守田です(20220720 14:30)
前回、明日に向けて(2230)の投稿に続いて、参院選での立民、共産両党の大きな後退をどう捉え返し、市民と野党の共闘の再構築を目指すのかを論じたいと思います。
● 脱原発共闘が大きな展望を切り開いていた
前回も述べましたが、市民と野党の共闘の発展は、福島原発事故以降の多くの人々の新たなる覚醒を発火点としていました。そのためこの流れをいかに大事にし、成長させるかに大事なキーポイントがありました。
しかも昨年2021年、その流れが一つの頂点に達しようともしていました。その一つがアベノミクスの柱の一つであった原発輸出がすべてとん挫してしまう事などの中で、安倍首相が病を理由に突然の辞任を発表したことでした。
このため、自民党は総裁選を行わなければならなくなりましたが、河野太郎氏が立候補することで、総裁選に原発問題が上らざるを得なくなりました。自民党の中ですら、脱原発の市民の声を無視できなくなりつつあったことの表れでした。
自民党総裁選に向けた各候補の原発に対する考え方 産経新聞 20210925
しかも各電力会社が「特定重大事故等対処施設」(通称テロ対策施設)を期限までに全く作らなかったため、2020年から次々と稼働中の原発が停まってしまっていました。それと軌を一にするかのように、柏崎刈羽原発などで不祥事が連発しました。
● 裁判でも次々と原発停止や被曝被害を問う判決が続いていた
それだけではありません。裁判でも次々と原発運転停止を求める判決が続きました。とくに2020年12月には、大阪地裁が大飯原発3,4号機に対して原子力規制委員会の設置許可の取り消しを命じる判決をだしました。
続いて2021年3月には水戸地裁が、避難計画の未作成を理由に東海第二原発に運転を禁じる判決を下し、さらに4月には東電の不祥事連発に耐えられなくなった規制委員会自身が、柏崎刈羽原発に運転停止を命じました。
原発賠償訴訟でも、控訴審で次々と東電だけでなく政府の責任を問う判決が出され、その上、黒い雨裁判控訴審で、一審を上回る画期的な判決が出され、上告断念で確定。放射能被曝の被害を厳しく捉える法的動きが強まりました。
あたかも黒い雨訴訟の進展に合わせるかのように、NHKが米軍による長崎などの黒い雨被曝による深刻な被害を隠していたことを暴く大きなスクープをNHKドキュメントで放映。それやこれや核と被曝をめぐる問題が大きくクローズアップされていました。
● 多数派を目指して保守層に忖度してはダメ!
この中で市民と野党の共闘陣営から、「衆院選で政権交代を目指す」という言葉が掲げられました。しかし思えばこの頃から、つまり「政権交代」を目指し始めた時から、脱原発の方向性に曇りが出始めてしまったのではないでしょうか?
例えば9月8日に「市民連合と立憲野党の政策合意にあたっての声明」が出されましたが、僕にはショックでした。大きな6項目から原発反対が消え、「再生可能エネルギーの拡充により、石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する」となってしまったからです。
この政策合意をめぐるやりとりを、僕は全く知りませんが、しかしあの時、自公政権との最も鮮明な対立的争点である「脱原発」をトーンダウンしてしまったことで、僕は「政権交代などとてもおぼつかなくなった」と強く思いました。
その後、10月2日に立憲枝野代表と共産志位委員長の間で、新政権で日本共産党が「限定的な閣外からの協力」をすると取り決められましたが、共闘の前進のためにと、ますます原発反対のトーンが下げられてしまったように思います。
立憲と共産の限定的閣外協力での合意を報じた朝日新聞 20210930
そこにあったのは、多数派への道を見始めると、保守層への忖度を始めてしまう野党勢力の抜本的な弱さだったのではないでしょうか?しかし保守層に擦り寄って勝てるはずがない。ブレてはダメなのです。再度、「原発ゼロ基本法案」に時を戻しましょう!
「原発ゼロ基本法案」国会審議を求める緊急集会 立憲民主党HPより 20180608
#参院選 #なぜ野党は負けたのか #立憲共産は脱原発に戻って欲しい #原発反対こそ最も鮮明な争点 #脱原発共闘の再構築を #原発ゼロ基本法案に戻ろう #原発再稼働反対 #原発は巨大な暴力 #原発一基で日本の半分が壊滅
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