明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2486)「被爆国」という言い方を越えて米日政府による戦争犯罪のもみ消しー被爆被害の極小化に立ち向かおう・・・ノーベル平和賞のその先に-3

2025年01月02日 17時00分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20250102 17:00)

前回の投稿に続き、「被爆国」という言い方を越え出ることを訴えたいと思います。

まずは「被爆国」という言い方では被害の実相が正しく捉えられないこと、さらに「被爆国政府」という言い方は、当時の日本政府が、アメリカ軍による大量の国民・住民の虐殺を少しも防ぐことができないのにいたずらに戦争を長引かせ、原爆による大量虐殺も受けてしまったことの責任を免罪するものでしかないことも明らかにしました。

今回、さらに問いたいのは、日本政府が原爆による民間人の殺傷という戦争犯罪を利用することで、自らのアジア侵略における戦争犯罪を隠蔽してきたことです。


日本軍は侵略による戦争犯罪をもみ消すためにアメリカの原爆を使った戦争犯罪を使った

この点を大きく暴いたスクープが2010年にNHKによって報じられました。『封印された原爆報告書』という番組です。
「明日に向けて」にこの番組の文字起こしを掲載しているのでご紹介します。以下の記事(2446)から(2447)(2448)と連載しています。ぜひご覧下さい。

明日に向けて(2446)日本陸軍は原爆被害をすぐに調査しアメリカに差し出していた-(再掲 NHK「封印された原爆報告書」より―1)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/de08bea545511918a2297939001b80f1

ここで描かれたのは、原爆の被害をいち早く調べ始めたのが日本陸軍であったこと。しかも陸軍がそれを即刻英訳し進駐軍としてやってきた米軍に、いちはやく差し出していたという衝撃的な事実でした。
なぜそんなことをしたのか。当時、それに関わった元軍医中佐がこう証言しています。「(アメリカの)心証を良くするためだった」「731のこともあるでしょうね」・・・。731とは中国大陸で人体実験などを繰り返した石井731部隊のことです。
彼は「新しい兵器を持てばその威力っていうものは、誰でも知りたいものですよ。カードで言えば有効なカードがあまり無いので、原爆のことはかなり有力なカードだったんでしょうね」とも述べています。

ようするに陸軍は原爆の威力を知りたかったアメリカに、広島・長崎の人々の被害の克明なレポートを差し出して心証を良くし、自らの戦争犯罪への訴追を免れようとしたのです。いわばアメリカの戦争犯罪を利用し、アジア侵略などの戦争犯罪を隠蔽したのです。
あまりにひどい。戦中に「鬼畜米英を倒せ」と国民を煽りながら、その米軍の虐殺攻撃によって被害を受けた人々のレポートを、自らの延命のために日本軍は利用した。
だからこそ、そうして訴追を免れて生きのびた陸海軍出身者をたくさん抱えた日本政府は、アメリカの戦争犯罪をまったく批判してこなかった。それが自分たちの戦争犯罪とつながっていたからです。


守田講演スライドより

日本政府は被爆被害のもみ消しにも貢献してきた

私たちが見据えておかねばならないのは、これが戦後の一時期だけでなく、その後も一貫して続けられてきたこと、それが今も生きていることです。

アメリカは広島と長崎で行った最悪の戦争犯罪の実態を懸命に隠すため、放射線被曝の影響を極端に低く見積もろうとしてきました。
使われたのはシンプルなテクニックでした。放射線被曝による被害を、原爆が爆発した瞬間に発生した中性子線や、ガンマー線による外部被害のみに切り縮め、膨大に発生した内部被曝を無視することでした。
これらを体系化したものが、ICRP(国際放射線防護協会)による被曝評価であり、それがいまも通用しています。福島の現状を語るときの大前提にもこのICRPの評価が使われています。

日本政府は戦後、このアメリカの主張に完全に同意し、被爆(被曝)被害の影響隠しに協力し続けてきました。協力することで、自らの戦争犯罪の隠蔽を続けてきました。
そのことでたくさんの被爆者が、途端の苦しみの中に喘がねばなりませんでした。多くの被害が認められず、無視されてきたからです。だからいまなお苦しんでいます。

その点で日本政府は、広島・長崎の人々が原爆による虐殺攻撃を受けたことに責任があるばかりか、戦後に被爆者を抑圧してきた大きな罪も抱えています。
謝罪や補償をしないばかりか、アメリカと共に被爆者への迫害を続けたことをあらためて怒りを持って告発します。

いかがでしょうか。「被爆国」「被爆国政府」などという言葉が、日本政府による、被爆者抑圧に対する隠れ蓑としてしか作用していないことはもはや明らかです。
だからもうこんな言葉を使うのはやめましょう。その上で、米日両政府が隠してきた現にいまも続いている被爆(被曝)の実相を暴くことへと進みましょう。


守田講演スライドより

続く

#ノーベル平和賞 #被爆国論の再考を #被爆国政府と言うのをやめよう #アメリカは被爆被害を隠してきた #日本政府は被爆者を抑圧してきた #被爆国 #唯一の戦争被爆国 #核なき未来へ

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