前の記事は女性セブンという女性雑誌のことを好意的に書きましたが、今回は週刊現代について、「事実と全く違う」という事を書いてみます。
こちらの開業医に対する批判的な記事、特に「無駄な薬で儲け放題」という事に対する反論というか「それは違うでしょ」という私の感想です。
何かの病気で町の診療所を受診、診察のあと投薬を受けて帰宅すると思います。投薬の中で大きく二つに分けると①院外処方か②院内処方かという事になります。まず院外処方について。
①院外処方の場合、医療機関は処方箋を発行し、処方箋薬局で投薬を受けます。この時に医療機関に入る収入は処方箋料だけ。これは1種類だけでも5種類の薬が処方されても金額(点数×10円)は同じです。さらにたくさんの疾患を持っている患者さんは7種類以上の薬が処方されることもありますが、この7種類以上となると処方箋料が680円から400円に減額されます。ここだけを見てもこの記事は間違いですね。出せば出すほど丸儲けなんて。たくさん(無駄といわれる)処方すると減額になります。
②院内処方の場合はもっと複雑です。この場合処方箋料ではなく処方料というものをいただきます。こちらは420円です。院外処方の場合と同じで、7種類以上となると減額され290円になります。さらに院内処方のつらいところは、7種類以上の投薬となると薬価の90%しか医療機関には入らなくなる(処方料だけじゃなく薬代自体も減額される)というルールになっています。
院内処方をおこなっている医療機関は一般の小売業と同じで、問屋さんから卸値+消費税を払い購入します。卸値は薬価(定価と同じ意味)の90%ぐらいが平均です。医療機関は患者さんから消費税はいただいていません。つまり医療機関が消費税を吸収しているわけです。今回導入で話題のインボイスもこれについては関係ありません。
1錠100円(薬価・定価)の薬があったとします。医療機関は卸値90円+消費税9円の99円で購入。確かに患者さんには100円でお渡し(3割負担の場合30円をいただき、残りの70円は保険基金の方から支払われる)なので1円の利益が出ます。1か月の投薬で30円の収入です。5種類の投薬だとしても150円の収入。どの小売業でも不良在庫が発生しますので、これでは結局赤字なのは明らかです。
さらに7種類以上の投薬だと上記のように全投薬の90%しか入らないので、大々赤字。医療機関は特に院内処方の医療機関は「薬は出したくない」のが本音です。でもお年寄りだと受診後に調剤薬局によるのが大変とかを考えると、私は院外処方にはできませんでした。
もちろん初診料とか外来管理加算とか診察行為自体に対する報酬があるので、本当の赤字にはもちろんなりませんが、「投薬だけを考えると出せば出すだけ損」町医者は「薬を売って(不要な薬まで出して)儲かっているのではない」と改めて言いたいです。
このようなことを知って、週刊現代はこのような記事を書いているのでしょうか?実際の内容は読んでいませんのでわかりあませんが、これで購入すれば「向こうの思うつぼ」になってしまうので買って確認はしません。
せっかく「女性セブン」の印象がよかったのに、翌日の「週刊現代」にはがっかり。
結構言わせてもらったのでスッキリ!