23日(火).昨日の朝日夕刊の芸術・文化欄に音楽評論家・伊藤信宏氏が「ロリン・マゼール指揮NHK交響楽団」のコンサート評を寄せていました
批評の対象となった10月13日にNHKホールで開かれたN響定期演奏会のプログラムは①チャイコフスキー「組曲第3番」,②グラズノフ「ヴァイオリン協奏曲」,③スクリャービン「法悦の詩」の3曲です
伊藤氏は②と③についてはそれなりの評価をしていますが,チャイコフスキーの「組曲第3番」については,
「マゼールはそれをあくまでも小品の延長として捉えて緻密に描く・・・ただマゼールについて言うと,例えてみれば山のことは誰よりよく知っていて,危機のときにはたよりになるけれど,山登りの喜びだけは分かち合ってくれない道案内のような,ちょっとつれない印象も残る」
と評しています.
私はその場に居合わせなかったので,その演奏を批評する立場にはありませんが,伊藤氏の批評が,かつて生でマゼールを聴いた時の印象とほぼ同じだったので,ちょっとました.
実は3か月ほど前,元の職場のOBで朝日新聞OBでもあるM氏から「10月にマゼールがN響を振るので聴きにいくのだが,マゼールについて君の評価はどうかね?」と尋ねられました その時,私は自分の経験から「もう30年程前に,生でマゼールがクリーヴランド管弦楽団を振った演奏会を聴いたのですが,”こんなの朝飯前”と言わんばかりの気軽な演奏で,音楽が頭の上をスースー通過していくような,あっけない印象が残っています」という趣旨のお答えをしました
マゼールは8歳でデビューし,12歳のときにはアメリカのメジャーオーケストラを指揮して回ったという早熟の天才です そのマゼールも今や82歳.いまだに衰えを見せない精力的な活動には頭が下がります 何より一番の驚きは,演奏スタイルが何十年も前からまったく変わっていないということです
Mさんはこの日のコンサートを聴きに行かれたはずなので,今度お会いしたら感想を訊いてみようと思っています
閑話休題
昨日,会社帰りに文京アカデミーに寄って,文京シビック「響きの森クラシック・シリーズ」のセット券を入手しました.「会員継続チケット予約確定ハガキ」+S席代金19,800円と引き換えです
2013年~2014年の公演日程は次の通りで,すべて午後3時開演,オーケストラは東京フィルです
5月18日(土) 指揮:宮本文昭,ヴァイオリン:前橋汀子.ラヴェル「ボレロ」ほか.
9月28日(土) 指揮:大植英次,ピアノ:中村紘子.ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」ほか.
11月30日(土)指揮:小林研一郎.ベートーヴェン「交響曲第9番”合唱付”」
2月8日(土) 指揮:三ツ橋敬子,ピアノ:舘野泉.ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」ほか.
も一度,閑話休題
次に読む本を買いました 佐藤雅彦編「教科書に載った小説」,川上未映子著「そら頭はでかいです,世界がすこんと入ります」,許光俊著「クラシックを聴け!」の3冊です
「教科書に載った小説」(ポプラ文庫)は日経の書評欄で紹介されていた本で,三浦哲郎「とんかつ」,永井龍男「出口入口」,菊地寛「形」,安倍公房「良識派」,芥川龍之介「雛」など選りすぐりの12編が収録されています
川上未映子の「そら頭はでかいです~」(講談社文庫)は,先日読んだ彼女の対話集「六つの星星」の中で話題になった本です
許光俊の「クラシックを聴け!」(ポプラ文庫)は,1998年に単行本の形で出された時から気になっていた本です
これらの本もブログで紹介していきます.毎度のことですが取り上げる順番は未定です