最近よく耳にする言葉です。今月2日に起こった羽田空港での日本航空と海保疔の航空機同士の衝突事故、複数のミスが重なって起こってしまったとの報道ですが、時間に追われるあまり正常な判断ができず、自らに都合の良いように解釈して行動する「ハリーアップ症候群」の可能性も指摘されているようです。
「自らに都合の良いように行動」という表現には抵抗があるのですが、年末・年始にかけて、複数回このhurry-up syndromeに今自分が見舞われていると感じることがありました。
市町村により対応は異なりますが、基本的に休日の一時救急の対応はそれぞれ市町村に責任があると聞いています。このために私の住む市は「休日応急診療所」というものを開設して、医師・看護師・事務職員が交代で休日出勤することで対応しています。
平時というか普段はそれほど忙しくはないのですが、年末からはインフルエンザと新型コロナウイルス感染の患者がすごく多くて、対処がとても難しくなってしまっています。
平日の自分の診療所でももちろんそのような感染症の患者さんは多いのですが、その休日応急診療所では普段とは勝手が違い、また患者さんは「知らない人」ばかりです。逆に言えば、患者さんからすれば知らないスタッフたちなので、少しこちらに不手際(診察まで、投薬まで、会計までの時間がかかる)があれば結構遠慮なしの叱咤をいただくことがままあります。
こんな中で自分たちは今このhurry-up syndromeの状態なのだと感じました(だから先述の「都合の良い行動」という事に抵抗があるのです)
さらに隣接する洲本市の休日応急診療所からの「お叱り」も受けました。「電話がつながらないと南あわじ市の住民から洲本市の方に苦情が来ている」と。そちらの休日応急診療所ではそれら感染症の検査は行っていないそうで、そのためにその隣の市の患者さんが、私たちのところを受診・検査希望しているという事実があるのは棚に上げてです(最近は検査をそちらでもはじめたらしいですが…)
これまでの数回の出務で「よくまあ間違いを起こさなかったものだ」と思います。ただ一度外傷患者さんからの連絡をお断りした(その処置を行っていたら間違いなく30分以上かかるので、公的病院の救急センターへ行っていただきました)時に「何のための休日診療所だ」とお叱りを受けたときには、気持ちが重くなってしまいました。
インフルエンザも新型コロナ感染もそろそろ収束してもらわないと、患者さんの健康はもちろんですが、休日応急診療所に出務するスタッフの「心が壊れてしまう」のではないかと心配です。