守田です。(20160724 07:30)
伊方原発3号機ポンプ故障事故に関する分析の続きです。
今回、調べてみて分かった重大な事実は、実はこのシール部分からの水漏れ故障事故が過去にも起こっていることです。その一つは2005年に起きた美浜原発1号機での故障事故です。
これを報じた関西電力のプレスリリースをご紹介します。(実は僕自身はこの関電の報告図によってこの3重のシールの構造の概略を理解することができました。)
美浜発電所1号機 A-1次冷却材ポンプシール水漏えいの原因と対策について
2005年10月19日 関西電力
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2005/__icsFiles/afieldfile/2005/10/19/1019_1j_1.pdf
いやそれだけではありません。同様の1次冷却材ポンプ部分からの水漏れは、なんと伊方原発3号機そのものでも2003年に起こっているのです。
伊方発電所3号機一次冷却材ポンプのモータ用冷却水(純水)の漏えいについて
2003年10月31日 四国電力
http://www.yonden.co.jp/press/re0310/j0ypr010.htm
これは極めて重大な問題です。なぜならこの部分からの水漏れ故障事故がこれまで少なくとも2回も起こっており、なおかつそのうちの1回は伊方原発3号機そのもので起こっていたからです。
だからこそ四国電力は、3号機を再稼働するにあたってこの部分の部品を新品に代えていたわけですが、それでも同じような水漏れを防げなかったのでした。
ということは蒸気発生器と同じように、三菱重工はこの高圧でまわっている冷却材の中に攪拌のためにプロペラを差し込むにあたっての、モーターの軸受け部が水漏れを起こしやすいという難問を解決できていないことを物語います。
この問題は原子力規制委員会の新規制基準に基づいた検査が安全を担保するものになっていないことをも明らかにしています。
なぜか。2003年、2005年と同じポンプの同じシール部で似たような水漏れ故障が起こっていたのに、その部分を三菱重工と電力会社に克服させることができていなかったからです。だからまた同じ個所で故障事故が起こったのです。
このため満を持して再稼働を迎えるはずだった伊方原発3号機が、スケジュールをストップさせて、部品交換を余儀なくされてしまいました。しかし最近、交換したばかりのものが再度の交換で直るのでしょうか?まったくその保障はありません。
少なくとも安全な再稼働を目指すならば、なぜ新品の部品をもってしても再度のこのポンプのシール部分からの漏水が防げなかったのか、徹底解明を行うべきです。
もちろんそれは数週間などでできるものではありません。なにせ2003年、2005年にあって、今年2016年にまたしても起こったことだからです。要するにこのポンプには構造的な欠陥があって克服できていないのです。蒸気発生器と同じようにです。
いやそれだけではありません。そもそも一次冷却水ポンプそのものの故障事故で言えば、川内原発1号機で2008年4月にプロペラを回している主軸が破断する事故も起きています。
玄海原発3号機でも2011年12月に同様の主軸破断が起こっていて、このときも水漏れが起こっています。いずれも同じ三菱重工製のポンプです。これらからも技術的に未確立な欠陥ポンプであることが明らかです。
そのポンプが再び三度壊れたのだから、四国電力は伊方3号機の再稼働を断念すべきなのです。再稼動反対の大きな声を上げていきましょう!
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守田敏也 MORITA Toshiya
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[著書]『原発からの命の守り方』(海象社)
http://www.kaizosha.co.jp/HTML/DEKaizo58.html
[共著]『内部被曝』(岩波ブックレット)
https://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-270832-4
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