先週末は南紀方面へ向かいました。とくに目的はないけど、手元にあった3月末日で失効してしまうホテルの無料宿泊券を消化するためです。無理やり行ってもそれに何らかの消費を伴うから、自宅でじっとしてる方が経済的なのですが、貧乏性なものだから無料宿泊券がムダになる方がもったいなく思ってしまうのです。
そのホテルでの夕食時のことでした。お隣のテーブルは40歳台の男性と70歳前後の男性(後で親子だとわかりました)が少しのアルコールとともに静かに食事が進められていました。私のテーブルとコース料理の進行はだいたい同じ。最後のデザートが運ばれてきたころ、何気なくその40歳代の男性の様子を見ると、顔面は蒼白で視線はうつろ、両腕を下ろし背もたれに寄りかかりかろうじてすわっている状態でした。
「え~っ!」って感じです。向かいの男性(お父様)も誰も気づいてない。放っておいちゃいけないしと、その男性に近づき「どうしましたか?気分悪いですか?」って聞くと「ええ~」と弱々しい返事。近くのイスを寄せ並べ、頭を少々下げた状態で寝かせていたら、幸いにも5分くらいで顔色は戻り、脈拍も40回/分位だったものが70回/分程度までに。お話もしっかりできるようになりました。
この絵はおおげさ、こんなにはなってません。
特に大きな病気もなく、内服薬なし、健康診断でも何も指摘を受けていないということですから、何らか(アルコール?)がきっかけとなった血管迷走神経反射(Vaso Vagal Reaction/神経調節性失神症候群)だったのでしょうか?お父様と食事を楽しみながらの少量のアルコールで?
ホテルの方もびっくりしてすぐに AED を持ってきてくれたのですが、それを使うようなものじゃなくてよかったです。職業を明かしましたが、このような場合でも医療器具や薬がないと何にもできません。今回も本人とお父様を安心させようとお話をすることと、脈をずっと取りながら「元に戻れ」と祈り、119番のコールが必要になるかどうかのタイミングをみているだけ。ホテルには血圧計は準備されていませんでした。だからこれまで数回あった新幹線のドクターコールには、後ろめたさを感じつつも応じたことはありませんでした(飛行機には色々な医療器具も準備して搭載されているらしいですね)
新幹線内の急病患者を診て「次の停車駅まで絶対大丈夫」なんて言えないから、大丈夫そうでも最寄りの駅に緊急停車となりますからね(常時往診用のカバンを持ち歩いているなら別ですけど)
今回は食事中、お隣のテーブルの出来事でしたから。