かなり「クセ」のある一冊だと思います。
私は大学の卒業後は小児外科という分野に進みたいと思い、ある大学の外科教室に入りました。しかし努力がたりず(これが主ですが)さしたる業績も上げることができないまま、またほかの理由もあって、ある時期に大学病院を辞めて生まれ育った地方の開業医になりました。
この本の著者も今は開業医ですが、クリニック開業前は大学病院の小児外科で、私とは違って大変努力をされ、特に小児腫瘍のエキスパートだったそうですが、腹部小児外科全般にも大変実績を残したと本書に書かれていました。
本文内容については、新書の帯の刺激的な文章と同じ分野の出身という事で興味と少し親しみを持って読み始めました。でも「?」ってところも多々あり、何度も「この先生はなぜこんなに自信がいつもあるんだろう」と感じたことです。努力と実績の結果なのだといわれれば、そうなのかもしれません。
以下の①②③は書かれた内容を私が自分で考えやすいように書き直したものですが、この点については私も共感できました。
①エビデンスという言葉を医学以外でも耳にすることが最近よくあるが、それらはデータからの結果を言っているだけであって、臨床実験(治験)で得られたものが本来の意味のエビデンス。政治家がある物事をエビデンスがあるとかいうのは間違いだ。というところは強く納得できました。
②ガイドラインに沿った治療というと、標準治療つまり平均レベルは超えているが普通であって、最上ではないと思うのは間違いで、ガイドラインはエビデンスのランク分けされたの髙いものによる治療方針である。つまりかなり高いレベルの治療ともいえる。(権威ある医学者の個人的な意見などは低ランク)
③医者は「びびり」の方がよい。気になる患者がいれば食事中も床についてもそのことを考えている。間違えてしまうことが怖いので、何度も何度も確認し直すことが多い。
この新書の帯にあるような過激な言葉、もう一度言いますが、なんでこんなに自信があるんだろう。上記③のようなところもあるのに。この先生はあと3年後の64歳になればクリニックの大家さんとの契約が終わるので、閉院するようなことも述べられていました。地域の小児医療だけではなく、その家族からも自分の人間性を頼りにされているとか発達障害のこどもも多く通院していると述べられているのに、それでよいのでしょうか?
先ほど読み終えて、なにかモヤモヤが残ってしまい、思いついたことを書いてしまいました。