明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2065)国と広島県・広島市は上告せずにただちに被爆者健康手帳を交付せよ!動画ご覧になり署名にご協力を!(黒い雨訴訟高裁判決の意義ー3)

2021年07月18日 20時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210718 20:30)

原告団のこの声に耳を傾けてください!

7月14日に高裁で画期的な勝訴判決が出された黒い雨裁判、広島市と広島県、国が上告をするのかのかどうかが焦点になっています。
上告期限は7月28日。ただち上告断念を求める声を高める必要があります。すでに原告団が7月15日に広島市と広島県に要請行動を行い、16日に上京して国にも上告断念を求めています。

なんとしてもこの声に応えましょう。そのために14日の判決後の報告集会のエンディングの動画をご紹介します。
原告の方たちが会場の前に出て勢ぞろいし、原告団事務局次長の高東征二さん(80)の声明のあとにみんなで「がんばろう」をされました。弁護団や矢ヶ崎克馬さんも一緒です。ぜひご覧下さい。

原告団のアピールと”頑張ろう”



この一年はとても長かった(原告団アピール文字起こし)

この一年はとても長かった。
一審に続き、控訴審でも、黒い雨被爆者を被爆者援護法の「被爆者」と認める判決が出されました。
広島市、広島県はこの判決を受け入れ、上告せずに、私たち原告にただちに被爆者健康手帳を交付してください。
そして国も判決を受け入れて、これまでの被爆者行政のあり方を根本的に見直し、すべての黒い雨被爆者を「被爆者」として救済してください。
子どもや孫のために、どうしても生きて、生きて内部被曝を認めさせ、次の世代に命かけて闘ったと、胸を張って言おうではありませんか。

最後に「頑張ろう」をやりましょう。
長生きして黒い雨を見届けるぞ。
頑張ろう。
頑張ろう。
頑張ろう。


原告団が会場の前に出て弁護団と共に「頑張ろう」と声を上げた 守田撮影(2枚の写真を合成)


上告の期限は7月28日。原告団に応え「上告断念するな」の声の集中を。署名と拡散にご協力を!

原告の方たちは高齢です。もともとの原告88名のうちすでに18名が亡くなられています。
(死亡した4名が裁判を取り下げたため現在原告は84名でうち14名が亡くなられ、家族が裁判を継承している。一審判決から高裁判決の間にも2名が亡くなられたそうです。)

原告の平均年齢は84歳弱。もう一刻の猶予もありません。それに被爆から76年も待たせてきたのだから一刻の間もおくことなく被爆者健康手帳を交付すべきです。
このことを求める署名運動が起ちあがりました!ぜひご協力ください。

広島市長・広島県知事及び厚生労働大臣は、 広島高裁の「黒い雨」判決を受け入れ、上告しないでください
http://chng.it/fPyYRCQr

#黒い雨訴訟控訴審勝利 #黒い雨 #内部被曝 #被爆者健康手帳 #黒い雨訴訟原告団 #高東征二 #広島原爆 #矢ヶ崎克馬

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明日に向けて(2064)黒い雨訴訟控訴審判決は一審を越えた!ただ被爆の事実が確認されれば救済されるべきことを明記(黒い雨訴訟高裁判決の意義―2)

2021年07月18日 00時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210718 00:30)

今宵は黒い雨訴訟に関する連載記事をさらに投稿させていただきます!


黒い雨訴訟高裁判決公判に向けて更新する原告団 矢ヶ崎克馬さんの姿もあります。 守田撮影

広島高裁判決で進んだ点

黒い雨訴訟の高裁判決が画期的だったのは、判決内容が一審を超えたことです。というのは一審は、黒い雨が降った範囲を、従来の認定より大幅に広げた点でとても優れていましたが、しかし限界も残していたのでした。
というのは今回も原告に交付が命じられた被爆者健康手帳は、もともと被爆影響を受けたと考えられる人々であれば、病を発症していようとしてなかろうと交付されるものなのに、一審では病の発症が交付の要件とされたからです。
この点の理解を深めるためには、歴史的経緯への一定の理解が必要です。このためまずは国が、被爆者健康手帳の交付対象である「被爆者」をどう定義しているかから見ておきましょう。

被爆者とは(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/genbaku09/01.html

法律の条文も確認しましょう。(法令リード)
大事なのは「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」(被爆者援護法)第1条です。
https://hourei.net/law/406AC0000000117

実際には、黒い雨にあたるなど、被曝影響を受けた人々はもっとたくさんいることが明白なので、この定義で「被爆者」全体がカバーされているとは言えません。その上で、厚労省のHPで次のように続けて論じられていることをおさえておきましょう。
「被爆者が病気やけがなどで医者にかかりたいとき、この手帳を健康保険の被保険者証とともに、都道府県知事が指定した医療機関等にもっていけば、無料で診察、治療、投薬、入院等がうけられます。」

つまり「被爆者」には無料で医療を受けられる権利があるわけですが、これに対し「健康管理手当」とは、被爆者健康手帳を持っている方が11疾病のどれかに罹っていたら月額33,670円(2011年4月現在)の手当てを受けられる制度です。
ところが1974年7月22日、「原爆医療法」などの改訂を示した「402号通達」が出される中で、国が黒い雨が降ったと認めていた地域などを「健康診断特例地域」と規定したのでした。
そしてこの地域の人々が、この健康診断で11種類の疾病の一つが見つかれば「被爆者健康手帳」を受け取れるとされたのですが、一審判決がこの「402号通達」を拠り所としたことを、高裁判決は「失当」と退けたのです。


病になる可能性があるからこそ救済が必要

つまり病の発症は被爆者健康手帳交付の要件ではないと指摘したのです。ここが極めて画期的ですが、本来、これでそ真っ当であることも強調したいです。
被爆し、黒い雨の影響を受けるなどすれば、何らかの病を発症する可能性があるのだから、健康維持のためにいつでも無料で診察、治療、投薬、入院等が受けられて当たり前なのです。

これは国が「発症した症状と被爆の因果関係を科学的に証明せよ」と主張したことを土台から覆すものでもあります。
現に発症した病との因果関係どころか、被爆をしたことが確認できれば、それでもう救済しなければならないのです。
そもそも疾病が確認されるまで保障されないなんておかしい。多くの被爆者がリスクがあるからこそ、健康を維持しようと努力しているのです。また被爆影響のあらわれは何も11種類の疾病に限らず、もっと多様にあります。

この点はすべての放射線被曝被害を訴える際の大きな灯ともなります。
被害が出ないと訴えられないなんておかしい。さらにそもそも被害の科学的証明など、政府はなかなか認めようとしません。だからそれが争点である限り、被曝被害者の救済はどんどん延ばされる。
そうではないのです。必要なのはただ被曝がありえた事実を示すことだけなのです。この被害者にとってとても大事な観点が高裁判決で強調されました。だからこそみんなで上告を断念させ、この判決を確定させる必要があります。


判決を受けて、国や広島県、市は上告を断念し、ただちに被爆者健康手帳を交付すべきだと訴える高野正明原告団長 守田撮影

続く

#黒い雨訴訟 #広島高裁判決 #控訴審勝利 #健康管理手当 #健康診断特別地域 #11種類の障害を伴う疾病 #被爆者 #広島原爆 #402号通達

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