明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2067)半減期詐欺(山下俊一氏など)に騙されてはいけない!放射線量だけでなく被曝実態の調査を進めよう!(『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』を読むへのお誘い)

2021年07月20日 09時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210720 09:30 20220101 14:00改訂)

「半減期詐欺」とは何か?

昨年、にょきにょきプロジェクトで作成し、各地で行われている『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』の中で「半減期」のことを大きく取り上げてきました。
半減期はある放射線物質が自然に半分になるまでの時間のことを言います。ヨウ素131なら8日、セシウム137なら30年です。
BOOKで問題にしたのは、この「半減期」の性質が、しばしば被曝の危険性を隠す安全論に使われていること。この点を僕は「半減期詐欺」と呼んできました。

どういうことでしょうか。放射性物質は放射線を出して違う物質に変わっていきます。このことを壊変といいます。放射性物質はエネルギー的に不安定な状態にあるので、放射線を出して安定化しようとするのです。
「半減期詐欺」と僕が名付けているのは、「放射性物質はどんどん半減して危険性が減っていくので心配いらない」と主張すること。時間と共に放射性物質が「半減」していくことの意味を意図的にわい曲しています。
なぜなら「どんどん半減する」のは「どんどん放射線を出す」からで、もちろん近くにいればどんどん被曝するのです。半減期の短いものほど単位時間あたりにはよりたくさん被曝する。にも関わらずこの点がまったく説明されてないから「詐欺」なのです。


「半減期詐欺」のバリエーションとしての「ホールボディカウンター詐欺」

「半減期詐欺」のバリエーションとして「ホールボディカウンター詐欺」があります。実際に福島県の中で行われたのですが、例えば事故後1年経ったときにホールボディカウンターで計測しても、その時、体内にある放射性物質の量しか計測できない。
事故直後にたくさん放出されたヨウ素131は半減期が8日ですから、その量は80日目には約1000分の1になっているし、160日目には約100万分の1になっています。一年経ったらほとんど計測されません。
160日目には約100万分の1になるといいことは、100万分の99万9999まではそれまでに被曝を終えているのです。すでにものすごい量の放射線を浴びてしまっているのです。

しかしホールボディカウンターは、それまでの被曝量を測る機械ではありません。というよりすでに終わってしまった被曝量を計測できる機械などありません。だからこの時期にホールボディカウンターで計測しても、内部被曝の実態は分からないのです。
にも関わらず、その時点での放射性物質からの被曝量だけを提示して「ほら、被曝量はこんなに少ないですよ」と語るのが「ホールボディカウンター詐欺」です。
『放射線副読本』でも、この半減期を利用した「安全論」、被曝影響をきわめて過小に見積もるテクニックがふんだんに使われています。これを「すっきり読み解く」ことが、放射線防護を進める上で極めて大切なのです。


相馬市で行われたホールボディカウンターによる測定。この時期だと半減期の短いものはもう被曝を終えてしまっている。この結果がそれまでの被曝影響の測定結果でないことを明示しないと誤解が生じるのにそれがされていない。なおこれらを進めたのは早野龍五氏、上昌広氏、渋谷健司氏、坪倉正治氏


山下俊一氏が「半減期詐欺」を行っていた!

さて、今回取り上げたいのは、福島県の健康アドバイザーとなり、安全論を繰り返すことで人々をひどく被曝させてきた山下俊一氏が、この「半減期詐欺」を繰り返していたことです。
具体的には、山下俊一氏が2011年3月21日「福島テルサ」で行った講演が顕著なので、そのアドレスを記しておきます。
https://youtu.be/YkCpdkEDIS0

この中で山下氏は犯罪ともいえる大うそもついています。「1ミリシーベルトの放射線を浴びたときに人体への影響は細胞の遺伝子が一個傷つけられるだけ」だと。実際には約37兆ある細胞の全てが傷つくので危険性が37兆分の1にされている。
この点は山下氏は、2020年3月4日の「子ども脱被ばく裁判」において「ウソだった」と認めています。しかし事故直後の山下氏のこの話で「被曝は心配しなくていい」と思った人がたくさんいたでしょうから本当に罪深い。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
https://ameblo.jp/gunjyo01/entry-12584498197.html

同時にこれとともに大事なポイントとしてあるのが、山下氏が半減期を使った安全論を強調したことです。前述の「子ども脱被ばく裁判」で、弁護団が数々のウソを山下氏に認めさせていますが、実は「半減期詐欺」には触れられていない。
実際には山下氏は「放射性物質はどんどん減っていくから大丈夫」だと繰り返したのです。一度もその本当の中身を言わずに。繰り返しますが、どんどん減るのはどんどん放射線を出すため。どんどん被曝させるからで、ものすごく危ないのです。
録画の中では21分30秒からこのことが強調されていますので、確かめてみたい方はご覧下さい。ただし気分が悪くなるかもしれないので、けして無理はされませんように・・・。

なお「半減期詐欺」については解説動画も作っています。以下の案内をご覧下さい。



「放射線副読本すっきり読み解きBOOK」で騙しのテクニックをしっかり学ぼう

にょきにょきプロジェクトの作ったBOOKでは、こうした「騙し」のテクニック、被曝影響を小さくみせるさまざまな手練手管を一つ一つ説き明かしています。この読み解きこそが、被曝から命と身体を守る知恵の提供だと思っています。
そもそも『放射線副読本』を執筆したのは、山下俊一氏の右腕とも言われてきた高村昇氏ら。高村氏はこの「福島テルサ」でも山下氏の講演の前座を務めています。
山下-高村と継承されている騙しのテクニック、いやそれはもともと原子力マフィアが使ってきたものですが、これを見破る確かなスキルが、あなたやあなたを愛する人を守ります!ぜひゲットしてください。

以上の観点から各地でBOOKの読み会を続けています。
みなさまのお住まいの地域で一緒に学びの場を持てることを願っています。
いつでもお声がけを

次回は2022年1月15日から三回お話します。

大津市にて。zoomも併設です。ぜひご参加ください。

#放射線副読本 #放射線副読本すっきり読み解きBOOK #にょきにょきプロジェクト #半減期詐欺 #ホールボディカウンター詐欺 #山下俊一 #高村昇 #放射線防護

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