明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(979)ウクライナの悲劇=被曝影響の隠蔽と第2世代の健康悪化・・(ポーランドを訪れて-6)

2014年11月26日 23時00分00秒 | 明日に向けて(901)~(1000)

守田です。(20141126 23:00)

今宵は『低線量汚染地域からの報告-チェルノブイリ26年後の健康被害』(馬場朝子・山内太郎著、NHK出版)から学んだことについての続きを書きます。
この本はNHK・ETV特集 シリーズ チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告「第1回 ベラルーシの苦悩」と「第2回ウクライナは訴える」(放送は同年9月16日と23日)のうち、第2回をまとめたものです。
本のこと、また番組のことが以下のブログからも見れますのでご参考ください。

 after311.info
 http://after311.info/radioactivity/post-1696/

前回も述べたように、ウクライナでは甲状腺がんや白血病だけでなく、心臓疾患をはじめさまざまな疾病が今なお増加し続けています。
ウクライナの医師たちは、これらがチェルノブイリ原発事故由来であると告発し続けてきましたが、いつも国際機関が医師たちの前に立ちはだかり、病と放射線被曝の関連性の指摘を跳ね除けてきました。
とくに重要なのはIAEA(国際原子力機関)、WHO(世界保健機関)、UNSCER(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)、ICRP(国際放射線防護委員会)ですがここではIAEAのことについて述べられています。

今でこそ、原発事故で甲状腺がんが起こることは国際的に認知されていますが、IAEAがこれをやっと認めたのは1996年のこと。実に事故から10年も経ってからでした。
IAEAはこれを遡る1991年に国際調査団を現地に派遣し「放射線が健康に及ぼしたという証拠は一切ない」(『同書』p130)と報告したのでした。
本書にはふれられていませんが、この時の調査団である国際諮問委員会(IAC)の委員長に就任したのは日本の放射線影響研究所理事長を務めていた重松逸造氏でした。このもとにチェルノブイリ原発事故では一切、病は起こっていないという宣言がなされたのでした。

ウクライナ、ベラルーシの医師たちはこの頃にはもう小児甲状腺がんの多発に見舞われていることをつかんでおり反発しました。その一人、ウクライナ内分泌代謝研究センターの医師ワレリー・テレシェンコさんはこう述べています。
 「私たちはずっと報告をし続けました。チェルニゴフでの会議に始まり、国際連合の総会でも発表し、学術雑誌に論文を掲載したりしました。ウクライナでは毎年、チェルノブイリ事故が起きた4月26日に、ウクライナ保健省やチェルノブイリ省が国際会議を開催してきました。
 私たちはこういった会議でも報告をしてきました。そしてIAEAはついに認めざるを得なくなりました。学者は全員一致で、この事実を認めたのです。」(『同書』p131)

『ウクライナ政府報告書』の医学関係の記述全体の責任者であるウクライナ国立放射線医学研究センターのアナトリー・チュマク医師は、国際機関に論文を認めさせるには英語力が必要であるとともに莫大な資金がかかることに触れた上でこう述べています。
 「放射線の影響と考えられる疾患がひとつ見つかったとしたら、それが国際的に認められるためには、5年から10年の時間がかかるものなのです。具体的な例をあげますと、1991年に子どもの甲状腺がんが注目されました。
 しかし国際的に間違いなく甲状腺がんが放射線の影響だと承認されたのは1996年、5年後でした。そして除染作業者の白血病が初めて指摘されたのは1997年でしたが、これを国際社会が認めたのは2008年になってからです」(『同書』p134)

チュマク医師はこれに続いて「他の疾病についても、国際機関はいずれそれを承認する」(『同書』p134)とも述べています。いつか必ず認めさせてみせるというウクライナの医師たちの強い決意がこもった言葉です。
また「国際的な合意があってもなくても、それは私たちに何の影響もありません。私たちはここで頑張っています。自分で作り上げた治療方法を持っています」(『同書』p135)とも。
その言葉には国際機関が病の発生の事実を無視黙殺しようとすることに抗い、ウクライナの人々を守らんとしてきた医師たちの熱き思いが溢れています。

しかしそれでもやはり深刻なのは甲状腺がんについては事故から10年後、白血病にいたっては事故から22年後にやっと認められたという事実です。心臓疾患など、多くの疾病が未だに認められていません。
医師たちはその中で懸命な治療活動を続けてきているわけですが、しかし放射線の病への影響が隠されず明らかになれば当然にも受けてしかるべき国際的な援助、とくに国連やWHOの支援を受けることができずにきたことは大変な苦しみだったのではないかと思います。
そうしたこともあって、ウクライナ社会は現在の混乱の中にいたってしまったのだ僕には思えます。いやそうに違いない。チェルノブイリ原発事故の影響と、それに対する医療的対処を妨害してきた国際機関こそが、ウクライナを混乱の中においやったのです。

とくに重要なのは汚染地帯で生まれた第2世代の健康悪化です。『ウクライナ政府報告書』には31万9322人の健康調査に基づき、こう書かれていたそうです。
 「『慢性疾患』を持つ第2世代は、1992年の21.1%から、2008年の78.2%に増加している。例えば、内分泌系疾患11.61倍、筋骨系疾患5.34倍、消化器系5.00倍、精神及び行動の異常3.83倍、循環器系疾患3.75倍、泌尿器系3.60倍である」(『同書』p210)

およそ8割の子どもが病を持っているわけですが、実際、撮影クルーが訪れた学校では「子どもたちが疲れやすいということで、1987年から45分の授業時間を低学年は10分、高学年は5分間短縮している」(『同書』p210)のだそうです。次のような報告もあります。
 「ウクライナでは、チェルノブイリ被災地の学校に特別の規律を作っている。事故の前には5年生から11年生まで各学年で試験があったが、チェルノブイリ事故の後は、9年生と最終学年11年生以外は試験が廃止されたのだ。
 低学年には宿題も出さないという。試験勉強をすると、生徒が無理をして倒れることがあるからだ」(『同書』p215~216)

撮影された学校では保健師のパガリチュック・スベトローナさんが次のように述べています。
 「入学の前に子どもは検診を受けなければなりません。3週間前の検診では、485人の生徒のうち48.2%に甲状腺などの内分泌疾患が見つかりました。背骨が曲がっているとか、背中に異常がある肉体発育障害が22.1%。
 目の障害は19.2%。呼吸器官に障害のある子どもたちは6.7%。消化器疾患、神経疾患は5%というものです」(『同書』p213)

こうした病や障害はいかなるメカニズムで発生しているのでしょうか。『ウクライナ政府報告書』で子どもの健康に関する項目を執筆したウクライナ国立放射線医学研究センターのエフゲーニャ・ステパーノバさんは放射線で子どもたちの細胞内のミトコンドリアが破壊されていることを発見してこう述べています。
 「低線量によって細胞の膜と組織がダメージを受けています。同時にミトコンドリアにも影響を及ぼしています。ミトコンドリアはエネルギーのもとです。
 ミトコンドリアが傷つくと、エネルギーに頼っている器官が損傷します。例えば中枢神経系、心筋、骨格筋、免疫系などに影響が出るのです」(『同書』p219)

本書ではこれ以上に、第2世代の子どもたちの病がどのように発生しているのかには触れていません。特に遺伝的な要因はあるのかどうかという重大な問題に関しては記述がありません。
この点で押さえておくべきことは、汚染地帯に住み続けると、継続的な低線量被曝を受け続けることになるということです。胎児のとき、乳児のとき、そして大きくなる過程でも子どもたちは被曝を続けています。
少なくともそれだけでも大変なダメージが子どもたちに与え続けられていることは間違いのないことです。

この点を考えたときに、私たちの国の中で、高汚染地帯に住み続けることの恐ろしさをもっとクローズアップすべきことを感じざるを得ません。それを一刻も早いウクライナにあるような避難の権利の確立につなげるべきなのです。
また同時に進めなければならないのは、ウクライナやベラルーシで頻繁に行われている国家主導の保養の実現です。両国ともこれまで汚染地のこどもを1年間に3週間から1月は汚染のない地域に送りだして保養させています。
本書にはこのことも触れられていませんが、移住のできない人に対し、そのような手厚いプログラムを施して、それでやっとこの数字に被害がとどめらているのです。それすらも行おうとしない日本の今は本当に深刻です。

医学界の態度にも決定的な違いがあります。ウクライナやベラルーシでは医師たちは、被曝した民衆の側に立ち、国際機関の妨害に抗いながら治療を進めつつ、データ蓄積を進めてきました。
ところが日本ではこの重要な点を国の側に立つ医師たちが押さえようと暗躍を続けています。その筆頭に立ってきたのが重松逸造氏の系譜に連なる山下俊一氏でした。これにいかに抗していくのかが私たちにとって本当に重要な課題です。
関西医療問題研究会に集う医師たちなど、本当に数少ない医師たちが、福島の子どもたちの中でも始まっている甲状腺がんの多発を、明らかなる原発事故によるアウトブレークと指摘して警鐘を鳴らしていますが、こうした声を強める必要があります。

これらを考えるときに、25年前に深刻な事故に見舞われたウクライナと私たちは同じ苦しみの中にいることが見えてきます。核兵器製造に携わってきた国際的な原子力村が放射線被曝を非常に過小評価してきたがゆえに、被曝影響がなかなか認められない仕組みがある。
それがさまざまな形で現場の医療の充実を阻んでいます。いや被曝防護の充実をも決定的に阻んでいる。危険が危険として認知されないからです。
繰り返し述べてきたように、その積み重ねの中で今、ウクライナは社会的混沌の中をもがきながら歩んでいるわけですが、私たちはその苦しみをわがこととしてシェアし、ともに未来への扉をあけるための努力を積んでいかなくてはなりません。

そのために求められるのは、国際機関の行ってきた被曝隠しの歴史をもう一度、広島・長崎原爆にまで遡って明らかにしていくことです。
私たちの国は「唯一の被爆国」と言われてきました。「被曝者」ということで言えばもともと唯一ではないのですが、それでも世界の多くの人々が原爆の被害に心を痛めてきてくれました。
同時にその私たちの国は、だからまた被ばく治療のノウハウをたくさん持っているのだろうと世界に多大な誤解を与えてきてしまいました。

事実はまったく逆なのです。私たちの国こそ、まさにアメリカを中心とした国際機関によってがんじがらめにされ、被爆者が徹底して痛めつけられてきた国なのです。
しかもそのことを十分に国民・住民が知らずにきてしまいました。とくに低線量被曝隠しについては、いわゆる革新陣営の側からも十分な反論を行っては来れませんでした。
被爆医師肥田舜太郎さんが、単身、放射線学で言われていることと被爆した患者の現実は違うとの告発を続け、臨床医でありながら自ら内部被曝に関する文献を翻訳し続けたことのみが、輝かしい成果だったのではないでしょうか。

アメリカは日本政府の全面協力のもとに被爆者への調査を独占し、データを隠蔽し、実態を隠したまま被害を非常に小さく見積もった「放射線と人間」に関する偽りのデータを作り出したのでした。
私たちは長年、それに騙され、たぶらかされ、その中で原発も押し付けられてきたわけですが、ウクライナに対して振りかざされてきたのもまた、こうして積み上げらえたニセのデータです。
この事実を踏まえるならば、ウクライナの人々と私たちが団結できないはずがない。まったく同じ抑圧の下に私たちはいるからです。そのことを自覚し、わがこととしてウクライナと私たちの未来を考えていこうではありませんか。

さらにウクライナ、ベラルーシ、ポーランドの考察を続けます・・・。

続く

 

 


 

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明日に向けて(978)戦争に行くな!選挙に行こう!沖縄の心をともに・・・

2014年11月25日 23時00分00秒 | 明日に向けて(901)~(1000)

守田です。(20141125 23:00)

アースディしがに参加してきました。素晴らしかったです!しがのかたたち、とくにおかあちゃんたちの柔らかく、楽しく、何でも包み込んでしまうような素敵なパワーをいっぱい感じ、一日楽しんできました。
これらについてぜひ記事にしたいと思っていますが、今宵はその前に、いよいよ本格化しつつある衆議院選挙について再度、思うところを述べておきたいと思います。中心は沖縄県知事選に続こうということです。

衆院の解散が正式に行われたことで、共産党をのぞく野党が、再編や候補者の一本化などに走っています。
確かに僕も今回は与党議員に一人でも多く落ちては欲しいですが、今の野党議員の多くが実質的には「野党内自民党員」になってしまっています。
「これという投票する政党が見つからない」という人も多いかと思います。しかしだからといってせっかくの投票の権利を放棄してしまえば安倍政権への消極的な承認を与えることにしかなりません。

そのために僕が思うのはたとえ「死に票」になろうとも、今のこの時世に対してまっとうなことを言っていると思える人、これまで嘘をついてきていない人に今回は票を投じようということです。
いやそもそも「死に票」などという言葉があること事態おかしい。そんな言葉が出てくるのは小選挙区制度が間違っているからです。民意を著しく歪める、民主主義に反した誤まった選挙制度です。
この制度そのものへの抗議も含めて議席が取れるかどうかだけでは考えず、何がまっとうな意見なのかを考えて投票にいきましょう。僕はそのことで十分に投票は生きると思います。

選挙の大きな争点の一つは集団的自衛権の行使閣議決定の強行など、安倍政権の戦争政策の是非です。私たちの国はこのままでは、戦争国家へと転落してしまいます。
そのことで私たちは、アジア・中国への侵略戦争や太平洋戦争への反省の中で、世界の人々との間に作り上げてきた信頼関係をも著しく損なってしまいます。
とくに私たちはイスラム圏の多くの人々が、今はまだ私たちの国に多大な好意を寄せてくれていることを知る必要があります。アメリカに原爆を落とされながら、平和産業で復興してきた国というイメージが強いためですが、安倍政権はそれをもふいにしようとしています。

さらに重要なのは沖縄・辺野古への米軍基地建設問題です。ご存知のように沖縄ではオール沖縄共闘をはじめて実現させて基地反対候補だった翁長さんが知事になりました。
仲井真元知事の敗北で安倍政権は大きな窮地に立っていますが、総選挙で沖縄から突きつけられた声をも強引に掻き消そうとしています。その意味でも私たちは沖縄の声に応えて、安倍政権への反対票を増やす必要があります。
沖縄の心をともにして投票に向かおうではありませんか。「戦争に行くな!選挙に行こう!沖縄の心をともに・・・」とアピールして前に進みましょう。

私たちが沖縄から学ぶべきことは、今回の沖縄知事選で実現されたオール沖縄共闘の意義と素晴らしさです。
何が素晴らしいのか。この共闘の実現が、第二次世界大戦以降、長きにわたって私たちの国に支配的な力を行使してきたアメリカによる分断工作を打ち破って実現したからです。
戦後、アメリカが日本にしかけてきたことは何か。日本を属国にしアメリカの世界戦略の一環に組み入れることでした。アメリカはそのために潤沢な資金を費やして日本の保守党の政治家たちを籠絡するとともに、反米の立場に立つ勢力の分断をはかってきました。

アメリカの謀略をまとめた『CIA秘録』(ティム・ワーナ著、文芸春秋刊)という本があります。「まえがき」にこうあります。「本書は、CIAの創設から60年間の記録である。西洋文明史上最強の国が、いかにして諜報機関を作ることに失敗したのかが、綴られる。」(『同書』p9)
つまりこの書は、世界最大の諜報機関であり、スーパーエージェントを多数擁しているかに見えるCIAが、その実、いかに諜報活動や謀略に失敗しつづけてきたのかを延々と立証している曝露本なのです。
例示されている事実のソースのすべてが公開されている点でも説得力を持つ本ですが、読んでいると何とも言えなくなるのは、このCIAの無能ぶりを解き明かした本の中で、対外工作の数少ない成功例としてあげられているのが対日工作であることです。

 「CIAは1948年以降、外国の政治家を金で買収し続けていた。しかし世界の有力国で、将来の指導者をCIAが選んだ最初の国は日本だった」(『同書』p177)
 「岸信介は、児玉と同様にA級戦犯容疑者として巣鴨拘置所に3年の間収監されていた。東条英樹ら死刑判決を受けた7名のA級戦犯の死刑が執行されたその翌日、岸は児玉らとともに釈放される。
 釈放後岸は、CIAの援助とともに、支配政党のトップに座り、日本の首相の座までのぼりつめるのである」(『同書』p178)

僕は「自虐史観」批判を繰り返している方たちにもぜひこの本を読んで欲しいです。なぜか。これまで歴史上、日本に住まう人々をもっともたくさん殺しながら、日本を「てなづけよう」としてきたのがアメリカだからです。
全国の主要都市すべてに行われた空襲、広島・長崎への原爆投下、そして沖縄への上陸戦。明らかなる戦争犯罪が行われ、ものすごい数の非戦闘員がなぶり殺しにされました。しかもアメリカはいまだにその非を認めていないのです。
その歴史から言えば「反米」「嫌米」ムードこそがこの国にあってもおかしくないのに、自虐史観批判を唱える人々は誰もアメリカの理不尽さに抗議すらしていません。むしろ日本に住まう人々の最大の殺戮者であるアメリカを褒め称えていますがそれこそあまりにも自虐的なのではないでしょうか。

なぜそうなってしまったのか。アメリカが日本の反米意識を解体しようとして、長年、さまざまな工作をしかけたからです。その際、最も活用された人物が安倍首長の祖父である岸信介元首相でした。次にあげられるのは中曽根元首相です。
米軍基地を日本に固定化する日米安保体制の基礎も岸政権のもとで固められたのでした。原発の導入はアメリカの策略のもとに中曽根氏と読売新聞が暗躍する中で行われたのでした。これらのことは繰り返し曝露されてもいます。
野党勢力にもこうした工作が仕掛けられました。アメリカが画策したのは反米を貫くものを仲間割れさせることでした。この策謀を残念ながらすべての野党もさまざまな反戦グループも打ち破れずに、分裂抗争を繰り返してきてしまったのではないでしょうか。

沖縄でもこうした分断は繰り返し仕掛けられました。基地をめぐる対立が何度も作られました。しかし沖縄の革新共闘は日本の中で唯一崩れませんでした。そして今回、ようやく保守層の中で基地やアメリカの支配に反対する人々と革新勢力が合同し、「保革対立」を越えて基地反対の声が一本化されたのでした。
沖縄の基地反対オール共闘の実現は、安倍政権を追い詰めることにとどまらず、長きにわたるアメリカの日本民衆の分断の歴史を打ち破る位相をも持っていると僕は思います。
これに対して本土はまだまだ遅れています。自民党や公明党はアメリカべったり。「普天間基地県外移設」を掲げた民主党も鳩山内閣が崩されて以降、まともにこの流れに抗することができない。その上超右派の「維新」や「みんな」など野党内保守、野党内自民党の跋扈ばかりが続いてきました。

しかし今、野党内保守としての「維新」や「みんな」はどんどん崩れているし、さらに何よりも脱原発で目覚めた私たち民衆は「革新共闘」というもはや古い言葉ではくくれないもっと広く大きな統一行動を各地で生み出しています。
ここにこれまで政治から離れていた人々の大きな合流も実現され始めています。それが全国での「金曜行動」の連続100週以上の達成を生み出し、原発再稼働をいまだに止めている大きな力となっています。
私たちは、新たに形作られつつある私たち自身の力に自信を持ち、今こそアメリカの世界戦略に組み込まれた日本のあり方を変えていく歩みを強めようではありませんか。

集団的自衛権行使でイスラム圏の人々と私たちの国が戦うなどまっぴらです。原発だってもともとアメリカに押し付けられたもの。福島で爆発したのもアメリカですでに欠陥が見つかっていたGE社のマークⅠ型原子炉でした。
今の経済不況もそう。冷戦終結後、平和産業を軸に富をたくわえていた私たちの国はアメリカに狙われ、構造調整をしかけられ、そのもとに経済をガタガタにされてきたのです。
にもかかわらずアメリカに原爆を落とされても、欠陥原子炉を押し付けられても、経済をズタズタにされても文句も言えないこの自虐的なあり方を越えて行きましょう。沖縄の心をみんなでうけとめて歩みましょう。

最後に沖縄知事選の最中に、内部被曝の危険性を訴えて全国を走り回ってきた琉球大学名誉教授、矢ヶ崎克馬さんが発したアピールを転載したいと思います。
翁長陣営はこの文章をただちに公式ホームページに載せてくれたのだそうです。今の沖縄に溢れている息吹、本土が学ぶべき心意気が溢れています。
沖縄の心を胸に頑張りましょう。戦争に行くな!選挙に行こう!

*****

 そろそろアメリカという異民族政府の政治的・軍事的・精神的コントロールから抜け出して『主権』を発揮しませんか?
 自らの『個の尊厳』を確保できるようにしませんか?
 その突破口が沖縄県知事選挙「翁長勝利」です。
 米軍辺野古新基地建設を許さない住民の主権の発揮について訴えます。
                                                                                                 
 矢ヶ崎克馬

 仲井真現知事は前回知事選挙の直前に、「辺野古誘致」から「県外」へ政策転換し「普天間・辺野古については争点はない」などとうそぶき、2選を果たしました。
 「県外」は案の定、選挙票目当てでした。昨年末「苦渋の選択」という県民を配慮する言葉もなく「良い正月が迎えられる」と辺野古移設承認をしました。県民を裏切ったのです。
 権力に従い、住民の意思を踏みにじって、住民にどのような犠牲が出ようが構わない、という権力政治の実践者に転落したのです。
 
 思えば、戦後日本の政治はアメリカの言いなりから出発しました。
 1952年4月28日には、沖縄小笠原・北方領土の主権を売り渡す屈辱の講和条約をむすび(安倍内閣は主権回復に日と言い、式典までしました)、同時に日米安保条約を、国民の誰一人に知らせず国会にも諮らず吉田茂首相ただ一人の調印をもって締結しました。

 そもそも、首相も県知事も天皇制国家では任命により天皇の意志を実施する機関でありましたが、民主憲法下ではまさに主権者のために、主権者の命と暮らしを守るために政治を行わなければならない位置づけに変わったのに、まったく旧来の大権力の走狗そのままに、日本の首相が「印鑑をつく」という権力行為を行ったのが、戦後のアメリカによる支配の出発点でありました。
 恥ずべき歴史ですが、日本の「主権」は最初から仲井真のような人間がいて屈辱の道に入ったのです。
 
 「60年安保」で国民の大半は安保改定反対の意思表示をしました。全ての野党、圧倒的多数の国民が意思表示をしたのです。アメリカはこの「アメリカ支配の危機」を日本の支配方法を抜本的に変えることで乗り切ることとしました。いわゆるケネディーライシャワー路線です。
 政権党のコントロールはさらに強化し、野党を懐柔し政権党が変わっても日米関係は同じように維持させるようにする。従わないものは孤立させる。
 実行方法は、労働運動、平和運動、市民運動等々の幹部をアメリカに招待し、学者を特に大量に招待し、厚遇を与え、吹き込んで返す。分断と飴と鞭。その結果政治的共闘、労働運動、平和運動、市民運動はことごとく分断され、分裂し、力を失いました。
 1980年に、以前は革新共闘として野党がそれぞれ独立に判断し共闘してきた歴史に終止符が打たれました。あらゆる県で知事選など、実施されて来た革新共闘は、沖縄を除いて不可能になったのです。
 
 それに対して沖縄の県民の精神はアメリカに支配されず、1972年には復帰を勝ち取りました。住民の運動でアメリカと日本政府の政治枠を変更させた、日本では唯一といってよい巨大な成果です。
 80年以降も沖縄県は知事選挙でも参議院選挙等でも、政党間の革新的共闘が維持され続けた唯一の県です。
 
 今回の知事選で翁長候補は『保守・革新を超えて』「うちなーのアイデンティティー」を呼びかけています。まさに異民族のマインドコントロールにいつまでも支配されるのではなく、わが県民の主権者としての誇りを訴えています。
 県民に「主権者としての一人一人の判断」の独立を訴えています。まさに沖縄の尊厳を確保した復帰闘争は個人個人の主権の発揮でした。
 今回の選挙では、新しい形で県民の主権者としての尊厳を訴えています。
 翁長勝利で、日本住民の主権を取り戻し、国家の主権を取り戻す突破口にもいたしましょう。

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明日に向けて(977)ウクライナの悲劇=被曝の現実を読み解く(ポーランドを訪れて-5)

2014年11月22日 23時30分00秒 | 明日に向けて(901)~(1000)

守田です。(20141122 23:30)

ポーランドから帰ってからかの国のこと、ベラルーシやウクライナのことを調べ続けています。今回の国際会議ではじめてウクライナから来ている方たちと知り合ったことも大きなインパクトになりました。
歴史についてもかなり学びすでに記事にしてきました。まだ20世紀のことが残っており続編を書くつもりですが、今回はそこから少し飛んで、チェルノブイリ原発後の今のウクライナの現状について述べたいと思います。
ウクライナはかつてナチスドイツに激しく攻め込まれ、占領されて膨大な死者と損害を出しました。そこから長い年月をかけて復興を遂げてきた1986年にチェルノブイリ原発事故が起こり、大変な被曝を受けました。
1991年に被災者を救済する法律ができましたがその年の暮れに旧ソ連邦が崩壊。独立国となったものの、ソ連邦崩壊による混乱と原発事故のもたらしたさまざまな被害への対処に追われて、経済的な苦境が続いてきました。

それから20数年経って、ウクライナは今、分裂的な危機の中にあります。親EU派の現政権側と、親ロシア派の東部の人たちの間で軍事衝突が繰り返されており、この先どうなるのか見通しが立っていません。
今回、いろいろなことを調べていて見えてきたのは、今の政治的混乱と軍事対立そのものが、チェルノブイリ原発事故による社会的人的ダメージを背景に起こってきているということです。
現在のウクライナ情勢の分析をしている人々、「専門家」の中でチェルノブイリ原発事故と今を結びつけて解き明かしている人士を僕は知りませんが、しかし考えてみれば当たり前とも言えるように思えます。
膨大な被災者がいて病がどんどん深刻化する上に、検査や治療などさまざまな経費がかかってきたこと、その上、原発事故の後処理にも膨大な予算が消費され、社会の体力が繰り返し奪われて疲弊を深めてきたからです。

ポーランドの国際会議などを通じて知ったのは、ドイツのIBBをはじめ多くの民間団体が苦境の中にあるウクライナやベラルーシに手を差し伸べようと努力を重ねてきたことでした。
しかし他方でウクライナの前にはさまざまな国際機関が立ちはだかり、原発事故による病の多発を認めず、医師たちの告発を握りつぶしてさえきたのでした。このためウクライナは病への対処に当然あるべき国際機関の援助をほとんど得られずにきました。
ウクライナの前に立ちはだかってきたのはIAEA(国際原子力機関)、WHO(世界保健機関)、UNSCER(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)、ICRP(国際放射線防護委員会)などです。
これらの団体がそろって低線量被曝の影響を認めず、ウクライナの人々への救済の道をふさぎ続けてきたのです。大変、悲しく、憤りを感じるばかりの事態ですが、これはけして遠い国のできことなのではありません。同じ組織が私たちの前にも立ちはだかっているのです。

ウクライナやベラルーシの人々との連帯のためにも、私たち自身の未来のためにも、チェルノブイリ原発事故以降にウクライナが辿ってきた経過に学ぶこと意義がここにあるのですが、その入り口としての恰好な書物に出あいました。
『低線量汚染地域からの報告-チェルノブイリ26年後の健康被害』です。馬場朝子・山内太郎著、NHK出版から2012年9月に出ています。
NHK・ETV特集 シリーズ チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告「第1回 ベラルーシの苦悩」と「第2回ウクライナは訴える」(放送は同年9月16日と23日)のうち、第2回をまとめたものです。
著者たちはいずれも現場に取材に入ったディレクターたちですが、2011年4月に公表された『ウクライナ政府報告書』での病の実態の告発を読んだことをきっかけにこの番組の制作を決めたとのことです。

本書の初めの方にこの『ウクライナ政府報告書』が出てきます。チェルノブイリ原発事故後に作られた「国立記録センター」にまとめられた2012年の時点での236万4538人の被災者のデータをもとに作成されたものです。
被災者のうちわけは、原発事故の作業員31万7157人、原発周辺の立ち入り禁止区域からの避難民8万1442人、低線量汚染地域の住民153万1545人、これらから生まれた第2世代31万9323人、すでに死亡した11万5072人です。
この報告書の第3章「チェルノブイリ惨事の放射線学的・医学的結果」に掲げられた疾病は次の通りです。「甲状腺疾患、白内障、免疫疾患、神経精神疾患、循環器系疾患(心臓・血管など)、気管支系疾患(肺・呼吸など)、消化器系疾患(胃や腸など)」(『同書』p34)
注目すべきことはこれらの疾患が時間と共に増えていることです。「原発周辺の高汚染地域からの避難民のうち、慢性疾患を持った人は1988年には31.5パーセントだったのが2008年には78.5パーセントに増加したという」。(『同書』p35)

これらの内容を先に挙げた国際機関が認めないのですが、その理由はウクライナの報告が疫学的な手法で証明されていないというもの。ある集団の被曝線量と健康被害との間に統計的に有意な相関があって初めて病が証明されたと言えるが、ウクライナにはそのようなデータがないと言うものです。
しかしチェルノブイリ原発事故は当初、ソ連当局によって厳重に秘密にされたので詳細なデータが残っていません。事故対処の混乱の中で測られなかった、ないし意図的に測定されなかったものもあります。2か月と少しで環境中から消えて行く放射性ヨウ素をはじめ半減期の短い核種です。
もちろん個々人の被曝の測定もきちんとされていないし、データも秘密化されて存在しているかどうかも分かりません。そのためこの国際機関の論法では、その後にどんな被害が出ようが被曝との因果関係は証明できないものとされてしまうことになります。
実はこれは福島原発事故でも同じことが言えます。政府は意図的にもヨウ素被曝の実態の測定をしませんでした。政府と言うより福島県によってですが、事故直後の弘前大学のチームによる測定が止めさせられています。さらに福島だけではなくて東京までヨウ素は届いたのに、何の被曝測定もされていません。

これに対してウクライナの医師たちは、当初の被曝データがなくても病と被曝の因果関係を科学的に証明できると訴えてきました。
「自然環境、社会環境、経済的特徴は等しいが、汚染の程度が異なる複数の地域において発病率や死亡率などを比較する方法」(『同書』p40)の採用です。これならば当初の被曝量は分からなくとも、被曝と病の蓋然性が示せます。
というよりも実は僕はこちらの方が科学的に妥当な方法だと思えます。なぜかというと、そもそも個人個人の被曝量が測れるという大前提の方にこそ実は科学的な根拠がないと僕は思うからです。
なぜか。事故当初はものすごくたくさんの核種が飛び出して人々に内部被曝が発生します。内部被曝は体内のさまざまなところで起こります。しかもα線の場合はわずか40マイクロメートルの間で起こるのでありとてもではないけれども測ることなどできないからです。

つまりもともと被曝線線量というものも大雑把に「これぐらい被曝しただろう」という目安のようなものでしかないのです。
詳しくは稿をあらためてICRP批判として展開していきたいと思いますが、そのため土壌汚染などを目安に汚染の違う地域の相互比較や、汚染のない地域との比較から被曝による影響のあるなしは当然にも導き出すことができます。
『ウクライナ政府報告書』はこのような方法で、被災者の現実をことこまかに記録してきたデータであり大変貴重なものです。番組のディレクターたちは次のように評価しています。
「ウクライナ政府報告書は、まさに被災国の叫びそのものだ。数多くの病気は死の存在を証明する手段を、事故後の大混乱や旧ソ連の情報隠しによって奪われ、国際社会から何度『非科学的』だと言われながらも、沈黙することだけは断固拒否したウクライナの人々の叫び」(『同書』p41)

内容の紹介に入りたいと思います。まずは甲状腺癌のことが展開されているのですが、今回は割愛させていただきます。これまでもすでに福島の子どもたちから激発しているものが福島原発事故由来のものであることを繰り返し指摘してきたからです。
それよりも今回、着目していただきたいのは他のさまざまな病との関連です。まずこういうデータが示されています。
「原発周辺の高く汚染された地域から避難した被災者のうち、健康な人は1988年には67.7パーセントだったのが、2008年には21.5パーセントに減少した。逆に慢性疾患を持つ人は31.5パーセントだったのだが78.5パーセントに増加した」(『同書』p96)
「ウクライナ政府報告書によれば、慢性疾患の中でも圧倒的に多いのが循環器系(守田注 主に心臓や血管)の病気だ」「ウクライナ報告書ではその中でも『心筋梗塞』や『狭心症』を取り上げることが多いが、この心臓や血管の病気が、がん以外の慢性疾患による死因の実に89パーセントを占めるという」(『同書』p97)

さらにウクライナ国立放射線医学研究センターのウラジミール・ブズノフさんのがん以外の病に関する証言として次のような言葉が紹介されています。
「発症の時期が早いのは甲状腺の異常。そして最も重要なのが循環器系の異常です。疾患の中では、循環器系の異常は30パーセントを占めています。次に消化器系の疾患が約26パ-セント。次に呼吸器官疾患で慢性気管支炎などです」
「死因に関して言えば、80パーセント以上が循環器系の疾患です。具体的には、脳出血、脳梗塞、心不全、心筋梗塞、そして最終的に心筋梗塞につながる狭心症があります」(『同書』p98)
ここにあるようにがん以外の疾患でもっとも多いのは心臓や血管など循環器系の病であるとされている点に注目していただきたいと思います。なぜなら心筋梗塞などはがんと違って、突然死につながるものだからです。

僕がこの点を強調したいと思うのは、端的にいって福島や、被曝量の高いところに住まわれている方々にぜひとも心臓を守っていただきたいからです。あなただけでなくあなたの周りの方の心臓をもです。
心筋梗塞が起こった時に、医学界から強調されているのは6時間以内に救急救命機関に担ぎ込んで欲しいということです。その場合の救命率は90パーセントであるとされています。
また心筋梗塞にはさまざまな予兆があります。それを見逃さずに事前に循環器内科を受診し、治療を受ければ、少なくとも突然、心筋梗塞に見舞われる可能性はずっと低くなります。だからこそあなたと周りの方の心臓に注意を向けて欲しいのです。
心臓疾患の多いアメリカでは「ハリウッド症候群に気を付けろ」とも言われています。映画をみると心筋梗塞の人は心臓を押さえて倒れる。しかし奥歯が痛んだり、顎がしびれたり、左肩があがらない、左腕がしびれる、お腹が痛むなども心筋梗塞由来であることがあります。これを映画の影響で見過ごすなというのです。

今回、ウクライナの報告を読んでいて、ますます心臓を守りあわねばという思いを強くしました。西日本の方とて安心してはいけません。放射性物質は食べ物に混入してさまざまに西日本にも入ってきています。
さらに西日本には中国から大量のPM2.5や黄砂が飛来してきています。これも大変危ない。PM2.5については肺呼吸から血液に入って心臓にまわっていくため、心臓疾患を引き起こすことがすでに証明されてもいます。
そのことを踏まえて、私たちは大量被曝下のこの国で住んでいく上で、本当に十二分に私たちの心臓に注意を払い、祈りを守っていくことに留意していく必要があります。
その努力を重ねながら、ウクライナの人々の長きにわたる苦しみに思いを馳せ、連帯し、同時に苦難の中で積み重ねてきた努力と知恵に学んでいきたいと思います。

続く

*****

なおこれまで心臓を守るために呼び掛けた記事もご紹介しておきます。とくに(634)では今回ご紹介したハリウッド症候群のことをはじめ、心臓を守る具体的な点を書いてあります。
命を守る重要な記事としてぜひ目を通していただきたいです。これを知っているだけで、いつかどこかで目の前の大事な人の命を救うことができるかもしれません。

明日に向けて(617)福島原発事故の影響から心臓を守ろう!
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/83ed3716ed745eb954ee4d297dbd606a

明日に向けて(631)福島で「震災関連死」が増えている・・・心臓を守ろう!(上)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/7c9f201e69779cb487b63c6113b1ae52

明日に向けて(634)福島で「震災関連死」が増えている・・・心臓を守ろう!(下)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/34e78bfe8925a0a46a73bd2b80c27f65


さらに今回紹介した書籍とNHKの番組のリンク先が示されているブログを見つけたので紹介しておきます。
時間のある方は本書と共に放映されたNHKドキュメント「ウクライナは訴える」をぜひご覧下さい!

after311.info
http://after311.info/radioactivity/post-1696/

 

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明日に向けて(976)選挙にいこう!問われているのは安倍強権政権の是非・戦争と原発拡大の道に反対の票を!

2014年11月20日 18時00分00秒 | 明日に向けて(901)~(1000)

守田です。(20141120 18:00)

安倍首相が衆議院を解散することを宣言しました。新たな選挙が12月14日に行われます。

この安倍政権の突然の解散宣言に対し、野党は一斉に「大義なき解散だ」と叫びました。確かに解散に「大義」はありませんが、しかしこの間の安倍政権の政策のほとんどに大義などありません。そんな安倍政権にどんな「大義ある解散」ができたのか疑問に感じます。
肝心なことはこれから行われる総選挙の課題は、消費税増税延期への信を問うものなのではなく、安倍政権のこれまでの政治姿勢を問うことにあるということです。
なぜか。答えは単純。この政権が公約を著しく裏切ったり、公約に掲げなかったことをおし通してきたりということを繰り返してきたからです。他にもたくさんの嘘をつき続けてきた。にもかかわらず私たちは国政選挙という形での審判が下せずにきました。
今回の選挙ではこの間の安倍政権の国民的合意を無視した政策総体への信が問われています。だからこそ戦争と原発拡大の道への反対票を投じたいし増やしたいものです。選挙制度の限界を見据えつつも安倍政権をまっとうに批判する候補者を応援しましょう!

公約違反=裏切りの最たるものはTPPへの参加表明です。
前回の総選挙の時に自民党は何といったのか。「ウソつかない!TPP断固反対!ぶれない!」でした。
ためしに「TPP 自民党 ポスター」と入力して画像検索すると次のようなものが上がってきます。ぜひご覧下さい。
https://www.google.com/search?q=tpp+%E8%87%AA%E6%B0%91%E5%85%9A+%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC&hl=ja&biw=1089&bih=473&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=CY5tVOzXOYXOmwWphIHYCA&ved=0CAYQ_AUoAQ

ここで問われているのは前回、このポスターの内容を信じて自民党に投票した方だということです。こんなにひどい嘘を許してよいのでしょうか。ご丁寧に「ウソをつかない!」とまで言ってウソがつかれたのです。
商品取引だったらこんなあり方は詐欺として告発されます。それが政治には適用されないのがあまりに理不尽なのですが、ともあれこの内容に基づいて自民党に投票した方はぜひ反対票を投じて欲しいです。あなたが騙されたのだからです。
もちろん自民党の議員の中に、本気でこの内容で行動しようとした方もいたと思います。しかし安倍政権は自民党員であろうと自分に逆らうものには徹底したいたぶりを続け、反対意見を封殺する政権です。
今、自民党に投票することはこの安倍首相の公約の裏切りや強権的なあり方に「信」を与えることになります。それは私たちの国をウソのつき放題の国に変えてしまい、激しい倫理低下をももたらし続けます。こうした状態に待ったをかける投票が必要です。

安倍政権の公約違反、公約にないことの強引な取り決めは他にもたくさんの例があるのですが、この点について「東京新聞」が11月19日付で実に的確な記事を出してくれました。
タイトルは「自民公約次々変質」。サブタイトルに「秘密法 記述なし⇒制定」「TPP 反対⇒参加」とあります。
ブログ「幸せの青い鳥」が記事の写真を載せているのでご紹介します。
東京新聞は適宜このような的確な記事を出しているのでみなさんに強く購読をお勧めします。僕も京都在住ですが、郵送で東京新聞を取り寄せて読んでいます。

 ブログ 幸せの青い鳥より
 http://blogs.yahoo.co.jp/kotyannomama/GALLERY/show_image.html?id=17053750&no=0

さて最も参考になるのは「自民党が前回衆院選で掲げた公約と現状」という表です。
以下、それぞれにどのような公約が掲げられたのか、それに対して現状がどうなのかを列挙していきます。

 「経済面」
 公約「デフレ・円高からの脱却を最優先に、名目3%以上の経済成長を達成」
 現状「2014年7~9月期のGDP速報値は名目で年3%減(13年度は名目1.9%増)。円安は進んだが輸出は伸び悩み」です。

 集団的自衛権
 公約「集団的自衛権の行使を可能とし、国家安全保障基本法を制定」
 現状「基本法は制定せず、憲法解釈変更の閣議決定で行使を容認」

 特定秘密保護法
 公約「記述なし」
 現状「国民の知る権利を損なう恐れのある特定秘密保護法を制定」

 原発・エネルギー
 公約「原子力に依存しなくてもよい経済、社会構造の確立を目指す」
 現状「エネルギー基本計画で『原発は重要なベースロード電源』と明記。再稼働を推進」

 公約「最優先課題として再生可能エネルギーの最大限の導入を図る」
 現状「大手電力会社が、固定価格買い取り制度に基づく受け入れ手続きを中断」

 TPP
 公約「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、交渉参加に反対」
 現状「『聖域なき関税撤廃が前提ではない』と交渉参加」

 政治改革
 公約「議員定数削減など国民の求める改革を断行」
 現状「実現せず」

 社会保障
 公約「安心できる制度に向け、弱い立場の人にしっかり援助の手を差し伸べる」
 現状「生活保護の日常生活費を15年度までに計670億円削減」

 地方分権
 公約「基本法制定後5年以内の道州制導入を目指す」
 現状「法案提出に至らず」

 基地負担
 公約「沖縄をはじめ地元負担軽減を実現する」
 現状「沖縄県名護市での普天間飛行場代替施設の建設を推進」

これらをみるならば、公約など何一つ実現できてないばかりか、TPPだけでなく脱原発の方向性も完全にうそだったことが明らかになっています。
さらに「特定秘密保護法」など公約では何も触れてないのに、多数を背景に強引に通してしまいました。これもある意味では公約違反の一つと言えると思います。
公約にないと言えば、原発輸出の積極的推進もその一つ。強引な再稼働の推進もそのための国外に向けた安全性のアピールのためという側面も持っているでしょう。
集団的自衛権についても「国家安全保障基本法を制定」と述べていた。つまり国会で論戦して法を作ると語っていたのに、世論の支持がないことを背景に閣議決定という事実上の密室審議で決めてしまいました。

このように安倍政権は明らかに公約違反のもとに、戦争と原発拡大の方向に走っています。
選挙にあたって、まず自民党や公明党の議員たちは、これら相次ぐ約束の不履行、嘘のオンパレードについて、きちんとした釈明すべきです。支持者の方もそうでない方もぜひこの点を問うて欲しいと思います。
とくに首相の嘘のオンパレードについてどう思っているのか。あれで良いと思っているのかどうかを問いただす必要があります。
明らかに安倍政権の行ってきたことは、民主主義の根本にある合議制の否定だからです。

これらのことからまっとうに考えるならば、今回の選挙で、どうしたって安倍与党を信任するわけにはいかないことは明らかだと思います。
ただしこの先は悩ましい問題が待っています。ではどこに投票するかです。
そもそも民主党もまた政権党になったときにほとんどの公約を実現できませんでした。また野党になってからも存在感を示しているとはまったく言えません。
第三極をめざしたみんなの党は解体を迎えています。維新の党はもともと安倍自民党よりも右寄りであり、なおかつ大阪府政、市政をもてあそぶ姿勢も許されないものです。

しかし今の日本の小選挙区制は、少数政党に極めて不利な歪んだ体制であり、自民党・公明党候補に、反対票を一本化しないとなかなか勝てない仕組みのもとにあります。
選挙制度が大きく間違っており、改革すべきなのですが、それが間に合わない現状では、与党を減らしたくても、対立候補もあまりひどくてなかなかすんなりと現政権への批判を投票に結び付けにくい仕組みがある。
だからといって、投票数が減れば減るだけ与党が有利になります。利権でがっちりと押さえ、嘘を言おうが何をしようが投票をする「組織票」があるからです。
またこのような状況に嫌気がさすがゆえに、これまで選挙にいかない人もたくさんいました。選挙制度が悪いからなのですが、しかしこのように選挙から人が離れることも与党に非常に有利にできています。

その点で僕が呼びかけたいのは、死に票になることを恐れずに、ぜひとも選挙に行こうではないかということです。
どの党の誰にどういう観点から投票するのかはそれぞれで判断が分かれますが、しかしこれだけ酷いことを続けてきた与党に反対する票が少しでも増えることが重要です。
反対票が増えても議席に結びつかないのだとしたら、繰り返し、選挙制度の改革の声も上げて行くことが大切です。
一番、いけないのは無力感に陥ってしまうことです。

安倍首相は勝敗ラインを与党の過半数割れにおきました。過半数を下回ったら退陣すると言ったわけですが、その場合、与党は90議席をも減らしてしまいます。
これに対して他ならぬ自民党の中から「そこまで自信がないのか」「何十議席も失ってもよいと公言するようなもので撤回すべきだ」という声が上がっています。
なぜこのような発言が出てくるのかといえば、まったく論争相手を説得できない安倍首相は、株価や景気=お金による与党への支持だけをあてにしてきたからです。
しかしアベノミクスは完全に行き詰まるとともに、貧富の格差が開くばかりの現実が表面化してきました。そうすれば数々のウソもクローズアップされ、一気に仮称の「支持」すらが無くなることにさすがに気づいているのでしょう。

だからこそ私たちはできるだけ多くの人に、選挙にいって、戦争と原発拡大に向かう安倍政権への反対票を投じることを呼びかけていきましょう。
ただし忘れてはならないのは、この国の選挙制度の歪みのもとで、今回も必ずしも私たちの民意が議席数に反映することにはならないかもしれないということです。
では何が大切なのか。私たちの直接行動です。各地で100回を越えて行われている脱原発を訴えた「金曜行動」がその象徴です。
あれほどの圧倒的議席数を背景に、横暴を極める安倍政権とて、いまだに一つの原発の再稼働も実現できていないのです。なぜか。街頭に議席には反映しきれていない民意が厳然として表れているからです。安倍政権とて今の自分たちの議席数が民意を反映してなどいないことを知っているのです。

それらから私たちは、選挙制度の大きなゆがみをしっかりと見据えつつ、結果としての議席数に惑わされることなく、私たちの民意を表していきましょう。
そのためにも街頭行動、直接行動を一切、緩めることなく、さらに力強く担っていきましょう。
その中で、どこの党の誰であろうと、現在の国難に本当に真剣に向かい合おうとする候補者に目先の議席の獲得など度外視して、票を投じていきましょう!
いろいろな考え方はあるので尊重しますが、僕自身は「勝つための選挙」という数合わせ的な発想が好きではありません。真実を語る誠実な人こそがいつか歪みを破って勝てるようになることをめざし、純粋に支持出来る人にこそ票を投じようではありませんか。

最低限、この間、一番嘘をついてこなかった候補者に投票しましょう。
そのためにぜひ自分の選挙区の候補者がこれまでどのような言動をしてきたのかを調べて下さい。
嘘つきに投票するのは止めましょう。もちろん主張を変えること事態はあります。その際はきちんと主張を変えたことの説明を行っているかどうかが大事なポイントです。
民主主義を担うのは私たち一人一人。その自覚と誇りを持って選挙に行きましょう。行くことを訴えましょう!私たちの行動で下からこの社会を変えて行きましょう!


 

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明日に向けて(975)脱原発をめざし全国で連帯してさらに進もう(青森・岩手・宮城編)

2014年11月19日 22時30分00秒 | 明日に向けて(901)~(1000)

守田です。(20141119 22:30)

全国の脱原発運動の紹介の2回目です。今回は東北6県のうち青森・岩手・宮城をご紹介します。
岩手・宮城両県はともに津波でも大きな被害の出たところですが、活発な運動があります。三陸海岸の宮古市でも毎月のデモが行われています。

なお岩手県盛岡市の金曜デモはこの11月7日で100回目となったそうです。
宮城県仙台市の金曜デモは明後日21日で112回目。宮城県大崎市の金曜デモは11月14日で116回目だそうです。
各地で100回を越えるデモが行われています。すごいことです。どこのデモがとくにすごいということはないですが、例えば大崎市は人口約135000人の町。
大都市ではない町でもこうして100回を越えるデモが行われていることに私たちの国の草の根の力を感じます。大崎のみなさん。116回目のデモは15人で歩かれたそうです!

なお、かなりの時間を費やして情報を調べていますが、それでも各地の運動で漏れているものがあると思われます。
「これが載ってないよ!」という情報や、所在地の間違い等々ありましたらご指摘ください。その都度、訂正していきたいと思います。

以下、3県の情報を載せます。

*****

《青森県》
【青森市】
〇核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会
http://nonukesrokkasho.wordpress.com/

原発なくそう!核燃いらない!あおもり金曜日行動
2014年 11月 21日 (金曜日)
場所 青森市新町1丁目2-15
時:17時45分~18時15分
場所:青森市駅前 駅前公園
(木を丸く囲ったベンチのラビナ~バスロータリー側)

主催:「原発なくそう!核燃いらない!あおもり金曜日行動」実行委員会
連絡先:核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会
所在地:青森県上北郡野辺地町字中道14-39(澤口方)
電 話:080-6041-5089(阻止実携帯 中道)
メール:hakakunen@gmail.com
☆プラカード持ち込みOK、楽器、歌、パフォーマンス自由、コール&トーク大歓迎!
インターネット同時配信中。

〇なくそう原発・核燃、あおもりネットワーク
http://nakuso-gk.net/

11月22日(土)「核と基地の青森」バスツアー企画
時間:12:20八戸駅西口集合、12:30 八戸駅発、18:00 青森駅着
参加費:3,500円
コース:
A:東通原発フィールドワーク
B:六ヶ所核燃施設フィールドワーク
C:三沢基地フィールドワーク
※夜の「めーどin あおもり」企画 あおもり特色の4店舗会席へ引率

この他、企画多数
http://nakuso-gk.net/event.html

注目のページ
鼻血論争について 北海道がんセンター名誉院長 西尾正道
http://nakuso-gk.net/siryou/02-siryou01.html
 
【八戸市】
〇PEACE LAND金曜アコースティック・デモ
http://peaceland.jp/PeaceFiles/event.html#Anchor-PEAC-48739
 
毎週金曜日5時30分に八戸市役所前広場に集まりタイコのリズムに合わせてみんなで楽しく中心街を歩きましょう
コース 八戸市庁前~六日町~十六日町~十三日町~三日町~市庁前

〇核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団
http://www5a.biglobe.ne.jp/~genkoku/index.htm

【弘前市】
〇「子どもたちに核のない未来を」実行委員会ブログ
http://stopgenpathu.blog.fc2.com/

【その他】
〇この他の青森県で反核行動を行っている団体
原水禁青森
青森県保険医協会
原発核燃をなくす下北の会
六ヶ所・核燃から漁場を守る会 
核の中間貯蔵施設はいらない!下北の会代表

(守田注 六ケ所村を抱える青森県の情報です。さすがに脱原発だけでなく「核燃反対」という言葉がたくさん見られます。
六ケ所村は日本の原発の矛盾のすべてを押し付けようとされている場。これに反対する動きに全国から連帯していきたいです)


《岩手県》
【盛岡市】
〇#脱原発 #盛岡 金曜 #デモ のブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/sayounaragenpatsu

〇盛岡でもデモし隊
https://www.facebook.com/moriokademodemo

金曜デモは11月7日で100回目 65人参加
http://blogs.yahoo.co.jp/sayounaragenpatsu/54619368.html

11月21日(金)
デモじゃないよ!お勉強会!!
「持続可能な暮らしと原発-シミュレーションと資料検証で学び合う-」
岩手県公会堂11号室 参加無料
開場18:30 お勉強会 19:00~20:00

〇日曜日もデモし隊 改め 土曜日もデモし隊(サウンドデモ)
https://www.facebook.com/1111moriokademo

〇さようなら原発 岩手県集会2014
https://www.facebook.com/pages/%E3%81%95%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AA%E3%82%89%E5%8E%9F%E7%99%BA-%E5%B2%A9%E6%89%8B%E7%9C%8C%E9%9B%86%E4%BC%9A-2014/691530400915494?fref=nf

〇三陸の海を放射能から守る岩手の会
http://mattasaisyori.wordpress.com/author/mattasaisyori/

〇脱原発昼デモ実行委員会(仮称)
2014年6月より毎月11日昼にデモ

【奥州市】
〇NO NUKES IWATE
http://nonukesiwate.blog.fc2.com/

〇放射能被曝から子どもを守る会・いわて
http://ameblo.jp/miraieforchildren-iwate/

〇放射能問題市民交流会(岩手)
http://serendipity24.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-3dfd.html

【宮古市】
〇原発ゼロ宮古の会
~毎月11日18:00から、原発NOウォーク実施中(^^)/~
集合場所:宮古駅前西広場(三陸鉄道宮古駅前)
http://nonukesmiyako.jugem.jp/?eid=47

【その他】
〇6月の脱原発運動@岩手
https://www.facebook.com/notes/mitsuhiro-anada/6%E6%9C%88%E3%81%AE%E8%84%B1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E9%81%8B%E5%8B%95%E5%B2%A9%E6%89%8B/803359186342744

(守田注 盛岡の金曜デモは日によってコースを変えています。内丸緑地公園集合が多いようです。この他、サウンドデモもあります。
奥州市の団体はいずれも本拠を奥州と明記してないのですが、集会が奥州市で行われているためここに分類しました。
三陸海岸の宮古市では毎月11日にデモが行われています。岩手県も活発ですね。今年の6月の行動の報告ページもご覧下さい。こんなに運動があるよ!と誇らしげな報告がされています)


《宮城県》
【仙台市】
〇みやぎ金曜デモの会
https://www.facebook.com/miyaginonuke
http://miyaginonuke.blog.fc2.com/blog-entry-234.html
(みやぎ脱原発・風の会有志、杜の市民力有志、わかめの会有志などの個人の集まり)

第112回 脱原発みやぎ金曜デモ
【名称】女川原発再稼働するな!子供を守れ!汚染はいらない!みやぎ金曜デモ 
(略称:脱原発みやぎ金曜デモ)
【日時と場所】11月21日(金) 元鍛冶丁公園 18時集合 フリートーク 18時半デモ出発

〇みやぎ脱原発・風の会
http://miyagi-kazenokai.com/event

=風の会・公開学習会 vol.5=
-吉田調書が語る- 『福島原発事故の教訓』
講師 仙台原子力問題研究グループ 石川徳春さん

日時 12月6日(土)18:30~20:30
会場 仙台市市民活動サポートセンター研修室5
(仙台市青葉区一番町四丁目1-3)
参加費 300円
主催 みやぎ脱原発・風の会
問合せ 090-8819-9920 hag07314@@nifty.ne.jp(@をひとつはずしてください)

〇わかめの会 – 三陸・宮城の海を放射能から守る仙台の会
http://lmswkm.net/

〇子どもたちを放射能汚染から守り、原発から自然エネルギーへの転換をめざす女性ネットワークみやぎ
http://blog.canpan.info/joseinet-miyagi/
同団体の署名活動(毎月展開中)
http://blog.canpan.info/joseinet-miyagi/img/E5A5B3E5B79DE58E9FE799BAE5868DE7A8BCE5838DSTOPE7BDB2E5908DE794A8E7B499.pdf

〇原発いらない宮城ツユクサの会
http://blog.livedoor.jp/tsuyukusanokai/

〇i-くさのねプロジェクト
http://www.kusapro.com/

〇東北教区放射能問題支援対策室いずみ
http://tohoku.uccj.jp/izumi/

【大崎市】
〇脱原発大崎demo原発はいらない
http://ameblo.jp/tadappi2772/

11月14日、第116回目の脱原発大崎demo金曜行動 大崎市古川あさひ中央公園で15名の参加で開催

【女川市】
〇「女川原発の再稼働を許さない!2014みやぎアクション」
http://dkazenokai.blog.fc2.com/

〇女川から未来を考えるつどい実行委員会
http://tanoshiroyama.com/onagawa/index.html

【栗原市】
〇放射能から子どもたちを守る栗原ネットワーク
http://kuriharasimin.blog.fc2.com/

(守田注 女川原発のある宮城県の情報です。さすがに仙台市には多様な運動がありますね。僕を講演に招いて下さった方たちの運動もありました。
宮城県南部には僕が良く知っている「みんなの放射線測定室てとてと」と「小さき花・市民の放射能測定室」など、さまざまな測定運動もあります。測定室情報についてはまたの機会にアップします)

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明日に向けて(974)「カノンだより」を観に来て下さい!鎌仲&ロクロー対談+守田、鎌仲&守田対談にも!

2014年11月18日 23時00分00秒 | 明日に向けて(901)~(1000)

守田です。(20141118 23:00)

映画「小さき声のカノン」を製作中の映画監督、鎌仲ひとみさんが京都・滋賀に来られることになりました。
23日は13時半より左京区の「左京いきいき市民活動センター」でカノンだよりVol.3を上映。
その後、ノンベクレルキッチンホテヴィラの広海ロクローさんと対談します。
お二人の対談がメインなのですが僕も飛び入りで参加させてもらうことにしました!なので鎌仲&ロクロー対談+守田となります!

24日は滋賀県栗東市で行われるアースデイしがに鎌仲さんが参加。映画「カノンだより特別版」の上映と講演会があります。
その上映の前に野外ステージで鎌仲さんと僕が対談します!
僕自身としては2日間にわたって鎌仲さんとお話することになります。とても楽しみです。

鎌仲さんと初めて出会ったのは滋賀県高島市で毎年行われている「山水人」の場。
他に二人の方とのパネルディスカッションに参加させてもらいました。
このとき、僕は被爆医師の肥田舜太郎さんをインタビューさせていただき、岩波書店『世界』に載せていただいた後でした。
鎌仲さんはその記事を読んでくださり、肥田さんが言いたいことを僕がきちんと聞き取って文字にしていると感じて、僕を信頼して下さったそうです。

僕は鎌仲さんの温かさ、ポンポン語るテンポのよさ、あけっぴろげで歯に衣を着せないけれどもなんとも楽しい雰囲気、そしてそれらの奥底に流れる優しさに魅了されました。
またこの頃に映画「ヒバクシャ」を観ても唸りました。そもそもこの映画を観たのがこの直前で、鎌仲さんに「信じらんな~い」と怒られてしまいましたが、ともかくとても先駆的だと思ったのです。
「ああ、今必要なすべてのことを、こんなに前からきちんと映像にしていてくれていたのだ」ととてもありがたい気がしたのでした。ちなみにこの映画の重要な主人公のひとりが肥田舜太郎さんです!

その鎌仲さんは今、映画「小さき声のカノン」の製作の真っ只中にいます。
この映画はどんなものなのか。鎌仲さんはどのような思いで作ったのか。
例えばママレボ8号の中に素晴らしいインタビュー記事があり、そこから思いを知ることができます。

ママレボ8号
2014年7月18日金曜日

鎌仲ひとみ監督インタビュー
「子どもを守ろう、と動きだしたお母さんたちの存在は、絶望のなかの希望です」
http://momsrevo.blogspot.jp/2014_07_01_archive.html

そもそも鎌仲さんが放射能と向かい合いだしたのはイラク取材が出発点。
劣化ウラン弾に被ばくした子どもたちを取材して胸を痛めると同時に、ご自身も深刻な健康被害に見舞われました。
その後に福島原発事故が起こった時、原子力村の取材からきちんとした対応をしないだろうとは思っていたけれどもここまで民衆を守らないのかと唖然としたそうです。
しかも自分たちの不始末の隠蔽工作だけは早かった。本当にひどい状況が現れた。

でもそんな中でも大きな希望があった。それが小さい子どもたちを守ろうとした女性たちの行動だったのでした。
鎌仲さんはその行動に寄り添いました。各地で起ちあがった女性たち、お母さんたちのそばに立ってカメラを回し続けた。
同時に彼女はベラルーシ、ウクライナにも飛び、かの地の女性たち、子どもたちを守ろうとしてきた人々の姿もカメラにおさめてきた。

またまた先駆的な映画を作っているなあと僕は思います。
ある意味で残念なことに、こうした女性たちの行動が非常に尊いものであることが、これからどんどんと社会的に光を浴びることになります。
他ならぬ放射線被ばくによって病そのものが急速に発症し始めているし、被ばくが放任されている今のままでは深刻に広がらざるを得ないからです。

やがて社会全体がそれに気が付くことになる。そのとき今よりも強い絶望感が押し寄せてくるはずです。
しかしその中でも希望があったし、これからもあることを鎌仲さんは映像で刻み付けようとしています。いち早く起ちあがった人たち、女性たちの姿があったのです。
そして大切なことに気が付いた人はその時からこうして前を歩いていた人の後を歩めばよい。そのための道筋が「小さき声のカノン」の中に記録されつつあるのだと僕には思えます。

もちろん鎌仲さん自身は、そして僕もまた未来のための覚醒のために動いているわけではない。たった今、多くの人に放射線の危険性を知って欲しいし、手厚い防護を初めて欲しい。
そう思いつつ、東奔西走しているわけですが、しかし映像作家である鎌仲さんの眼はいつも未来の観客の眼をも意識しているのだと思います。
今、すべての被曝を止められない限りそれはとても重要なことです。結果的にものすごく多くの人を守ることになります。

といっても、まだ作品ができていないので全体像は分からないのですが、幸いにも鎌仲さんはこれらの過程を「カマレポ」としてショートストーリーで紹介してきてくださいました。
それをまとめたのが「カノンだより」です。僕は毎月発行のカマレポを購読していて、毎回観させてもらっていますが、その中には僕が皆さんに伝えたいことがたくさん紹介されている。
というか僕もよく知っている方たち、注目している方たちもたくさん登場しています。ぜひみなさんに観て欲しいです。


また今回は京都ではわが友、広海ロクローさんと鎌仲さんとの対談がなされます。
ロクローさんは京都で資材を投げ打って高価な放射線測定器(ベクレルモニター)を購入し、NONベクレル食堂を開設した人です。まさに義挙でした!
実は開設にいたる過程で僕も少し関わりを持たせてもらいました。最初は測定室を建てるつもりという話でお手伝いをしていたのです。
僕はそのころ、宮城県に立ちあがった二つの測定室、「みんなの放射線測定室てとてと」と「小さき花 市民の放射能測定室」に関わりを持たせていただいていました。

ここにともに岩波ブックレット『内部被曝』を編み出した矢ヶ崎克馬さんと一緒に訪れることになり、ロクローさんにも測定室を観てもらいたいと誘ったのでした。
かくして共に宮城県南部を訪問することになりました。二つの測定室とも素晴らしいところで大歓待してくださいました。

このうちの「小さき花」を建てた石森君は、自分が単身、乗り込んで一人で開墾した山の中の農地をすべて放射能汚染されてしまっていました。ロクローさんはそれを聞いて一人涙を流していました。
ちなみに今回の鎌仲さんの映画の題名「小さき声のカノン」の「小さき」はこの「小さき花」が由来していると聞いています。鎌仲さんのセンスの良さに「さすがだなあ」と思いました。

さてこれらの測定室の訪問を終えたロクローさんは、測定室ではなく食堂を作ると言いだした。僕は当初、なぜ食堂なのかよく分かりませんでした。
でもできあがったレストランを観て、そこに訪れるお客さんたちを観てその意味がとてもよく分かりました。そこには、被ばくに苦しみながら避難してきた家族が、安心して、涙を流しながら、美味しい美味しいと肉などを食べている姿がありました。
これらについて食堂ができたばかりのころにインタビューした記事を紹介しておきます。

明日に向けて(588)NONベクレル食堂のめざすもの(上)20121128
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/53019391d83eb2c9151c14dd4bb3bedf

明日に向けて(589)NONベクレル食堂のめざすもの(中)20121129
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/cbc7670f51fe5cd76976a10275930cb7

明日に向けて(590)NONベクレル食堂のめざすもの(下)20121130
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/20f0a119fa1e4cde34ccb35e8a9f7214

僕はこの試みもとても先駆的なものであり、義挙であったと受け止めています。
ロクローさんは今は食堂から「ノンベクレルキッチン ホテヴィラ」に居を移して、志を継続させています。

さてその鎌仲さんとロクローさんが対談されるわけですが、二人ともすでに山水人の場で仲よくなっており、その時も僕も共にいました。
なので今回もロクローさんに無理をいって僕も後から飛び入りさせていただくことにしました。

その上で、翌日24日には「アースディしが」で、鎌仲さんと僕とでお話します。
この日はロクローさんも別枠で「アースディしが」に参加されます。
二日間、3人で行動を共にすることになります。

僕自身としてはどちらかと言えば聞き手にまわって、お二人からみなさんの力になる話を聞きだしたいなと思っています。お近くの方は、ぜひお越しください。

以下、それぞれの企画と「小さき声のカノン」公式ホームページのアドレスを貼り付けておきます!

*****

11月23日(日)13時半〜

カノンだより Vol.3 上映会
“保養”が子ども達の命を守る!
 ~日本とベラルーシの現場から~

https://www.facebook.com/events/993744797305831/

2015年公開予定の新作「小さき声のカノン-選択する人々」
製作現場より、各地で出会った”小さき声”をいち早く届ける動画メルマガ「カマレポ」を配信中です。
チェルノブイリ原発事故後のベラルーシ、ウクライナの人々。
今も収束しない福島第一原発事故と共に生きる日本の人々。
交差する視点が今の私たちを浮かび上がらせます。

カノンだよりvol.3の上映後、
鎌仲ひとみ監督 トーク解説

広海ロクロー・鎌仲ひとみ監督の対談。

会場の関係で、予約制【定員40名】*メールと電話で受け付けます。
電 話:080-3101-1636
E-Mail:mail@6960sakyo.net
●先着で、託児も受け付けています。
お申し込みの際にお申し付けください。

会場:京都市左京西部いきいき市民活動センター
電話  075-791-1836 京阪電車出町柳駅より徒歩7分
〒606-8201 京都府京都市左京区田中玄京町149

主催:ロクローと市政を考える会
電 話:080-3101-1636

*****

11月24日 滋賀県栗東市

アースディ しが 2014
めぐるすべてのいのちのつながりのなかで 今ここに生きている

11月24日(月・祝)
午前10時~午後5時
野外ステージ音楽ライブ・トークイベント『くらしとせいじカフェ』
11時~ 対談 鎌仲ひとみ&守田敏也

なお中ホールで午後1時半より鎌仲監督の講演と「カノンだより特別版」の上映もあります。

その他のスケジュールも含めて、詳しくは以下をチェック
アースディしが 公式ホームページ
http://earthday-shiga.seesaa.net/category/23116700-1.html

*****

小さき声のカノン
公式ホームページ
http://kamanaka.com/canon/

26年後のベラルーシ編CM 2013年8月5日配信
https://www.youtube.com/watch?v=r-c4P_jWR8I

"カマレポ" CM 〜 100人の母たちから100万人の母たちへ 〜 2013年8月23日公開
https://www.youtube.com/watch?v=jBn3fSwAgUY

"カマレポ"CM 〜チェルノブイリ・ツアー編〜 2013年10月11日
https://www.youtube.com/watch?v=SEGE5v3Y__0

「カマレポ No.12」短縮お試し版! 2014年6月10日
https://www.youtube.com/watch?v=6-J1-Mg4sbc

 

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明日に向けて(973)脱原発をめざし全国で連帯してさらに進もう(北海道編)

2014年11月18日 10時30分00秒 | 明日に向けて(901)~(1000)

守田です。(20141118 10:30)

沖縄知事選で翁長雄志さんが36万票で当選しました。仲井真前知事が26万票。大差での勝利でした。
沖縄の方たちは、集団的自衛権の行使容認の強引な決定など、この国を戦争への導こうとしている安倍政権に対し、明確にNOの声をつきつけてくれました。とても嬉しいです。
これに続いて私たちは再稼働にも突き進む安倍政権への反対の声をさらに強めていきましょう!

安倍政権が踏み切ることを決定した解散-総選挙は「消費税の引き上げを延期することを国民に問う」という名目で行われようとしていますが、実際のところはそうではありません。これは安倍政権に対する信任投票です。だからこそ反対の意志を明確に示す必要があります。
安倍政権をめぐっては、集団的自衛権、秘密保護法などなど、さまざまに重要な点がありますが、中でも注目すべきは再稼働を強行し、原発輸出まで行おうとしている安倍政権への批判を集中することです。そのために一人でも多くの与党議員を落としたいですね。

さてそのために私たちに大事なのは、私たち民衆の力をよく知ることです。とくに大事なのは福島原発事故以降、私たちの国の民衆運動のあり方が大きく変わり、各地で積極的で粘り強い運動が繰り広げられていることです。
この時期に互いに互いの運動の今を把握できるようにと、現時点でどれだけの脱原発運動への取り組みがあるか集計をはじめたところ、実に多様な活動が展開されていて、とても一回で全部を扱うことができないことが分かりました。
そのため今後、何回かに分けて、各地の取り組みの情報を掲載していきたいと思います。掲載された情報のお近くの方は、ぜひ一度は足をお運びください。また遠くの方はぜひ他の地域の運動に目を向け、互いにエールを交換していきましょう。

こうした観点から、今回は北海道の情報を集めました。
なお情報収集については以下のサイトを活用し、個々の団体のサイトがある場合はそれも閲覧して、直近の行動の紹介も載せました。

 脱原発全国金曜アクション一覧
 http://demojhks.seesaa.net/article/296349527.html

 首都圏反原発連合
 全国の金曜アクション一覧
 http://coalitionagainstnukes.jp/?page_id=1567

 デモ開催情報まとめ(地震・原発関連)
 http://www47.atwiki.jp/demomatome/

 原発をなくす全国連絡会
 http://www.no-genpatu.jp/index.html

ただしすべての内容を正確には把握しきれてはいないと思いますので、当該行動に参加される場合は、直接主催者に確認されてください。
とくに金曜日の行動については、場所によって不定期な取り組みであったり、時間が変動している場合もありますのでご注意ください。
またここに掲載されていない情報で「ここでも取り組んでいるよ」というのがあればぜひ教えて下さい。
なお放射線測定室の活動も市民の積極的な運動であり取り上げたいと思いましたが、情報が膨大になるので今回は割愛しました。・・・申し訳ありません。

過去に全国の運動をまとめてお知らせした僕の記事も掲載しておきます。
自分でも2013年3月の全国の取り組みが把握できただけでも274か所以上であったことなど、あらためてこの国の下から沸き起こり続けている力の強さを感じました。

 明日に向けて(165)611脱原発行動の集計が出ました! 20110621
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/dbf7c017bff4bded4d6a6b60f32783d4

 明日に向けて(611)全国107都市以上で金曜行動! さあ、もう一度、脱原発のうねりを!20130114
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/cf2949a1eeb1ba84ba448692e9fc2dda

 明日に向けて(639)全国274ヶ所+αで脱原発行動!(上)20130312
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/de00ceb1b023704bec545b3a8833642a

 明日に向けて(640)全国274ヶ所+αで脱原発行動!(下)20130312
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/398b6df4f59762a26c68748106ebf60e

以下、各地の情報を列挙します!

*****

【札幌市】

〇北海道反原発連合
http://h-can.net/index.html

【北海道庁前から官邸に向けて】毎週金曜日 道庁北門前 反原発抗議行動 18:00-20:00 札幌から原発の無い未来へ向けて。
【札幌 反原発抗議】ツイートボタンで拡散のご協力を→http://h-can.net/

2014年11月7日で122回目!

サウンドデモも実施中
https://www.youtube.com/playlist?list=PLcPQNYATZFc0XejrFXQ6-whzsQ7fhTFVl

〇原子炉メーカーを糾弾する会
http://no-reactors.holy.jp/index.html

日本製鋼所・東芝・日立・三菱重工・電源開発・北海道電力前抗議行動実施中!
集合場所:札幌市中央区北1条西5丁目2-9北一条三井ビル前(中央警察署南向かい)
時間:12:20~スタート(日本製鋼所札幌支店前から)
※その後、各所20分を目安に巡回抗議をしていきます。
日程:隔週(金)

11/28(金)【第60回巡回抗議】 12:20~14:30
12:20~12:50  日本製鋼所  【札幌市中央区北1西5-2-9 北一条三井ビル前】      
13:00~13:20  三菱重工業  【札幌市中央区北2西4-1 北海道ビル前】        
13:30~13:50  電源開発   【札幌市中央区北3西3 大同生命ビル前】        
14:00~14:30  北海道電力  【札幌市中央区大通東1丁目2 本社前】


〇泊原発の廃炉をめざす会
http://tomari816.com/home/index.html

〇さっぽろ市民放射能測定所 『はかーる・さっぽろ』
https://www.facebook.com/SapporoShiMinFangSheNengCeDingSuohakarusapporo

(守田注)

北海道の運動で一番たくさんの人が集まっているのはやはり札幌ですね。
北海道反原発連合が主催。11月7日で122回とあったから14日で123回、次回21日で124回となるのでしょう。
「原子炉メーカーを糾弾する会」の方たちの各メーカーは電力会社を巡回しての抗議もユニークだなと思いました。
これも回数が60回と凄いですね。こうした積み重ねには確実な効果があると思います。
なお泊原発の廃炉をめざす会は、札幌市の中の運動というわけではありませんが、札幌に本拠を置かれているのでここでHPをご紹介しておきました。


【旭川市】

〇旭川アゴラの会
https://www.facebook.com/asahikawaagora/app_332266323528129

脱原発・原発再稼働反対集会in旭川
毎週金曜午後6時 雨天決行
まちなか交流館前旭川市買物公園4条

〇チーム今だから~未来の命のために脱原発をめざす旭川市民の会
http://ima311.web.fc2.com/
https://www.facebook.com/imadakara311?ref=stream

〇脱原発アクション NO NUKES 旭川
http://ameblo.jp/611nonukes/

〇こどもと給食を守る会@旭川
https://www.facebook.com/asahikawakyushoku?bookmark_t=page
          
(守田注)
「旭川アゴラの会」さんのFacebookが更新されておらず、初めは現状が分かりませんでしたが、「チーム今だから」によって今も頑張られていることが分かりました。
金曜行動をはじめたのはわずか3人。それが10人、20人とひろがって70人になり・・・とも書かれていました。


【釧路】

〇脱原発ネット釧路
http://blogs.yahoo.co.jp/nonukes946
https://www.facebook.com/pages/%E8%84%B1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E9%87%A7%E8%B7%AF/155319844537626?sk=timeline

釧路駅前集会
金曜日開催(11月14日は参加者9人)
https://www.facebook.com/155319844537626/photos/pcb.732755966794008/732754806794124/?type=1&theater

核のゴミを考える
-原子力負の遺産 その後-
講師 関口裕士(北海道新聞記者)マシオン恵美香(ベクレルフリー北海道代表)
12月2日18時半から 釧路市生涯学習センター5階
12月3日19時から とかちプラザ4階401号室
https://www.facebook.com/155319844537626/photos/a.452771528125788.1073741825.155319844537626/734252449977693/?type=1&theater 

(守田注)
釧路駅前での14日の金曜行動の写真が載っていました。寒そうな中、9人で頑張られています。
人数は少なかろうと、こうやって寒さに負けずに駅頭に立っている方がいるのだなと思うとジーンとしました。
なお「脱原発ネット釧路」さんのFacebookに、川内原発再稼働容認可決の時の議会での抗議シーンの動画が掲載されていました。
BBCで放映されているものですが、僕は「脱原発ネット釧路」のアップではじめてこの情報に接しました。
鹿児島の方たちの頑張りに胸を打たれるとともに、それを釧路の方たちが胸を熱くして見ていたのだなということにも改めてジーンときました。以下、紹介されていた情報です。

BBC NWES ASIA 7 November 2014
Japan governor approves Sendai reactor restart
http://www.bbc.com/news/world-asia-29947564


【帯広市】

〇泊原発廃炉の会十勝連絡会
http://hairotokachi.jpn.org/2014/10/info/1004

毎週土曜日に署名アクション 帯広駅南側
11月22日 第46回12時~13時
12月6日  第47回13時~14時
12月13日 第48回13時~14時
http://hairotokachi.jpn.org/schedule

11月22日 10時~16時
帯広「笑エネ☆節電&自家発電エコライフセミナー」
場所:あがり框(帯広市西10条南5丁目1)
講師:はらみずほ、早川寿保
主催:ビューティフルライフ研究会 090-9085-7875(木村)

(守田注)
帯広の方たちは金曜行動ではなく土曜日に「署名アクション」をされているようです。
次回は22日。29日はお休みのようです。


【伊達市】

〇ストップ原発金曜デモ in 伊達 (黎明観前集合)
2013年3月22日 第9回
2014年4月4日  第29回
http://kitano-slowlife.jp/event/?S=18407

詳細不明

(守田注)
北海道の伊達市での行動です。人口約36000人の街です。現在の情報はつかめなかったのですが、デモが重ねられてきたようです。

***

その他、北海道全般の情報の掲載

〇脱原発ネットワーク北海道
http://nonuke-h.greenwebs.net/

〇「原発をなくす全国連絡会」による集計
2014年3月全国一斉行動のときの北海道の取り組み
http://www.no-genpatu.jp/03joho/joho_hokkaido.html

(守田注)
「原発をなくす全国連絡会」の情報によると2014年3月に以下の都市で取り組みがあったことが分かります。
札幌、岩内、小樽、函館、旭川、北見、帯広、釧路、苫小牧、室蘭、滝川、深川

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明日に向けて(972)原子力規制委の噴火評価はデタラメ!火山学会の誠実な提言を受け入れるべきだ!

2014年11月15日 23時30分00秒 | 明日に向けて(901)~(1000)

守田です。(20141115 23:30)

今宵も川内原発再稼働問題について論じたいと思います。
今回は原子力規制委員会の火山活動への評価があまりにもデタラメであること。火山の専門家からの提言をまったく無視したものであって、審査を即刻取り消すべきであることを論じます。

川内原発再稼働への無責任な認可を出した原子力規制委員会に対して、火山の専門家である日本火山学会が真っ向からの批判を行っています。
11月2日、同学会は、原発を火砕流を襲うような巨大噴火について、事前に予知が可能であり、燃料棒を安全に運び出すことができるという九電の見解を認めた原子力規制委員会の審査の見直しを求める提言をまとめました。
委員長の石原和弘京大名誉教授は「火山噴火の予測に限界があることを国民に対しても知らせないといけない」とも語っています。

 火山学会「予測限界ある」、原発の審査基準見直し提言
 朝日新聞 2014年11月2日
 http://www.asahi.com/articles/ASGC2671GGC2ULBJ00T.html

これに対して原子力規制委員会の田中俊一委員長は5日の記者会見で「不快感」を表明。「もっと早急に発信すべきだ」「今更そんなことを言われるのは本意ではない」などと述べました。
さらに「火山学会をあげて夜も寝ずに観測して頑張ってもらわないと困る」などとも発言しています。

 「火山学会は夜も寝ずに頑張れ」田中氏が不快感
 読売新聞 2014年11月6日
 http://www.yomiuri.co.jp/science/20141105-OYT1T50192.html

田中氏のこれらの発言は、誠実な提言を試みている日本火山学会を愚弄するものであり、科学の冒涜そのものです。何よりもこのことをおさえておきたいと思います。
私たちは決然として政府批判に踏み切った日本火山学会の提言を熱く支持し、かつ同学会の科学者たちを守っていく必要があります。
これまで原発推進側にまわった多くの科学者たちが、いわゆる「御用学者」として、不誠実で無責任な態度をとってきたのとは雲泥の差があります。学会として政府の無謀な政策を諫めようとしている姿勢を力強く後押しする必要があります。

まず田中委員長が知るべきなのは、同学会に集う科学者たちは、けして「今更に」批判を掲げだしたのではないということです。
たとえば同学会の重鎮であり、気象庁の火山噴火予知連絡会会長を務める藤井敏嗣・東京大学名誉教授は2014年8月10日に配信された東洋経済ONLINE上において「規制委の火山リスク認識には誤りがある」と明確な批判を展開しています。

 「規制委の火山リスク認識には誤りがある」
 東洋経済ONLINE 2014年8月10日
 http://toyokeizai.net/articles/-/44828 

ぜひ全文を読んでみて欲しいですが、要点をあげると、まず現在の火山学では「噴火を予知できるのは、せいぜい数時間から数日というのが現状」だそうです。
それどころか予兆が把握できないままに噴火にいたった例もあると藤井さんは述べています。もちろん数日前に予知できたとしても、燃料棒は運転している原発をとめてから十分冷えなければ持ち出せないのですから、取り出すことなど絶対にできません。
また「いくつかのカルデラ火山をまとめて噴火の間隔を割り出すという考え方自体に合理性がない。一つの火山ですら、噴火の間隔はまちまち」との指摘もあります。これも九電が大噴火は過去に何万年の間隔があったから今は大丈夫としている点への批判です。

規制委員会がモニタリングが可能だとしている点に関してもこう述べています。
「モニタリングで巨大噴火を予知する手法は確立していない。そもそも、南九州のカルデラ火山の地下でどのくらいのマグマが溜まっているかの推定すら、現在の科学技術のレベルではできない。」
また噴火が比較的軽微で火砕流が到達しない場合でも、どのような砕石が降ってくるか分からず、海岸にびっしりと軽石が降って、原発が取水できなくなる可能性などもあること、にもかかわらず規制委がこうした多様なケースを想定していないことも指摘しています。

その上で藤井さんは再稼働について次のように提言しています。
「科学的に安全だから動かす、という説明をするのであれば、明らかに間違いだ。そのように述べたとたんに、新たな安全神話が作り出されることになる。
わからないことはわからない、リスクがあるということを認識したうえで、立地や再稼働の是非を判断すべきだろう。」

こうした藤井さんの見解は東京新聞も9月10日の紙面で取り上げています。
分かりやすくコンパクトにまとめられた記事ですのでご参照ください。
なおこの記事のコピーをドロップボックスにあげてくださったのは川内現地にたびたび足を運び、再稼働を止めるために奮闘してくださっているFoE JAPANの満田夏花さんです。

 火山の危険軽視 「予知可」科学的根拠なし 再稼働「安全神話」の復活
 東京新聞 2014年9月10日
 https://dl.dropboxusercontent.com/u/23151586/tokyo_140911.pdf

さてこのようにこれまでも火山活動が予知できるとする九電を追認した原子力規制委員会に対して、火山学者の方たちが懸命に諫めてきてことは見て通りなのですが、さらに11月2日の提言にいたったのには大きな背景があったと思われます。
それは何か。本年9月27日に御嶽山が噴火を起こしたこと。噴煙や噴石が飛び散り、10月23日の確認で死者57名、行方不明者6名という痛ましい大惨事が起こったことです。
この時も噴火は予知できなかった。正確には微動は把握されていましたが登山禁止などの判断にいたることはできずに大事故が起こってしまったのす。

このことで火山噴火予知連絡会をはじめ火山学者たちは大きな社会的バッシングを浴びました。
例えばその先方に立ったのは、日ごろ原子力行政に対しても鋭い批判を繰り返している中京大学の武田邦彦教授でした。
武田さんは原子力推進派と火山予知連を串刺しにしたうえで「「50歳以上の男性の不誠実」はどこまで続くのだろうか?」と指弾しました。

 唖然とする指導者の姿・・・御嶽山、もんじゅ、そして原発
 るいネット 2014年10月15日
 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=296602&g=132107

これは予知連会長の藤井さんが「どうして確実な予知ができなかったのか」と問われた記者会見の場で、ややニヒルに「われわれの予知レベルはそんなものなのですよ」と答えてしまったことなどにも由来している批判です。
しかしこのとき僕は、火山噴火問題、予知のあり方を調べて、日本火山学会が置かれてきた現状を知り、藤井さんをはじめ、火山学会の方たちが気の毒に思いました。
端的に私たちの国は、世界で一番火山が多いのに、政府が火山学に関する予算をどんどん減らし、学会の存続が危ぶまれるほどになっていたからです。このことは2010年に共同通信が報じています。

 つぶれる?地道な観測 イタリアは重点投資
 47ニュース 2010年9月29日
 http://www.47news.jp/47topics/jitsuryoku/9-2.html

ここでは次のような指摘が行われています。「「40人学級」。国内の火山観測に携わる大学研究者の少ない実情を指す言葉だ。公務員削減で教員ポストも減り、この10年で博士号取得者は半減。「学級崩壊が近い」と嘆く声も出る。」
日本の活火山は108と世界の1割を占めるのに研究者は40人。さらに「文部科学省は08年、大学が観測する33火山のうち、活動が盛んとした16火山の観測を強化する一方、残りの17火山は各大学の裁量に任せることにした」とあります。
日本の火山研究はまさに自民党によって削減され、衰退の一途を辿ってきたのです。イタリアが600人に充実させ80年代から基礎研究に毎年10億円を出してきたことに対して日本の大学への支出は毎年6000万円でした。

この記事は最後に藤井さんが次のように警鐘を鳴らしていたことが紹介されています。
「国のどこでも地震や火山噴火の恐れがある先進国は日本だけ。特殊事情を踏まえた投資をしないのはおかしい」
まさにその通り。私たちの国は以前から現実の危機への対処は「金にならないから」と削減し、ただただお金儲けばかりに資金を投じてきたのです。津波対策などをないがしろにした福島原発の被災もその象徴の一つとしてあります。

にもかかわらずこうした正論はまったく顧みられず、日本火山学会は予算を削られながら細々と人々を噴火から守るための研究を重ねてきたのでした。
その中で御嶽山噴火が起こった。するとこれまでも「火山噴火の正確な予知などできない」と繰り返し語ってきた藤井さんをはじめとした火山学者たちが猛烈な批判を受けたのでした。
そうした痛ましい経緯をみるとき、日本火山学会の方たちは、今度こそ噴火の予知などできないことをこの国の人々にきちんと伝えねばならないと考えて、今回の提言に踏み切ったのだろうと推測されます。

これに対して、原子力学会会長を務めるなど、原子力村の中を生きてきて、日本でもっとも潤沢な資金を使いながら、もんじゅの失敗に顕著なように、国を危うい方向にばかり導いてきた一員である田中委員長が暴言を持って罵倒している。
「火山学会は夜も寝ずに頑張れ」とすら公言している。これはあまりにひどい。ここには福島原発事故への責任感などまったく持っておらず、ひたすら政府にすり寄って潤沢な資金にまみれながら平気で科学を裏切り続けてきた御用学者と、乏しい資金の中で研究を続けつつ、誠実に科学の道を生きようとしてきた人々との際立った差が浮き出ています。
その意味で今回の事態は、科学を愚弄する御用学者に対し、誠実な科学者たちが人々を守るために蟷螂の斧で抵抗している姿でもあることを踏まえ、私たちは日本火山学会とともに原子力規制委員会に審査書の破棄を求め続けていく必要があります。

原子力規制委員会の酷いあり方には腹が立つばかりですが、しかし一方で火山学会は良心的な科学者がまだまだこの国に存在することを示してくれてもいます。
いや福井地裁における大飯原発再稼働の停止を命令した判決を出した裁判長など、多くの人士が今、無責任大国ニッポンのあり方と決別し、まっとうな歩みを開始しています。
まさにその中に川内原発の再稼働問題が位置しています。だからこそ私たちはさらに連帯を強め、声を大きくして、再稼働反対を叫んでいこうではありませんか。日に日に真っ当な意見が増えていることをしっかりと見据え、さらに頑張りましょう!!


 

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明日に向けて(971)一番大切なのは命の源である社会的共通資本としての自然だ!原発再稼働絶対反対!!

2014年11月14日 23時30分00秒 | 明日に向けて(901)~(1000)

守田です。(20141114 23:30)

川内原発再稼働について、昨日、鹿児島県伊藤知事の記者会見への批判を書きました。
その中で九州電力が、設備の根本を抜本的に変えるのでもない付け足し的な対策で、想定外の事故であるメルトダウンが起こっても格納容器を守り、福島原発事故の約2000分の1に放射能漏れを抑えると豪語していることを紹介しました。
これを原子力規制委員会が「絶対に安全だとは言わないが」などと言いつつ受けてしまい、さらに伊藤知事が追認してしまったことを明らかにしました。こんな重大な決定が、誰もが最後の責任を回避しながらまかり通ろうとしています。
福島原発事故でこれまで誰一人逮捕されておらず、東電に対して税金を使った救済ばかりが行われるのをみて、これらの人々は「責任などとらなくても良い。罰せられることもない」と学習してしまったのでしょう。しかしそのことでもっとも大事なものを私たちの国は失う危機に直面しています。

福島原発事故のとき、日本列島に住んでいる私たちは原子炉から放出されたすべての放射能を浴びずに済みました。原発から出た放射能の多くが地上に落ちずに洋上へと流れて行ったからです。
もちろん関東、東北を中心に大変な被曝が発生したし、洋上に流れたものの一部もまたハワイやアメリカを激しく汚染し、海も深刻に汚染してしまったわけですから、心からいたましく申し訳ないことであり、「幸い」などとは絶対に言えないことではあります。
しかし川内原発が事故を起こしたらどうなるでしょうか。毎年列島を訪れる台風の進路などを考えれば分かるように、鹿児島で吹き上げられた放射能はその大半が日本列島を横断していくことになります。洋上に落ちたものも、黒潮や対馬海流にのって列島を囲むように流れていきます。
川内原発事故はもっとも大量の放射能を日本列島に飛来させる可能性があるところに位置しているのです。台風だけでなく、毎年中国大陸から飛んでくる大量の黄砂を考えても分かります。そうなると私たちの国の山々や大地は福島原発事故をはるかに上回る放射能汚染を被る可能性があります。

そのとき私たちが失うのは日本列島にたくさん存在している美しい森林に支えられた自然です。現在国土にしめる森林面積は67%。世界平均約30%に対してダントツの割合ですが、福島原発事故が教えたように森林ほど汚染されたときにやっかいなものはない。
もちろん除染などできないしさまざまに濃縮が起こって汚染がより深刻化してしまいます。それがどれほどの損失になるのか、私たちは今一度、深く考え直す必要があります。
私たちの国の森林は四季の影響で常に顔色を変えていく特徴を持っています。古来よりこの列島に住んだ人々は、四季折々の美しさを多様な形で表現してきました。その一例として俳句では「山笑ふ(春)、山滴る(夏)、山粧ふ(秋)、山眠る(冬)」と詠まれてきました。
この山と森の美しさは、日本列島が南北に長く幾つかの気候帯をまたいでいることにも関係があります。日本海側と太平洋側でも著しい気候の違いがあり、木々をはじめ生物の種類を豊かにしているのです。

このため山々には常緑樹と落葉樹、広葉樹と針葉樹が混交しています。南から北、西から東へと目まぐるしく様相が変わるだけでなく、高度によっても木々の分布が変わってくる。このため山々を登っているだけでも実に多様な木々に出会えるのです。
さらにアジア大陸のヒマラヤ山塊をまわってくるジェット気流が私たちの国土に、たぐいまれな状態を作り出しています。一つは冬に北西風が激しく吹き、日本海から蒸発した水分をたくさん含んだ雲が到来するので、豪雪が降ることです。
これらの雪は山々に雪渓を作りますが、実は私たちの国が位置する緯度帯でこれだけの雪渓が作られる国はほとんどありません。極めて珍しい現象なのです。この雪渓が巨大な天然のダムとなり、春から夏にかけて麓に潤沢な水が安定的にもたらされます。そのために日本海側にたくさんの米どころが形成されてきたのです。
反対に太平洋側にはやはりジェット気流に乗って夏に繰り返し台風がやってきて、列島を横断して膨大な雨を降らせていく。この大量の水が植物をよく繁殖させますが、冬と夏で降水量が反対になるため、日本海側と太平洋側で大きな植生の違いが生じてきました。それが作物の多様性も支えてきました。

ちなみにジェット気流は、ヒマラヤ山塊からたくさんの高山植物の種子をも運んできます。このため日本の山々にはやはりこの緯度帯のこの高度では見られない貴重植物もたくさん生息しているのです。
さらに気候帯も沖縄などの亜熱帯から、本州では西側の暖温帯と東側の冷温帯が中部山岳地帯で重なり合いつつ連続的に分布しており、さらに北海道には亜寒帯も見られます。一方で瀬戸内には雨が少ない内陸性気候的な地域も広がっています。
これらがそれぞれに違った植物を生息させ、多様な生物の住処を与えるため、山にも里にもものすごく膨大な種の昆虫が発生し、チョウやバッタなどがさまざまに飛び交います。
とくに春先に、一斉に木々が芽吹くと同時に昆虫が発生するので、鳥類に子育ての最高条件を与えることになるため、ものすごく多様な種が発生するし、さらに海の向こうからも渡ってきます。たくさんの芋虫たちがひな鳥の成長とともに大きくなってくれるためです。春先の賑わいはこの生命連鎖が作りだしているものです。

こうした動植物が生息しやすい条件は、先にも触れたように私たちの国の農の営みにも大きく貢献してきました。何よりも生物にとってもっとも大切な水が豊富に降ることが大きい。そのもとにさまざまな種の命が発生できることが大きい。
ただしそのためにこの列島に住まうには、古から自然を大事にし敬虔な気持ちで手当をし続ける必要がありました。私たちの国土には膨大な雨が降るため、洪水が起きやすく川も氾濫しやすいのです。一方で一気に山から海まで水が駆け降りてしまうため、瀬戸内に顕著なように渇水も起こりやすい。だからこそ私たちの先祖は歴史的に営々たる植林を行ってきたのでした。
さきに私たちの国土の森林面積は現在では67%と書きましたが、こうした自然=神々への敬虔な気持ちを忘れ、自ら「神国」と名乗って戦争にあけくれた第二次世界大戦末期には50%を切ってしまっていました。森林が乱獲されたためですが、そのため戦争で焼け野原になった私たちの国は、直後に繰り返し大変な洪水にも襲われたのでした。
ではどうして森林は回復してきたのか。主要には荒れた山々をもとに戻すために、山里の人々が営々たる植林を行ってくれたからです。このもとで私たち国の山と森はだんだんに再生してきたのでした。

その後に続いた高度経済成長はこの森林の再生に大きな恩恵を受けました。なぜか。工業は膨大な水を必要とするのだからです。例えば中国では急速な工業化のもとで水を使い過ぎてしまい、黄河が毎年何日も干上がって問題化しています。各地で深刻な水不足が発生しています。
そればかりか上流域でどんどん砂漠化が進展し、首都の北京などが毎年大変な砂塵に襲われてしまっています。現在の中国の森林面積の割合は18%しかない。このことが中国の抜本的な危機であるとすら言われています。
もっとも日本の森林も、この間、山里への感謝を忘れたままに迎えた林業の衰退を大きな背景としつつ、松枯れ現象やカシノナガキクイムシの北東への移動によるナラ枯れの進展などで集団枯損が発生し、各地で疲弊を深めており、けして楽観できない状況にありました。
実は僕自身は福島原発事故以前は、このナラ枯れ対策で主に京都付近の山々を駆け回っていました。しかし原発事故以降、森林保護活動にまったく手が回らなくなってしまった。美しい自然を守り、次世代に引き継ぎたいと願って友人たちとナラ枯れと格闘していたときに、膨大な放射能が山河に降り注いでしまったからです。

その点で僕は関東、東北の山々のことも本当に心配です。ナラ枯れは日本海側を駆け抜けるようにして北上し、東北山脈を越えて、太平洋側へと入りつつありました。
東北は日本の近代化のために森林資源の大供給地とされ続けてきたため、実はナラ類の純林が多い地域です。純林は害虫被害などに弱い森林です。「だから対策をしなければいけない。そのために東北の山林にいきたい。」
そう考えて、実際にコナラが5000本もある東北大学植物園の素晴らしい森に入り、研究者の方とも出会えて、今後の関わりの展望を作り出しつつあったのが2010年の秋でした。
しかしその関東・東北の山々にあろうことか膨大な量の放射能が降ってしまったのでした。

森林はどうなっているのだろう。動植物はどうなっているのだろう。ごくごく一部の研究者たちがチョウ類に影響が出ている兆候をつかんで研究発表し、警鐘を乱打してくれています。
また東北のオオタカに激しい被害が出ているというハンターの方たちからの情報を得たこともあります。しかし国は何らの対応も研究もしようとしていない。山と森はほったらかしにされたままです。
もちろん、そもそも人間に対してもまともな被曝防護がなされておらず、対策の不備どころか調査そのものが回避されており、動植物のことなどは二の次三の次の状態です。
私たちとしても当然にも人を救うことを最優先せざるを得ない。いやそれすらもとてもではないけれども手が回っていない厳しい状態です。

しかし大自然は私たちの生きる土台です。まさに私たちの命の源である社会的共通資本なのです。だから自然が可哀想だとかいうことではなくて・・・いや確かに胸が痛くなるほどに可哀想であり、申し訳ないのですが・・・このままでは私たちの生きる基盤がじわじわと崩れていってしまいます。
私たちの国の自然力は一見、あまりに強いので、山々はほおっておいても木々を復活させてくれるかのごとき錯覚が生じてしまいますが、そんなことは断じてない。実際、戦争のときも山々が疲弊し、その後に大規模水害が多発したのです。
今、私たちに必要なのは、関東・東北の人々を救うことをより進めることを大前提にですが、もともと疲弊を強めていた日本の山と森と、そこを守る山里の人々への手当てをすることであり、放射能の被害を調べて可能な限りの対策を試みていくことです。
しかしそんなときに九州で原発事故が起こり、台風が通過していくように日本列島が放射能汚染にまみれてしまったらどうなるのでしょうか。私たちの国はもはや立て直すポテンシャルを失い、崩壊してしまうのではないでしょうか。

いやその可能性が非常に強くあるのです。だからこそ私たちは川内原発のことを、たとえ遠くに離れていると感じても「九州のはてのこと」などと思うことは絶対にできないのです。遠いどころか台風など、1日で関西、関東、東北にまでやってきて北海道に抜けていくこともあります。
私たちの国に多大な恩恵をもたらしてきてくれて、雪渓や高山植物など、世界でもまれな自然条件を私たちに与え続けてくれたジェット気流が、今度は放射能を運んでしまうことになるのです。そうなったら絶対絶命です。
にもかかわらずこれほど重大な危機が隠されている原発の再稼働が、誰も本気で責任をとろうとしない人々によって、今、進められようとしているのです。
これに対し、九州の方たちが本当に素晴らしい頑張りを続けて下さっいます。ここに全国各地からかけつけて奮闘してくださっている方たちもたくさんいます。何より現場のこの奮闘を私たち自身の命を守るものであることを肝に銘じて連帯していきましょう。思いつく限りのすべてのことをしましょう。

日本列島に住まうすべての命を守るために、社会的共通資本としての自然を守るために、熱く連帯して頑張りましょう!!

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明日に向けて(970)原発が事故を起こしても命の問題は発生しない?-鹿児島知事の暴言を批判する!

2014年11月13日 23時30分00秒 | 明日に向けて(901)~(1000)

守田です。(20141113 23:30)

川内原発の再稼働に向けた動きが過熱しています。
11月8日、鹿児島県の伊藤知事が記者会見し、国のすすめる再稼働の動きに同意することを表明、10日には経産省を訪れ、宮沢洋一経産省と会談しこの点を報告しました。
すでに多くの方々が声を枯らして指摘してきたように川内原発はさまざまな点でとてもではないけれども安全性を担保したなどとは言えない状態にあります。再稼働など絶対にすべきではありません。にもかかわらず政府は強引に再稼働を突き進もうとしており、鹿児島県伊藤知事も全面的にこれに従っています。
そればかりか、伊藤知事は県議会で同意を表明した後の記者会見で「川内原発が事故を起こしても命の問題は発生しない」というとんでもない発言を行いました。重大な暴言ですので、当該部分を文字起こしした上で批判を試みたいと思います。なお問題部分は記者会見の24分46秒ぐらいからです。

(全録)川内原発再稼働 鹿児島・伊藤知事が記者会見
https://www.youtube.com/watch?v=NgCEZs4dvQA

「何よりも実は避難するのに相当の時間的余裕があります。これは今回の規制委員会の審査を受けて合格した原発がどういう形でそのあと炉心等々が変化するのかと時間軸で追っていくと実はけっこう時間があるのでそういう意味でゆっくり動けばいい。
 はたまたもう一つは、実は、ちょっと専門的な話になって恐縮ですが、ようするに今回の制度設計というのは100万年に1回の事故を想定するわけですよね。そしてそのときは100テラベクレル。
 それが同じ条件で同じうような事故が川内に起こった時にどうなるのかというのは実は5.6テラベクレル。そうすると炉心から5.5キロのところは毎時5μシーベルトなのですよね。
 5μシーベルトというのは20でもって初めて避難ですから動く必要がない。家の中にいてもいいし、普通に生活していても良い。そのレベルの放射能しか、人に被害が起こらない。5μシーベルトというのは一週間ずっと浴び続けていて胃の透視の3分の1ぐらいの放射能ですね。
 実はそこまで追い込んだ制度設計をしているので、時間もあるし、避難計画が実際にワークする、そういうケースもほとんどないだろうし、それがたぶんあと川内原子力発電所10年、そうすれば止まるかもしれませんが、において考えるとだいたいそれでカバーできるのかなと内心思っております。
 したがって同意の範囲も、従来のスキームで良いと。ありとあらゆる、今まで、議論をしてきました。立地の市、ないし県は。相当な知的集約もあります。
 それを一律に拡大すると、きわめて原子力発電所に対して理解の薄いところ、知識の薄いところで一定の結論を出すと言うのは、必ずしも我が国の全体をまとめる上において、錯綜するだけで、懸命なことではないと私は思うのですよね。」


これはあまりにひどい!

知事がどのシミュレーションを持ちだして語っているのか、よく分からないのですが、ともあれかりに1時間あたり5μシーベルトであったにせよ放射線管理区域の基準0.6μシーベルトの9倍近くもの値です。
放射線管理区域は「飲み食いすること、寝ること、18歳未満のものを連れ込むこと」が禁じられた場であり、とてもではありませんが「普通に生活していても良い」レベルではありません。
また福島原発事故のリアリティから言えば、にわかに測ることのできないウランが茨城県つくば市で観測されています。α線を出す他のアクチノイドなども検出されており空間線量だけで危険性を測ることはできません。それらからいっても5マイクロシーベルトだったら安全だというのは暴論です。
また九電からもっともお金の落ちる当事者である県と薩摩川内市以外を「きわめて原子力発電所に対して理解の薄いところ」と侮蔑的に断じていることもまったくもって許しがたい暴言です。

ただそれ以上に、多くの方がそもそも川内原発から5.5キロ地点が5マイクロシーベルトになるなどという話はどこから来ているのかと思われたのではないでしょうか。
というのは国がこれまで公表してきたデータをみても、5.5キロ地点が5マイクロシーベルトの被曝ですむなどというデータは出されていません。
原子力規制委は2012年に、全国16原発の「放射性物質拡散シミュレーション」を出しています。発表直後に二度にわたって修正がなされるなど発表の仕方がずさんだったのですが、ともあれ一つの参考にはなります。
具体的には原子力規制委は1週間で100ミリシーベルトの被ばくになる地点が原発から何キロのところに及ぶかを原発の周囲の任意の点をとって表示しています。以下、「マイナビ ニュース」に掲載されたデータをご紹介します。なお川内原発のデータは一番最後に出てきます。

原子力規制委、全国16原発の「放射性物質拡散シミュレーション」マップ公開
マイナビニュース 2012年10月25日 
http://news.mynavi.jp/news/2012/10/25/035/?gaibu=hon

データは福島1号機から3号機と同量の放射性物質が拡散された場合と、川内原発の出力に応じたデータをが示されていますが、数値をみるとそれほど大きな違いがありません。
これをみると最も遠い地点で21.0キロまでが1週間で累計100ミリシーベルトになるとされています。最も近い地点では1.5キロまでが100ミリシーベルトになるとされています。単純に24時間で割ると1週間で100ミリシーベルトは1時間あたり595マイクロシーベルトになります。
この場合の計算の仕方も同時に発表されていますが、実はこのデータの出し方もかなり曲者です。というのは7日間といっても原発事故直後の7日間のことではなく、その後の40日間を計測しそれを7日間分に割っているからです。
姑息な計算方法です。風向が変わることなどの考慮があるとしてもさまざまな放射性物質の半減期を考えたとき、最初の7日間がダントツに放射線量が多いからです。その7日で計算すれば当然にももっと圧倒的に高い数値になります。

放射性物質の拡散シミュレーションの試算結果について
原子力規制庁 2012年10月
https://www.nsr.go.jp/activity/bousai/data/0007_04.pdf

さらにもっと綿密に計算された民間のデータもあります。東京の環境総合研究所が試算してくださったもので、2014年4月19日に発表されています。地元地権者の依頼にもとづき、地形を考慮してシミュレーションしたもので原子力規制庁のものより格段に精度が上回っています。
このデータによると原発から7キロの歯科診療所で1時間あたり294マイクロシーベルトが予測されています。原発に最も近い中学校では202マイクロシーベルトです。
原子力規制庁のデータでは一日のうち16時間は屋内にいて、屋外の被曝の6割になっているなどという計算もあり、単純に1時間あたりの値に24時間をかけることはできないですが、しかしそれでもこのシミュレーションは原子力規制庁の出している値と極端に食い違うことなく、地形に応じた場所による精度を出しているものと言えます。
非常に参考になるデータです。

川内原発事故時 詳細シミュレーション
環境総合研究所 2014年4月19日
http://eritokyo.jp/independent/2014-04-19-sendnainp-pressrelease.html

ところが知事の示したデータは5マイクロシーベルトですからおよそ50分の1~100分の1という大きなズレがあります。
どうしてなのかと調べてみると、このデータは再稼働申請に向けて九電が作り、原子力規制委が鵜呑みにしたデータを基にした解析によるものではないかと推測されます。それが「5.6テラベクレル」という値です。
どういう値なのか。そもそも規制庁は福島原発事故で飛散した放射能の量をざっくりと10000テラベクレルとした上で、新基準では「重大事故」の場合の放出量を100分の1、すなわり100テラベクレルにまで落とすことを求めています。
九電はこれに対して、100テラベクレルどころか5.6テラベクレルになるようにしたと公言したのです。万が一の場合の放射能飛散量を、福島原発事故の約1786分の1まで抑えたというわけです。

僕自身、ここまで細かく九電の申請と原子力規制委員会の認可の中身を追えていなかったので、今回、初めてこのことをつかんだのですが、九電は重大事故対策でもここまで放射能量を抑えられると公言し、原子力規制委がそれを追認したのです。
その場合の核心部分を読んでみると、メルトダウンが起こっても、格納容器は破損しない。あらなた対策で炉心溶解の場合でも格納容器を守ることができると述べられています。
鹿児島県伊藤知事はこの九電の申請と原子力規制委の受諾を無批判的に追認し、その上でおそらくは県で5.6テラベクレルが飛散した場合のシミュレーションを行い、5.5キロ地点で5マイクロシーベルトという結果を得て、記者会見で述べたのだと思われます。
ただしこの県が行ったとされるシミュレーションは、探しても探しても見つけることができませんでした。僕の調査不足かもしれませんが、もしデータが出ているのなら鹿児島県が責任をもって見やすい形で掲示するべきです。

では九州電力は何といっているのか。幾つか抜粋します。

  「本設設備の安全機能が失われた場合にも、以下のような可搬設備を活用することにより多様化を図り、安全機能を確保することとしている」
  「非常用炉心冷却装置(ECCS)や格納容器スプレイ装置が使用できないことを想定し、重大事故の進展を防止するために、電源供給手段、冷却手段の多様化対策を行っている。大容量空冷式発電機、移動式大容量ポンプ車の設置など」
  「格納容器内の冷却手段の多様化、水素濃度低減対策を行っている。本設設備が使用できない場合、今回、新たに設置した重大事故の進展を防止するための設備(注2)を使用して、格納容器スプレイによる格納容器の冷却を行う。(注2)常設電動注入ポンプ、可搬型ディーゼル注入ポンプ」
  「可搬型電動低圧注入ポンプ・格納容器下部に落下した溶融炉心を、今回、新たに設置した重大事故の進展を防止するための設備(注2)を使用して、格納容器スプレイによる注水により冷却を行う」
  「水素爆発を防止するため、水素濃度を低減する静的触媒式水素再結合装置や、電気式水素燃焼装置を設置した」
  「以上の対策により格納容器の破損には至らないことを評価・確認した」

新規制基準に係る適合性審査への取組み
九州電力 2014年7月30日
http://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0043/6505/data_03-1.pdf

びっくりしました。要するにもともとの設計思想に基づいた「本設設備の安全機能が失われた」場合のことが想定されています。

つまり「シビアアクシデント(想定外の事故)」が「想定」されているのです。この言葉を「重大事故」に代え、あたかも起こりうる事態が設計思想を越えてしまっているのではないかのようにあいまい化しながらも、やはり炉心が溶けるような「あってはならない」事態が想定されています。
くどいようですが、あらかじめ作られた安全装置、「こういうことが起こりうる」と設計者が考えたことが突破されてしまっている。つまり予想外の事態になっている。ところがその先に非常に安直に、つまり「事態はこうなる」と想定した上での対策が並べられているにすぎないのです。
ここに抜本的な矛盾がある。事態は「想定」を越えているのだからどう展開するか分からないのです。何度もいいますが設計者にはお手上げな事態で、どのような事態が起こるか分からないのです。
にもかかわらず、ここでの対策は、まだ炉内を開けられず事故原因もよく分かっていない福島原発でこれまで分かった多少の経験から導かれたものが幾つか並べられているにすぎません。

僕がびっくりしたのは、そんないい加減で場当たり的で、しかも実験によって実際にうまく作動するのかどうかすら確かめられないようなものをもって、格納容器はもう壊れない。だから放射能の飛散量は1786分の1にできると断言されていることです。
さらにそれを原子力規制庁が認め、知事が追認したこともびっくりです。そこまで人々のモラルが崩れているのかと思うばかりです。ただし原子力規制庁は「これで安全が担保されたのではない」と逃げを打っている。知事も「最終的な責任は国にある」と言って逃げている。国は国で、規制庁や地元に責任があるかのごとく言っている。
ようするに誰も「これで本当に安全が確保された」などとは思えていないのです。だから「絶対に大丈夫。何かあったら自分が責任をとる」とは誰も言わない。言わないけれども再稼働に向けて事態を動かそうとしている。本当にモラルが崩壊しています。
ここに見えていることは誰も本当の責任など取ろうとせずに、きわめて安易に再稼働を進めようとしているということです。不都合な事態には一切目を向けない。いや不都合な事態が生じた場合の自己保身だけは考えているのですが、責任などは何も考えていない。

もはや犯罪的だとさえ思えるのは、こうして安易に導き出された放射能漏洩を1786分の1に抑えるという言辞をもとに、鹿児島県伊藤知事が住民を避難させるべき責任をも、そうそうに放棄してしまっていることです。
ここには県民の命を預かる知事としての職務的責任感など一切ない。何かあってもそれは九電、原子力規制委員会、国のせいだと考えていて、自分が判断に加わっている自覚も責任感もない。もちろん県民を守る気概など一切ない。
もちろんこうした姿勢は九電、原子力規制庁、政府が共有しているものです。こんなひどい、無責任な人々がこの国の政治、経済の大きなポストにいまだについていることにこそ私たちの危機があるとも言えます。
このあまりに倫理を欠いた人々のあり方と私たちは対決し、危険極まりない再稼働を止めていかなくてはなりません。

再稼働に向けては、他にも火山活動に対するまったくの過小評価、ここに挙げられた付け焼刃でしかないさまざまな対策ですらまだ全部できているわけではないこと、さらには知事の本当に無責任な姿勢によって、避難計画もまともにできていないなどの問題があります。
いやそもそも理想的な避難計画など建てられようはずもなく、あくまで再稼働をするというのなら、いざというときに多くの人々を見殺しにする形でしか避難ができないこと、すべての人が逃げることができないことを明確にすべきです。
にもかかわらず嘘だらけで進もうとしている。本当にこの国の倫理は地に落ちてしまっている。何せ首相自ら嘘のオンパレードの道を突き進み、閣僚の誰もそれを止められない中で、国がどんどん危機へ、危機へと進んでしまっています。
この状態を変えるのは私たち民衆の力でしかありません。再稼働反対の声をさらに強めていきましょう!

 

 

 

 


 

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