守田です(20201103 20:00)
● 大飯4号午後0時29分に原子炉が停止!
大飯4号機が停まりました。午前3時40分から出力を下げはじめ、10時12分に送電がストップ。原子炉に制御棒が投入され、午後0時29分に原子炉が停まりました。
来年1月中旬に原子炉を起動し、2月中旬の営業運転再開とされていますが、ぜひともこのまま停めておいていただきたいです。
これで関西電力の稼働原発はゼロとなりました。全国でも玄海4号機1基が動いているだけです。再び「原発なくても電気は足りてる」ことが事実を持って証明されています。
しかも関電の稼働原発が一度ゼロになったのは、故障が大きく関係しています。
関電はもともと4号機の停止の前、9月下旬には7月20日から定期点検に入った3号機を再稼働させるつもりでした。
ところが8月31日に一次系配管から蒸気発生器周辺で分岐した配管に傷が見つかりました。関電はそれでも再稼働に向かおうとしましたが、規制委員会からストップがかかって動かせなくなってしまったのです。
大飯4号機の停止を報道するプライムニュース
● 高浜原発でも配管故障が
一方、高浜原発は3号機が1月から5月までの予定で定期点検に入りましたが、蒸気発生器の伝熱管に損傷が見つかり、原因調査のために動かせなくなりました。
蒸気発生器は関電が使用している「加圧水型原発」が抱える構造的欠陥部品です。再び三度繰り返してきた配管損傷でした。
高浜3号機はそのまま8月2日に、建設が進んでいなかった特定重大事故等対処施設(特重施設)の期限を迎え、動かせなくなりました。
さらに高浜4号機も10月7日にやはり特重施設の建設が間に合わずに期限を迎え、動かせなくなりました。
このように見ると4基のうち半分の2基が配管の故障によって動かせなくなってしまったのです。
これに福島原発事故から10年近く経っても、新規制基準で定められた安全対策施設ができていないことが重なり、とうとう関電は稼働原発ゼロになったのです。
高浜3号機蒸気発生器の配管損傷を説明する関西電力の図
● 二つの意味での危険性が際立っている
この停止の過程を見てみると二つの点で危険性が際立っています。一つは高浜3号機が蒸気発生器の伝熱管で、大飯3号機が蒸気発生器付近の配管で、損傷がみつかったことです。
加圧水型原発は300度に加熱したお湯を150気圧の高圧で回しています。それが配管に負荷をかけ、どこかが壊れる事故が何度も繰り返されてきたのです。
美浜原発では1991年にメルトダウン寸前となり、2004年には深刻な死傷事故を起こしました。にもかかわらず、この構造的な欠陥が克服されていない。いつまた過酷事故にいたるやもしれません。
さらにこのような大きな欠陥を抱えているのに、新規制基準で決まった安全対策設備を、期限切れまでに作らなかったことも大問題です。
2013年の新規制基準施行時に5年の猶予を与えられ、2018年の期限切れの際も、数年の延長が認められたにも関わらずにです。
電力会社が安全よりも目先の利益を優先していることが良く見てとれます。この先、経営困難が深まる中で、より危険な形での運転に突き進む可能性も垣間見えます。
危険な原発を動かすな!という声をさらに強めていきましょう。
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