く刻まれた「波間より顔を出す龍神」。
願い事を書いて納める諸願成就の絵馬には「水面に浮かぶお櫃を満足そうに見る龍神」。でもこの場面で雷雨は、ちょっと氏子さんたちが気の毒だと思うのですが(^^;)
神秘の水を湛える「桜ヶ池」ですが・・伝説によれば、実はこの池は信州の諏訪湖と底が続いていると言われています。 そのため、この桜ヶ池に沈めた「お櫃」が「諏訪湖に浮かぶ」と言う伝説もあるとか。諏訪湖が出たので、実は桜ヶ池も諏訪湖も「全国に及ぶ富士の外八海」とされる水の聖地。琵琶湖、二見浦、箱根湖(芦ノ湖)、諏訪湖、中禅寺湖、榛名湖、桜池、鹿島海(霞ヶ浦)。未踏の地は箱根湖(芦ノ湖)、中禅寺湖、榛名湖の三海だけ・・制覇は無理か??
2016年の参拝の帰路で見かけた朱塗りの鳥居。車内からでしたが「桜ヶ池」の額が見て取れました。
参拝日:2011年11月15日&2016年12月13日
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おまけ
「外八海」がでたので、ついでに「富士の内八海」。仙瑞(せんずい)、山中湖(やまなかこ)、明見湖(あすみこ)、河口湖(かわぐちこ)、西湖(さいこ)、精進湖(しょうじこ)、本栖湖(もとすこ)、四尾連湖(しびれここ)。ただし『甲斐国志』『甲斐名勝志』『駿河国新風土記』などでは「仙瑞」ではなく、「須戸湖(浮島沼)」となっている。
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