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明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(138) 京都ママ・パパの会に呼んでいただきました。和知でもお話します。

2011年06月04日 09時30分00秒 | 明日に向けて6月1~30日
守田です。(20110604 09:30)

急きょのお話ですが、14日に「放射能から子どもを守る京都・ママ・パパの会」
の方たちに呼んでいただいたので、お話させていただくことになりました。
案内など、貼り付けさせていただきます。

また10日に京北町でもお話させていただきますが、その後に和知(船井群
京丹波町)に移動して、そこでもお話をさせていただきます。
どちらでも放射能汚染とどう立ち向かっていくのかのお話を中心にし、もんじゅや
福井原発のことにも少し触れようと思っています。

「ママパパ会」の方たち、その名のごとく、ママさんを中心にした集まりです。
5月27日に結成会を開いたのですが、50人の参加で大盛況だったとのこと。
毎日新聞で報じられましたので、僕の講演のお知らせの後に、記事を添えて
おきます。


それにしても最近、ママさんパワーの凄さ、素晴らしさに感動しています。
先日も、出町柳で、平賀緑さんという方が、食糧汚染についてお話をされたの
ですが、そのときもお母さんたちが30人もかけつけた。

会場がいっぱいだったのですが、そこに10人ぐらいの赤ちゃんたちもいた。
僕が座った近くでも2人のお母さんが、赤ちゃんと、2歳前ぐらいの女の子を
あやしていたのですが、ヨチヨチ歩きの女の子が、僕を気にいってくれのか、
膝の上にどかっと腰をおろしてくれました。いやあ、嬉しかった!

僕は女の子をあやしてあげながら、平賀さんのお話に聞き入って
いました。
ちなみに平賀さんは「緑の情報サイト」を開設しています。
http://midori.info/
こちらもどうぞ、ご覧ください。


京北町での催しも、おむすびマーケットのママさんが中心に組み立てられていて、
地域のお母さんに集まってもらうことを目指していると聞いています。


わが子を守る!

人間のあらゆる思いの中でも、とても強くて尊いのが、やはりこの思いだよなと
僕には思えます。

僕自身は1959年の生まれで、僕が小さい時、世界は核実験で溢れ返って
いました。そんなとき、母に「雨にあたると頭が禿げちゃうから、あたっちゃだめ」
と言われたことを、最近になって思い出しました。

その母自身は、東京大空襲を、爆心地にいながら奇跡的に生きのびた人でした。
母が生き延びてくれて、なおかつ僕を産み、僕を守り、育ててくれた。今、あのとき
の母の言葉に感謝の念が湧きます。

親たちが懸命になってわが子を育てる。それを周りが手伝い、見守っていく。
そのことで私たちは世代を紡いでいきます。そうして私たちはたくさんの人々と
出会うことができる。

私たちが出会うことができたその1人1人が、親や、その時々の大人たちが
育んでくれた大切な命です。そんなリレーが私たちの世界なのですね。

ママさん、パパさんたちに呼んでいただけることは、とても光栄です。
10日の京北でも、和知でも、そして14日の京都市内の集いでも、
いい話合いの場ができたらいいなと思います。

お近くの方、よろしければお越しください。


以下、案内を貼り付けます。

*********************

こんばんわ。
ママパパの会 事務局です。
ただ今決定したばかりの講演会のお知らせです。

守田敏也さんが、講演に来てくださいます。

緻密なデーター収集と鋭い分析力、そしてネットワークにより、震災後、講演会
などに引っ張りだこ、被災地救援(現地入り)など、大変ご多忙な毎日を送られ
ています。
そんな中、突然お願いした、ママパパ企画お話会の申し出を快く引き受けて
下さいました!

守田さんの講演は、私達事務局スタッフも、先月、参加いたしましたが、科学
分析能力が素晴らしく、噛み砕いて説明くださるので大変分かり易いものでした。
個人の質問や不安にも、とっても丁寧に答えて下さいます。

京都のお母さんも、梅雨を迎え、不安が増してきている事と思います。
少しでも、不安や疑問をクリアーにして欲しい。。そんな気持ちで急遽、この
講演会を企画させて頂きました。

当日は、20畳の和室を使用します。
お子様連れも大歓迎です、講演会とは言え、ゆったりとしたお話会形式で
行います。
和室なので小さな子供達もゆったりできます。
是非、皆さん、お越しください!
-----------------------------------------------------

「放射能汚染とどう向き合うか。日本は?京都はどうなるの?」
 (質問はご自由に!)

講師:守田敏也さん
日時:6月14日(火) 10:00~12:00場所:ひとまち交流館 
(河原町五条下がる)
2階 和室
定員:30名 (定員に達する可能性ありなので、お早めにメールにて
ご予約下さいませ。)kodomokyoto@gmain.com*カンパ制です。

9時半には開場いたします。


守田敏也さん(もりたとしや)さん プロフィール
プロフィール:1959年生まれ。京都市在住。同志社大学社会的共通資本研究
センター客員フェローなどを経て、現在フリーライターとして取材活動を続け
ながら、社会的共通資本に関する研究を進めている 。原子力政策についても
独自の研究を続けている。震災後のデーター収集と鋭い分析力により、震災後、
講演会などに駆け回り、多忙な毎日を送られています。
http://abc.pwkyoto.com/?cid=4


------------------------------------------------------------------

放射能から子どもを守る京都・ママ・パパの会

WEB: http://kodomo-kyoto.sakura.ne.jp/
MAIL: kodomokyoto@gmail.com

************

東日本大震災:放射能から子ども守ろう 

「京都・ママ・パパの会」初会合 /京都
 ◇避難者参加、交流や勉強

2011年5月28日 毎日新聞 地方版
 福島第1原発事故で放射能の影響が懸念される中、原発問題への関心を高め
ようと市民サークル「放射能から子どもを守る京都・ママ・パパの会」が設立され
27日、最初の交流会を開いた。市内の子どもを持つ親に加え、福島県や宮城県
から市内に避難している主婦らも参加し、意見交換した。

 サークルは市内の保育士や子どもを持つ主婦らが中心となり設立。子どもの方
が放射能による健康被害を受けやすいとされているが同世代の親の間で、原発
問題への関心が薄いことから、放射能の影響について関心を高めていくことを
目指している。
 初の交流会には
約50人が参加。会では出席者が1人ずつあいさつ。福島県いわき市から京都市
右京区の実家へ3歳の長男と避難している40代の主婦も参加。主婦は震災
4日後の3月15日に、実家へ避難。夫は仕事があるため、既にいわき市に
戻っているが、自分と長男は、放射能の影響が心配で福島県内に戻るか迷って
いるという。

 主婦は「夫はいわき市内の放射線量は低いので帰ってきても大丈夫というが、
本当に大丈夫なのか心配。このサークルで放射線について少しでも学びたい」と
話した。

 今後、街頭署名や専門家を招いての講演会などを開いていくという。問い合わせ
はメール(kodomokyoto@gmail.com)。【堀智行】
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20110528ddlk26040543000c.html


**********

でも原発が無いと電気が使えないんでしょ?え!ちがうの?

京都市右京区京北と船井郡京丹波町(旧和知町)で守田敏也さんの
おはなし会をします。

まだまだ危機的状態が続く被災地。
わたしたちは、何を求めてここまで頑張ってきたのか?
わたしたちは、子どもたちに何を残すことができるのか?
現実を知り、これからどうすればよいのかを一緒に考えたいと思います。

【福島のお母さんたちの声を受けて・・。】

参加費:500円(資料代含む)
★昼の部
日時:6月10日(金)13時~
場所:京北合同庁舎(右京区京北周山町上寺田1-1)

★夜の部【場所を変えて夜も開催することが決まりました!!】
日時:6月10日(金)19時~
場所:菓歩菓歩 クラフト館(京都府船井郡京丹波町坂原シヨガキ16番地)

時間をさかのぼって公表される数値と現在の数値。本当の数値が分かりにくく
なり福島原発の【今の状況】が伝わってきにくい中、時間とともに危機感が
薄れてしまっている。

なかなか止まらない放射能に不安に感じながらも地域の目を優先してしまう
お母さん達。切実な思いを紹介しながら、乳幼児が直面している状況を
お話しします。また福島原発周辺から避難されている方に対して差別・偏見を
生まないように内部被曝や間接被曝なども解説。京北地域が原子力発電所
から30km~50km圏にあることを再認識し、漠然と抱えている危機や恐怖を
発信するのではなく一人ひとりがこれから何が出来るのかを一緒に考えたいと
思います。質疑応答あり。昼の部には福島のお母さんたちも来ます。

守田敏也(もりたとしや)
1959年生まれ。京都市在住。同志社大学社会的共通資本研究センター客員
フェローなどを経て、現在フリーライターとして取材活動を続けながら、社会的
共通資本に関する研究を進めている。

ナラ枯れ問題に深く関わり、京都大文字山での害虫防除なども実施。原子力
政策に関しても独自の研究と活動を続けてきた。3.11以降、発信し続ける記事が
注目され多数の講演依頼をうけるなか、5月には気仙沼に京都で寄付して
いただいた自動車を届け、現地各所で講演。

問い合わせ先:080-3834-0631
       omusubi@keihoku.jp
主催:みどりのこぐま/おむすびマーケット実行委員会
後援:公益財団法人京都新聞社会福祉事業団



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明日に向けて(137) 福島からの避難者ら4割が内部被ばく(長崎県)

2011年06月04日 02時00分00秒 | 明日に向けて6月1~30日
守田です。(20110604 02:00)

ショッキングなニュースです。

中国新聞によれば、3月に原発事故を受けて、救援活動などで現地入りした
人や、現地から長崎県に避難している人たちを調べたところ、約4割が
内部被ばくしていることが分かったと言うのです。

測定は長崎大学病院でホールボディカウンターを使って行われました。
検出されたのは、放射性ヨウ素131とセシウム137です。
「健康影響は考えなくていいレベル」とされていますが、実際はどうでしょうか。

この点を掘り下げてみたいと考えて、この「研究」に参加してコメントしている
「長崎大先導生命科学研究支援センター、松田尚樹教授」がどういう方なのか
調べてみました。

すると分かったのは、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーとなって、3月
から福島に乗り込んだ、かの山下俊一長崎大学教授とペアになり、福島を
はじめ、各地で講演されている方だと言う事が分かりました。

ちなみに山下教授は、4月6日の時点で、「この事故での放射性降下物の影響は
ほとんど皆無」だとか、「放出された放射能は、チェルノブイリ事故の100分の1から
1000分の1」と語った先生です。「マスクは必要ない」と当初から強調されていた。

ところが4月12日の段階で、政府により、放射能はヨウ素換算で最大63万テラ
ベクレルも放出され、チェルノブイリの1割を超えたことが明らかにされました。
さらに6月3日には、放射能汚染水がさらに72万テラベクレルもあることが分かった。

それだけでも山下教授の見通しが、専門家としてはいかに極端な過ちだったか、
科学者として致命的な見込み違いを犯していたかが分かります。松田教授は
そのことをどのようにお考えなのか聞いてみたいものです。

このような点を考えた時に、せっかく行われた検査が、「安全宣言」に利用
されるだけで、本当に、被ばくされた方や、私たちにとっての利のある「今後の
研究に生かせる」のか大きな疑問が残ります。

何よりも、「健康影響は考えなくていいレベル」とされることで、内部被ばくされた
方が、健康被害はないと、治療や補償の対象から外されてしまう可能性がある
のではないでしょうか。

また注意しておかなければならないのは、ホールボディカウンターで計測できる
のは、基本的にガンマー線のみであり、ベータ線やアルファ線は、測ることが
できないという点です。どちらも体内ではほとんど飛ばないためです。

とくにアルファ線は細胞内では何ミクロンという長さしか飛ばない。その分、
周辺の細胞に甚大なダメージを与えるわけですが、外から計測器をあてても
そこまで飛んでこないので、測りようがないのです。

そのためにアルファ線を出す物質を体内でつかまえるのは非常に難しいのです。
尿を採取して分析するとか、アルファー線が出て崩壊するときに微量に出るX線
から推測するなどしますが、おおがかりな装置が必要で、なおかつ精度が低い。

ストロンチウムやプルトニウムなど、ガンマー線を多くは出さない核種による内部
被ばくを把握するのは非常に難しい。むしろ被ばくした直後に、空気中の核種を
捕まえた方がずっと、被ばくの量と質の目安はつきやすいとされています。


福島に救助で入った方と避難された方の4割が内部被ばく・・・。ぜひその
場所も公開して欲しいものですが、このことは、より沢山の方が、ホールボディ
カウンターによる検査を必要としていることを物語っているように思えます。

同時に、尿検査なども必要とされているのではないでしょうか。それらによって、
今のうちに被ばく実態を少しでもつかみ、記録しておくことが、被ばくされた方の
これからに役立つと思います。


・・・内部被ばく問題についての考察を続けます。


なお中国新聞の記事と同時に、山下・松田教授らの講演会のお知らせも
貼り付けておきます。

***

福島からの避難者ら4割が内部被曝 長崎大病院調べ

2011年6月2日 中国新聞
 福島第1原発事故を受け、救援活動などで現地入りした人や、現地から長崎
県に避難している人たちを長崎大病院(長崎市)などが調べたところ、約4割が
内部被曝(ひばく)していることが分かった。原発作業員以外の体内放射能の
測定結果が明らかになるのは初めて。健康影響は考えなくていいレベルという。
同大の研究グループは5日、広島市中区で開かれる「原子爆弾後障害研究会」
で報告する。

 同大病院は3月14日から、福島県に派遣された大学や長崎県職員のほか
被災地からの避難者を対象に、ホールボディーカウンター(全身測定装置)を
使って体内放射能を検査している。同月末までに検査を受けた計87人を分析
したところ、通常は検出されない放射性ヨウ素131を34人(39%)から、セシ
ウム137を22人(25%)から検出した。

 ヨウ素は体重1キロ当たり平均8・2ベクレル、セシウムは同12・5ベクレル
だった。人間(成人)の体内には通常でも、放射性物質のカリウム40が50~70
ベクレル存在することから、健康影響はないと考えられるという。

 研究グループに参加した長崎大先導生命科学研究支援センターの松田尚樹
教授は「ヨウ素やセシウムの値は予想の範囲内だった。呼吸を通じて取り込んだ
ものが大半ではないか」とみる。4月以降に福島県内に入り、測定を受けた人の
検出量はゼロに近づいているという。

 松田教授は「早期の内部被曝結果がデータとして現れた。原発との距離や方向、
滞在時間などの行動パターンと合わせて解析することで、今後の研究に生かせる
のではないか」と話している。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201106020066.html

***

放射性物質:専門家が20日に講演会 東京で

2011年5月12日 17時28分 毎日新聞 
 原爆やチェルノブイリ原発事故などの放射線の影響を研究してきた専門家が
放射線について解説する講演会「長崎から福島へ」が20日、東京都港区北青山
の青山ダイヤモンドホールで開かれる。入場無料。

 主催は、同原発事故被災地などへ専門医を派遣、海外の医師受け入れや技術
支援をしてきた「長崎・ヒバクシャ医療国際協力会(NASHIM)」(長崎市、蒔本
恭会長)。メンバーは、震災直後から福島県内で放射線の影響について講演し、
風評被害を心配する住民から「関東でも実施してほしい」と要望があったという。

 3回連続の講演会で、1回目のテーマは「放射線の正しい理解のために」。長崎
大先導生命科学研究支援センターの松田尚樹教授と、福島県放射線健康リスク
管理アドバイザーの山下俊一・同大大学院医歯薬学総合研究科長が講演。放射
線測定値の意味や福島第1原発事故による健康影響を考える。2回目は6月、
3回目は7月に東京都内で開く予定。

 申し込みは、同会ホームページ(http://www.nashim.org/)からか、
事務局(095・895・2475)へ。
http://mainichi.jp/select/science/news/20110513k0000m040008000c.html
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明日に向けて(136) とうとうチェルノブイリ事故の4分の1の放射能漏れ

2011年06月03日 22時00分00秒 | 明日に向けて6月1~30日
守田です。(20110603 22:00)

このところ、原発の現状や汚染実態について、きちんとした数値の入った情報
が出てこないことにやきもきしていましたが、今日は反対にとんでもない情報が
出てきました。

5月末現在、福島第一原発にたまり続けている放射能汚染水の量は、10万
5100トンになっており、そこに含まれる放射能量が、なんと72万テラベクレル
にもなっているとの推論を東電が発表したという記事です。

これはとんでもない量です。チェルノブイリ事故で放出されてしまった全放射能
量が、520万テラベクレルとされていますから、(この根拠もいまひとつよく
分かりませんが)、およそその7分の1が、原発サイトに貯まっていることになる。

すでに大気中の放出された量として発表されたのが、37万から63万テラベクレル
(4月12日発表)。これは放射性ヨウ素に換算しての値でしたが、これに現在の
汚染水を合わせると、109万から135万ベクレルになります。

この他にもカウントされずに海に流れ込んだものも相当量あること、またこれまで
の東電の不誠実なあり方から、データの信用性が低まるばかりだと言えますが、
ともあれ放射能量はチェルノブイリ事故の4分の1以上であるとは言えそうです。

ちなみに5月末は、事故から約80日後にあたります。放射性ヨウ素131は8日が
半減期ですから、80日では当初の値を、2の10乗で割った値になるので、約
1000分の1になっているはずです。それでもこんな凄い量が出ている。

チェルノブイリとの比較は、「大気中に漏れ出した放射能」の量ですから、今ある
放射能がだんだんに蓄積してきたことを考えると、もっと前には当然ヨウ素の
値は大きかったことでしょう。

しかしどれぐらいの量がいつ炉内から出てきたかを特定するのは難しく、その意味
では放射性ヨウ素がどれほど外に出てから崩壊したのかを推論するのには、
難しい面があることも確かです。

そのため、4月の推計と、5月末の推計を単純に足し合わせていいかどうか
僕にはよく分からない面もあるのですが、それでも大づかみに、すでにチェルノ
ブイリ事故の4分の1以上の放射能が漏れ出たと言ってよいと思います。


とにかくこれは大変なことです。何せ7分の1はまだきちんと保管できていない。
きちんとどころか、保管場所でも何でもない建物の地下に溜まっている有さま
です。今も地中や海中に染み込んでいる可能性も非常に大きい。

ところがこれを報じる記事がまたかなりひどい。朝日新聞の見出しは、「放射能
汚染水、20日にも満杯 冷却水減らす判断も」であり、読売新聞の見出しは
「地下タンクなど、東電が汚染水保管・処理計画」です。

どちらも、72万テラベクレルもの汚染水が未管理なままに貯まっている事実が、
見出しになっていない。レベル7への引き上げで大騒ぎになった、37~63万テラ
ベクレルという発表を上回る数値なのに、その指摘すらない。

まさに放射能漏れは、長く、ゆっくりと、大量に続いており、それにマスコミが
慣らされてしまい、重大な事実が、単なる一つの「事象」かのように扱われて
しまっています。現在の危機はまさにこうした状態の中にあります。


同時に僕が非常に懸念するのは、この72万テラベクレルというもの凄い量の
放射能の中身への関心がまったく喚起されていないことです。東電は量の
推測を語っているだけで、質=放射性核種の種類については触れていない。

量だけでなく、質が問題にされなければ、トータルに放射能漏れを把握した
ことにはなりません。しかし東電は量の問題ばかりに発表内容を収斂させて
しまっている。ここに東電や政府が隠している何かを僕は感じます。

またこれが追求されないありさまに、私たちの危機があります。とうとうチェルノ
ブイリの4分の1にもあたる量に、漏れでた放射能が達してしまった。それが
ヨウ素・セシウムだけなどということがあるでしょうか。そんなことはないはずです。


・・・さらに解析を続けます。


*****************

放射能汚染水、20日にも満杯 冷却水減らす判断も

2011年6月3日13時0分
 東京電力は3日、福島第一原子力発電所にたまり続けている高濃度の放射能
汚染水が5月末現在で計10万5100トンで、含まれる放射能量は72万テラベク
レル(テラは1兆倍)と推定されることを明らかにした。今回の事故で大気中に
放出した量を超える値。汚染水は20日にも外にあふれ出しかねないとしている。
15日完成予定の汚染水処理施設で対応するが、間に合わなければ原子炉へ
の注水量を減らす。

 東電が経済産業省原子力安全・保安院に提出した報告書によると、1~4号機
の原子炉建屋やタービン建屋、汚染水を移した集中廃棄物処理施設などの地下
に5月末現在で計10万5100トンの汚染水がたまっている。72万テラベクレルは
今回の事故で大気中に放出されたと推定されている37万~63万テラベクレルを
超える。チェルノブイリ原発事故で大気中に放出された520万テラベクレルの
7分の1だ。

 福島第一原発では核燃料を冷やすために原子炉に水を入れ続けており、壊れ
た炉から漏れ出る汚染水は増え続ける見通しだ。東電は複数の仮定をもとに、
建屋地下にある水が地表にあふれる時期を想定。最短で今月20日に水があふ
れることがわかったという。過去に海に漏れ出た高濃度の放射能汚染水は2回
確認されており、4700テラベクレル(500トン)と、20テラベクレル(250トン)
だった。
http://www.asahi.com/national/update/0603/TKY201106030185.html

****

地下タンクなど、東電が汚染水保管・処理計画

2011年6月3日14時10分 読売新聞
 東京電力は3日、福島第一原子力発電所の原子炉建屋地下などにたまる、
放射性物質を含む高濃度汚染水の保管・処理計画を発表した。

 降雨の影響で20日にも汚染水が海へ流出する恐れがあるため、15日に汚染
水の処理施設を稼働させ、浄化した水を別のタンクに移し替えることで、外部
流出を防ぐとしている。計画は、梅雨や台風シーズンを前に海などへの流出を
懸念する経済産業省原子力安全・保安院の指示を受け、策定した。汚染水の
放射能量を72京ベクレル(京は1兆の1万倍)と算定。集中廃棄物処理施設の
汚染水は、15日稼働予定の処理装置で浄化を始め、汚染水濃度を中低レベル
に下げた上で、建設中のタンクに貯蔵する。また、高濃度汚染水を貯蔵するため、
地下に埋設する「地下防災タンク」(容量約1万トン)を8月中旬をめどに設置する
計画だ。

 東電は5月28日夕から6月1日夕までの総降雨量(約145ミリ)をもとに、建屋
地下の汚染水の水位上昇を計算し、20日にも汚染水が流出する恐れがあると
みている。流出を防ぐため、年内には容量計20万トンのタンク増設を進める。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110603-OYT1T00467.htm
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明日に向けて(135) カトリックと正義と平和と社会的共通資本

2011年06月03日 02時00分00秒 | 明日に向けて6月1~30日

守田です。(20110603 02:00)

今宵はもう一つ発信します。

6月25日に「カトリック正義と平和京都協議会」の方たちに呼んでいただいてお話することになりました。河原町三条のカトリック会館で午後2時からです。

カトリック・・・というと、僕には格別な思いがあります。
僕自身は、特定の神さまを信じてはいませんが、およそ神々しいすべての存在に敬虔な思いを抱いています。その意味では多神教徒で、カトリックの信仰を・・・申し訳ないですが・・・持ってはいません。

しかしカトリックというと、前の法皇、ヨハネ・パウロ2世のことを思い出します。
法皇は1981年に広島を訪問され、「平和アピール」を出されました。
今、読んでも胸がうち震える文章です。一部だけですが、引用してみます。


「35年前、ちょうどこの場所で、数多くの人々の生命が、一瞬のうちに奪い去られました。そこで、わたしはこの地で、「人間性のため、全世界に向けて生命のためのアピール」を、人類の将来のためのアピールを、出したいと考えます。

各国の元首、政府首脳、政治・経済上の指導者に次のように申します。
正義のもとでの平和を誓おうではありませんか。
今、この時点で、紛争解決の手段としての戦争は、許されるべきではないというかたい決意をしようではありませんか。
人類同胞に向って、軍備縮小とすべての核兵器の破棄とを約束しようではありませんか。
暴力と憎しみにかえて、信頼と思いやりとを持とうではありませんか。

この国のすべての男女、全世界のすべての人々に次のように申します。
国境や社会階級を超えて、お互いのことを思いやり、将来を考えようではありませんか。
平和達成のために、みずからを啓蒙し、他人を啓発しようではありませんか。
相対立する社会体制のもとで、人間性が犠牲になることがけっしてないようにしようではありませんか。
再び戦争のないように力を尽くそうではありませんか。

全世界の若者たちに、次のように申します。
ともに手をとり合って、友情と団結のある未来をつくろうではありませんか。
窮乏の中にある兄弟姉妹に手をさし伸べ、空腹に苦しむ者に食物を与え、家のない者に宿を与え、踏みにじられた者を自由にし、不正の支配するところに正義をもたらし、武器の支配するところには平和をもたらそうではありませんか。
あなたがたの若い精神は、善と愛を行なう大きな力を持っています。人類同胞のために、その精神をつかいなさい。

すべての人々に、私はここで預言者の言葉を繰り返します。
「彼らはその剣を鋤に打ちかえ、その槍を鎌に打ちかえる。国は国に向かいて剣を上げず、戦闘のことを再び学ばない」(イザヤ2・4)。

神を信じる人々に申します。
われわれの力をはるかに超える神の力によって勇気を持とうではありませんか。
神がわれわれの一致を望まれていることを知って、団結しようではありませんか。
愛を持ち自己を与えることは、かなたの理想ではなく、永遠の平和、神の平和への道だということに目覚めようではありませんか。」

広島にて 1981年2月25日
なお全文は以下から読めます。
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/doc/etc/hiroshima.htm


僕は一時期、同志社大学の社会的共通資本研究センターに身を寄せて、研究活動をしていました。
この社会的共通資本という概念を編み出され、センターを立ち上げられたのは宇沢弘文先生です。



その宇沢先生、実はヨハネ・パウロ二世にローマに呼ばれ、お話したことがあるのです。

1990年8月、宇沢先生のもとに、ヨハネ・パウロ2世からお手紙がきました。
1991年が回勅「レールム・ノヴァルム」が出されてから100周年に当たるので、
新しい「レールム・ノヴァルム」を出すことになり、協力して欲しいとのことです。

回勅とは、ローマ法王が、その時々に直面する最も重要なことがらについて全世界の司祭に通達する文章のことです。1891年、これを出されたレオ13世が「資本主義の弊害と社会主義の幻想」というサブタイトルをつけた文章を出された。

実は宇沢先生。ローマ教会2000年の歴史の中で、初めてこの作成に呼ばれた「外部者」だったのですが、そのとき先生は、「社会主義の弊害と資本主義の幻想」というサブタイトルをつけた文章を出すことを提案されました。

ヨハネ・パウロ二世は大変、喜ばれ、宇沢先生の意見に耳を傾けて下さったそうです。


1991年・・・この年は旧ソ連が崩壊していった年です。その前に東欧の社会主義が相次いで崩壊していった。今、多数の社会学者たちが唱えているのは、この崩壊の大きな要因がチェルノブイリ原発事故にあったということです。

この事故のとき、旧ソ連政府は、事故隠しを行って、たくさんの人々を被ばくさせてしまった。キエフ市などでは、「パニックを起こさない」という掛け声のもと、放射能が降る中、予定されていた共産党を祝賀するパレードが行われてしまいました。

赤いネッカチーフを首に巻いたたくさんの子どもたちが、この中を行進し、あたら避けられる被ばくをしてしまったのです。そうしたことが徐々に明らかになる中で、旧ソ連は決定的に人々の支持を失っていきました。

しかしその後のロシア等々がいい国になったのかと言えば、けしてそうは言えない。
むき出しの、つまり弱肉強食の資本主義がその後にこの地域に入り込み、あっという間にもの凄い貧富の差がうまれてしまったのでした。


そうした事態を前にしながら、宇沢先生は「社会主義の幻想と資本主義の害悪」というサブタイトルを回勅につけることを提案されました。
宇沢先生自身はこれをこう語られています。

「21世紀への展望を考えるとき、制度主義の考え方こそが人類が直面する問題を解決するための重要な概念で、それは、資本主義とか社会主義という、経済学のこれまでの考え方では決して解決できない。地球環境、医療、教育を中心とする社会的共通資本の問題をもっと大切に考えて、1人ひとりの人間が人間的尊厳を守り、魂の自立をはかり、市民的自由を最大限に発揮できるような安定的な社会を求めて、私たちは協力しなければならないことを強調した」(『経済学と人間の心』東洋経済16頁)


ところで宇沢先生。その後にヨハネ・パウロ二世のお部屋に招かれて、ご馳走になったことがあるそうです。美味なワインで「すっかりいい気持になった」先生、ヨハネ・パウロ二世にこう申し上げたという。

「いま、人々の魂は荒廃し、心は苦悩に侵されている。この世界の危機的状況のもとで、あたなは倫理を専門とする職業的専門家として、もっと積極的に発言しなければならない」。

ヨハネ・パウロ二世は、にこにこしながらこう言われたそうです。

「この部屋で、私に説教したのは、お前が最初だ」。
(You are the first to preach me here!)


そんな話を僕も宇沢先生にお酒をご馳走になりながら、何度ともなく聞かせていただきました。そのときに、宇沢先生が繰り返しおっしゃったのが、広島でヨハネ・パウロ二世が語られた平和アピールには、社会的共通資本の考え方のエッセンスがつまっているということでした。

僕自身、社会的共通資本を学び、研究するものとして、この言葉をかみしめながら、歩みたいと思います。

「ともに手をとり合って、友情と団結のある未来をつくろうではありませんか。
窮乏の中にある兄弟姉妹に手をさし伸べ、空腹に苦しむ者に食物を与え、家の ない者に宿を与え、踏みにじられた者を自由にし、不正の支配するところに正義をもたらし、武器の支配するところには平和をもたらそうではありませんか。」

みなさま。

正義と平和の心を持ち、原発事故に立ち向かい続けていきましょう!
東日本の方々と、嘆き、痛み、苦しみを分かち合いながら、明日に向けた可能性を切り開いていきましょう!

**************

カトリック正義と平和京都協議会学習会

フクシマ原発事故から学ぶ

日時 6月25日(土) 午後2時~4時
場所 河原町三条・カトリック会館6階
報告 守田敏也さん(フリーライター)
    元 同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェロー)
参加料 無料(原発被災者への募金箱を置きます)

神は天地創造にあたり、造られたものをご覧になり、「それは極めてよかった」と言われ、全てを人類にお委ねになりました(創世記1章)。人は地球上の全てのものを、神の意志に従って管理し、人類の幸せ実現のために有効に利用し、何世代も後の子孫にまで、正しく美しい状態で委ねていく責務を負っているのです。

フクシマ-ゆっくり、長く、大量に続く、放射能漏れ事故-この学習会を予定してる5月25日現在、福島原発がいったいどのような状況になっているのかすら、誰も予想することができません。人間の手で制御しきれないようなものを作ってしまい、そしてその犠牲となる者は、いつもその恩恵を享受してきた者ではない、そのような不条理を、黙って見ていてよいのでしょうか。

「原発をなくしては、日本の経済が成り行かない?」「CO2を減らすために原発は必要?」「夏場の電力需要を考えたら・・・?」「感情論での反原発は現実的ではない?」それって、本当に本当でしょうか。
現場や現地の人びとに犠牲を押しつけ、子々孫々にまで、どうにもならない核のゴミを押しつけるエネルギー政策は許されることでしょうか。

関西に住む私たちに今、避難民当事者との温度差がないとは言えませんが、全国で一番固まって13基もの原発が稼働しているのが若狭湾であるという現実をもっと注視すべきではないでしょうか。未だに、「もっと安全な原発を」という発想にとらわれている人が少なくない中で、私たちは脱原発の道筋を提示する知識と力を得ることができるようにと、学習会を企画しました。

報告者の守田さんは、同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローなどを経て、現在フリーライターとして取材活動を続けながら、原子力政策に関しても独自の研究と批判活動を続けてこられた方です。多くの方のご参加をお待ちします。

主催 カトリック正義と平和京都協議会

#カトリック #正義と平和協議会 #宇沢弘文

*****

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明日に向けて(134)バージャー氏病と被ばく(Kさんのお父さまの例から)

2011年06月03日 00時00分00秒 | 明日に向けて6月1~30日

守田です。(20110603 00:00)

今週の月曜日と今日、木曜日に、自宅近くのキッチンハリーナで、東北の旅の報告会をさせていただきました。たくさんの方が集まってくださり、濃密なお話ができました。みなさま。ありがとうございました。

さて、今日、会が終わってから、居残った方とお話をしていたのですが、その中でKさんという方に大変、印象深いお話をうかがい、思わず取材モードになってしまってメモを取りながら、あれやこれやと聞いてしまいました。

Kさんのお父さまも広島原爆の爆風を浴びられたのです・・・。

もっともお父さまが爆風を浴びられたのは、広島から直線距離で約20キロ離れた呉でのことでした。このときお父さまは13歳。小学校を出たばかりでした。学徒動員で呉に動員され、飛行場で部品を作っていたのだそうです。

しかも作業は昼夜を分かたず強行され、8月6日の朝は徹夜明けで迎えられたそうです。ちょうど作業がひと段落して、草むらの上にごろんと横になろうとしたとき、広島方面で閃光があがり、続けて爆風がやってきました。

これをもろに受けてしまったお父さまは、毎年になるとこのことを話されたそうです。「あのときの風が気持ち悪い風でな」と繰り返し話された。「よっぽど印象に残っていたのでしょう」とKさん。

その後、お父さまはお母さまと出会われ、結婚されました。Kさんが生まれたのは1961年です。そしてKさんが3つになられたとき、お父さまが発病されました。1964年。お父さまが33歳のときでした。

病は「奇病」でした。はじめは足が動かなくなることから始まりました。力が入らないというのです。しかし病院で検査しても原因が分からない。そのまま半年も入院されたそうです。

Kさんが小学校2年生のとき、お父さまが38歳になられたときに、ようやく病名が分かりました。「バージャー氏病」というのだそうです。血液の中の血小板が増えてしまい、血管がつまってしまう病気です。

ネットで調べてみると、以下のような記述があります。
「バージャー病は閉塞性血栓血管炎とも呼ばれ、四肢の動脈に閉塞性の血管炎をおこす疾患です。四肢の末梢血管(主に動脈)が閉塞し、四肢や手足の指に血液が十分供給されないために起こる病気です。原因は不明ですが、喫煙による血管のけいれんが誘因と考えられています。遺伝性の病気ではありません。」

症状については以下のように書かれています。
「下肢動脈に好発して、冷感、シビレ感、寒冷暴露時のレイノー症状(冷たいものに触れると手指が蒼白になる症状)を認め、ひどくなると間欠性跛行(ひと休みすると再び痛みが収まり歩行できる)や安静時疼痛が出現し、閉塞がひどくなると四肢に皮膚潰瘍、壊疽が起こります。四肢の動脈が閉塞すると、閉塞した動脈の拍動は触知されません。」
http://homepage3.nifty.com/mickeym/No.401_500/448tao.html

ちなみにKさんのお父さまは、お酒もたばこも飲まれない方でした。

お父さまはこの38歳のときに、初めての手術を受けられました。血管の周りの神経を取り除くのだそうです。そうすると血管が圧迫されている感じが治まりいくらか楽になる。これらの手術を、38歳、42歳、45歳、48歳と受けられた。

お父さまは市バスの運転手をされていたので、何よりも足が動かなくなることを恐れられた。当時、この病気になったら、先々は足を切断せざるをえないと言われていたそうで、それを少しでも先に延ばすのがたたかいだったとか。

病は国によって、難病指定を受けているため、その申請も行ったそうですが却下されてしまいました。原因は分からないそうですが、お父さまは、指定を受けることでの仕事への影響も心配され、ホッともされたそうです。

しかし医療保険以外の公的援助もないままに、お父さまの闘病は続きました。33歳で発病され、足を失う恐怖にさいなまれ、30代から40代にかけて4回もの大手術を受けなくてはならなかった苦しみはいかほどのものだったでしょう。

しかし最後の手術を迎える頃になると、治療法が格段に進歩し、血小板の発生を抑える薬が出てきて、もう手術をうけなくていいという展望がでてきたそうです。その頃すでに足の指など失なわれていましたが、明るい未来が見えてきた。

ところがそう思ったのもつかの間、今度は輸血原因の肝炎にかかってしまいました。しかもB型の劇症肝炎でした。ある日、トイレから出てこないので見にいったところ、倒れられていた。トイレの中が血まみれだったそうです。

そのままお父さまは、3日間で命を落としてしまわれました。53歳のときでした。「せっかく何とかなると思い始めていたのに、今度は輸血感染。父は悪いものをみんな背負いこんでしまいました」とKさん。

そんなお父さまの病が、被ばく故のものだったのではないかと考えだしたのはその後、かなり時間が経ってからのことだそうです。闘病中は、お父さまも、ご家族も、被ばくと関連づけて考えられたことはなかったのだそうです。

実際にはどうでしょうか。詳しく調べたわけではないのですが、現代医療において、「バージャー病」は被ばくによるものとは認められていないのだと思います。爆心地から20キロ離れていたお父さまは、もちろん「被爆者健康手帳」も受けとっていません。

しかし病状をみると、主に血小板が異常に作られてしまう病であり、血液の成分を作る大もとの細胞の、造血幹細胞が叩かれて起こった病であることは明らかです。お父さまもご家族も常々、白血病の反対の病気だと語られていたそうです。

実際、最近では、自らの造血幹細胞を使った再生医療が試みられているといいます。その展望は良く分からないですが、血液を造る機能が破壊された故の病で、そうなると放射線の影響が強く考えられる。

実はこれで僕の父に対する推論にも、少しの回答が得られました。前にもご紹介しましたが、広島に原爆が投下されたとき、父は香川県善通寺市の陸軍船舶隊にいて、救援で呉の海軍基地まで進みました。

しかしその先は動かなかった。偵察隊が市内に入り、どこにも行きようがないと報告したからでした。そのため父は「入市被ばく」は免れた。しかし呉までいった父も多少の被ばくがあったのではないかというのが僕の推論でした。

その呉で、学徒動員されていたKさんのお父さまは、爆風を浴びられた。毎年思いだす「気持ち悪い風」を全身に受けたのです。その風の中にさまざまな放射性物質が入っていたと思われます。それをお父さまは体内に蓄積した。

そこに爆弾投下から間もない時間に入った僕の父はどうだったのでしょう。被ばくの可能性は十分にあった。ちなみ僕の父は59歳のときに脳溢血で他界しました。脳溢血と被ばくとの関係はともあれ、父にもまた被ばくの影響はあったのではないか。

これらはあくまでも推論の域を出ません。しかし広島・長崎原爆の被害は、相当に小さく見積もられてきたのではないかと僕には思えます。多くの被ばく者が被ばく者ときづくこともなく、病に苦しみ、亡くなっていったのではないか。

戦後にアメリカ軍のもとで徹底した緘口令が敷かれ、その後も、アメリカに頭をおさえられている政府によって、おさえられてきた被ばく者調査や医療。私たちはその実態を、自ら調べ、明らかにしていく必要があります。

広島・長崎原爆は、今なお、終わっていない。そう強く思います。そしてその調査の中に、福島原発事故へのより妥当な対処、またこれからのさまざまな公的補償の拡大を実現していく展望があると僕は思うのです。

にんげんをかえせ
 
そう何度も心のうちで叫びながら、僕は歩んでいきたい。
・・・Kさん。貴重な話を聞かせて頂き、ありがとうございました。

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明日に向けて(133) 気仙沼からの便り ・・・その13

2011年06月02日 22時30分00秒 | 明日に向けて6月1~30日
守田です。(20110602 22:30)

気仙沼のアビスさんから便りが届いたので、みなさんにお届けします。
ちなみに今回の便りは、アビスさんの岩手県一関市室根のアビス亭の
被ばくのお話です。

アビスさんは気仙沼出身で、気仙沼の避難所・避難者を回られてきて
いますが、ご自宅そのものは、気仙沼から海を背に、山側に登って
いった中腹にあります。

「こうやって、裏側に山を背負っているところは、放射能が落ちてたまる
らしいですね」なんて、僕が行ったときも話していたのですが、僕も今回は
ガイガーカウンター持産ではいけなかったので、計測ができませんでした。

ちなみにアビス亭、豪邸です!・・・もともと広々としていた農家を土地つき
山つきでごそっと借りられているのです。しかも信じられないほどの格安で。
そこにドラムセットまで持ち込んだ愉快で、ちょっとミステリアスな館です!

付近は、穏やかでのんびりとした山里の風景が広がっており、僕が訪れた
ときはちょうど落葉樹の葉が芽吹いた後だったので、山の色がきれいでした。
アビスさんと車で走りながら、「日本の原風景ですねえ」なんて話し合った。

しかしそこもまた汚染されてしまいました・・・。予想はできていたことですが、
数値をみると何とも悲しいです。ガイガーカウンターでご自宅や近隣を
測られた多くの方が、こういう思いをされたのでしょうね。

なおアビスさんの便りの中に、アスファルトより草むらの方が数値が高いと
ありましたが、放射性物質は、単純に塵と考え良くて、雨で流れます。なので
流れやすいアスファルト上は低くなり、溜まりやすい土の上は高くなります。

その点で、汚染されていると分かったら、土の多い草むら、枯れ木・枯れ草の上は
近づかない方がいいですが、それではアビスさんの裏山には入れない。あのときも
タラの芽を摘んできて天ぷらにして食べました。もの凄い美味でした。しかし・・・・。

アビスさん。何とかガイガーカウンターの手配を試みます!あのときも話し合い
ましたが、本当にこれからは一家に一台、ガイガーカウンターの時代ですね。
どうか被ばくにご注意されますように。

気仙沼からの便り・・・というよりは岩手県室根からの便りと言った方がいいかも
しれない、アビスさんの今回の報告をお読みください。ちなみに気仙沼・室根は
ともに福島原発から約170キロの距離です。

*************************

気仙沼のアビスさんから
6月2日18時34分

今朝、関東から、三人の友達が来ました。
伊豆から来た絵描きのYutaka君は、
1ヶ月ぐらい前にも、
「家でじっとしていられないから。」と言って、
ボランティア活動がしたいと、
二人の友達と一緒に、気仙沼市唐桑町に来て、
瓦礫の片付けなどの作業を、手伝っていってくれました。

今回は、東京の絵描きのヤスミチ君と、
高知のシンガー、ケーホ君の3人での、
ボランティア活動です。

昨夜、伊豆を出発した彼らは、
今朝6時ごろ、我が家に到着。

なんだかんだ話していると、どうやら今回、
ガイガーカウンターを持参らしい。

前々から気にはなっていたので、我が家を計測。

そこで、やっぱ正直、驚きました。

出た数字は、
室内で0.2μSv/h、外で0.4μSv/h、
雨どい付近はなんと、3.57μSv/h。

測り間違いかなぁ。
と思うけど、出た数字は、やっぱりこの数字。

そういえば、ドイツの気象風予報では、
昨日辺りから、南風で宮城、岩手にまともに来てたよなぁ。

それで計測時は、昨夜からの小雨の中。
我が家の立地は、北側に標高895mの室根山。
その中腹の南斜面、400m位の所に立っていた物件を借りてます。
 
そんな立地を考えると、福島原発の方角の斜面で、
北に山を背負っている状況は、
南風に乗っかってくる物が、引っ掛かりやすい状態ですね。

詳しいことは、調べたわけではないので、解りませんが、
素人の判断ですが、こういう立地に、
ホットスッポトなる現象が起きやすいのかと思います。

今回の計測の数字をどう判断すればいいのでしょうか?

家の周りを計測したら、アスファルトとその横の草むらでの
数字の違いがありました。

アスファルトの方が、草むらよりも高い数字を出してました。

素人の考察ですが、ある期間の蓄積が数字に現れる時、
草むらの方が、蓄積は高いのではないだろうか?
測定時には、昨日から降り続いている雨。
今回のこの雨が、異常に数値が高かったのではないだろうか?

などと、素人が学者を気取って考察のまねをしてます。

なにせ、手元のガイガーカウンターがないもので、
考察の資料となるデーターは、ちょっとカウンターを借りて、
家の周りだけを測った数字。
この近所はどうなのかとか、考察にはもっとデーターが必要ですね。
考察のうえでの対処ですね。

というわけです。

震災以後、人の出入りが多くなった我が家。
人の出入りする場所なので、報告の義務を感じて、
ネット上でのご報告です。

ま、これから、我が家に来る事がある人は、
我が家の水道は、湧き水なので、
食べ物、飲み物持参が、好ましいでしょう。

というわけで、
時代は、変わったんですねぇ。
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明日に向けて(132) 20ミリシーベルト問題で進展!

2011年06月01日 13時00分00秒 | 明日に向けて6月1~30日
守田です。(20110601 13:00)

(どうも、ブログ編集画面がおかしく、操作がうまくできません。
そのためリンク先からワンクリックで飛べるようにする操作ができません。
もうしわけないですが、紹介してあるアドレスにいかれるときには、コピー
して、インターネットのアドレス部分に貼り付けるなどしてください)


みなさま。
「子どもの20ミリ問題」での進展についての報告が流れてきました。
数日前の情報になりますが、重要なことですので、ここに掲載させて
いただきます。

何よりも福島の親御さん達の懸命の努力、それを支えた多くの方たちの
努力の結果だと思います。

これは福島の子どもたち、親たちだけの問題ではありません。
すべての子ども、子どもを取り囲む私たちの安全を守るための行動です。
積極的に動かれたみなさまに本当に感謝します。

福島事故はいまだ収束しておらず、深刻なことはたくさんあります。
でもその中で、こうして一つ一つ、努力が実っていることも確かです。
この成果をみんなでシェアしあい、もっと前に歩んでいきましょう。

福島の学校のことでもまだ課題は残っています。声明の中にそれが
書かれていますので、ご注目ください。

611全国一斉100万人行動をはじめ、やれるすべてのことをやりましょう!

以下、文科省を大きく揺り動かした、5月23日の福島の親御さんたち70人
参加のもとでの、対文部科学省交渉の動画が見れます。交渉の様子だけで
なく、色々な方が、自分の思いを語っていて感動的です。少し長いですが、
ぜひご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=8CE9SxUAe7c

以下、5月27日に出された声明文を転載します!

*************

みなさまへ
FoE Japanの満田です。

子どもの20ミリ問題で、5月27日、文科省が1ミリシーベルトをめざすとの
文書を発表しました。基準の撤回まではいきませんでしたが、事実上の
断念であると考えられます。これも全国・全世界のみなさまが声を上げて
くださった成果です。ご協力、本当にありがとうございました。

残された問題と課題の解決に向け、取り組んでいきたいと思います。引き
続きよろしくお願いいたします。

以下、子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(代表 中手聖一)、
グリーン・アクション、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、美浜・大飯・
高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO FoE Japan、
環境NGOグリーンピース・ジャパンで発出した声明です。

------------------------------------------------------------
2011年5月27日
声明
===============================
文科省:当面の対応として「今年度、年間1ミリシーベルト以下を目指す」
「子ども年20ミリシーベルト暫定基準」事実上断念
福島の父母たち、市民運動が勝ち取った大きな一歩
同時に、文科省の発表は多くの問題と課題を残す
http://dl.dropbox.com/u/23151586/110527_statement.pdf
=================================

本日(5月27日)、文部科学省は、「福島県内における児童生徒等が学校等
において受ける線量低減に向けた当面の対応について」を発表し、この中で、
「年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトを目安とし」としながらも、「今後
できる限り、児童生徒等の受ける線量を減らしていくという基本に立って、
今年度、学校において児童生徒等が受ける線量について、当面、1ミリシーベルト
を目指す」としました。また、校庭・園庭の空間線量率が毎時1マイクロシーベルト
以上の学校の除染について、財政支援を行うこととしています。

明言こそしていませんが、年間20ミリシーベルトに基づいた校庭等の利用制限
毎時3.8マイクロシーベルトを事実上断念し、棚上げにして、私たちがいままで
求めていた通常の基準値年間1ミリシーベルトを目指すという基本姿勢を文書で
示しました。
これは、5月23日の福島の父母たちおよびそれを支援する多くの市民たちの
要請にこたえたものであり、この間の市民運動が勝ち取った大きな一歩です。

一方で、下記の課題も残ります。

1.「今年度1ミリシーベルト以下を目指す」について

・事故後からの積算線量で年間1ミリシーベルト以下を目指すべき。また、学校
外における積算線量も含めるべき。
・さらに、既に1ミリシーベルトを超えている学校については、表土除去だけで
はなく、学童疎開など、あらゆる被ばく低減策を実施すべき。
・この1ミリシーベルトには、学校給食などによる内部被ばくは含まれていませ
ん。これも考慮にいれるべき。
・内部被ばくに関しては、モニタリングの対象とすべき。
文科省が示している「今年度」とは、4月1日からとなり、事故後の3月分は
含まれない可能性があります。また、「当面の対応」では、積算線量計を各学校
に配布し「積算線量のモニタリングを実施する」となっています。マスコミ報道に
よれば、この測定は基本的に6月からとされています。4月以降または6月以降
の評価で「1ミリシーベルト」とするのは不十分です。

2.財政支援を、土壌の汚染低減措置に限っていることについて

・授業停止、学童疎開、避難などあらゆる被ばく低減策について、これらを実行
に移す具体的な措置を示し、財政支援を行うべき。
「当面の対応」では、国による財政支援を土壌の汚染低減措置に限っています。

3.土壌の汚染低減化を毎時1マイクロシーベルト以上に制限していることにつ
いて

・土壌の汚染低減化は毎時1マイクロシーベルト未満であっても必要です。年間
1ミリシーベルトの被ばく以下になるよう土壌の汚染を除去するべき。
・除去した土壌については、東電と国の責任で管理すべき。
「当面の対応」では、財政支援の対象として、校庭・園庭の空間線量率が毎時1
マイクロシーベルト以上と制限を設けています。しかし、毎時1マイクロシーベ
ルトは、事故以前の福島県の平均空間線量の約25倍にもあたり、年間では8.8ミ
リシーベルトにもなります。年1ミリシーベルトを守るためには、セシウム137
で考えれば、土壌1平方メートル当たり40キロベクレル、空間線量では毎時0.15
マイクロシーベルト以下にする必要があります。

なお、今回の問題の根底には、文科省がもつ根強い「安全」神話がありました。
文科省および福島県の放射線リスクアドバイザーは、あたかも100ミリシーベル
ト以下であれば安全であるかのような宣伝を行ってきました。この偏った文科省
および一部の無責任な学者の宣伝を修正していかない限り、問題は繰り返し生じ
るでしょう。

私たちは、勝ち取った今回の大きな前進を、一緒になって行動を起こしてくださ
った全世界の市民の方々とともに確認するとともに、引き続き、日本政府に対し
て、以上の問題の対応および20ミリシーベルト基準撤回を求めていく所存です。

以上

別添:5月27日付「福島県内における児童生徒等において受ける線量低減に向
けた当面の対応について」
http://dl.dropbox.com/u/23151586/monka_110527.pdf

子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(代表 中手聖一)
グリーン・アクション TEL:075-701-7223
福島老朽原発を考える会(フクロウの会) TEL:03-5225-7213
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会) TEL:06-6367-6580
国際環境NGO FoE Japan TEL:03-6907-7217
環境NGOグリーンピース・ジャパン TEL:03-5338-9800
--
国際環境NGO FoE Japan
〒171-0014 東京都豊島区池袋3-30-8-1F
Tel: 03-6907-7217 Fax: 03-6907-7219
Web:http://www.FoEJapan.org
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