人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

キリル・セレブレン二コフ監督「チャイコフスキーの妻」を観る ~ 言論・表現の自由のない現在のロシアでは上映できないであろう内容 / 新国立オペラ「夢遊病の女」ゲネプロ見学会に当選!

2024年09月15日 01時23分27秒 | 日記

15日(日)。新国立劇場の会員サービス「クラブ・ジ・アトレ」から、「2024/2025シーズン  ポイントアップサービス」の選択アイテム(オペラ・プログラム引換券4枚+ショップ・クーポン1枚)が届きました また、抽選アイテムに応募していた9月30日のベッリーニ「夢遊病の女」ゲネプロ見学会の当選通知とチケットが同封されていました

     

     

オペラのゲネプロは当選30名なので当選確率が高かったと思われます ゲネプロの当選は①コルンゴルト「死の都」、②グルック「オルフェオとエウリディーチェ」に次いで今回が3度目です 今回の「夢遊病の女」は10月3日の初日公演を聴く予定だったのが、他の2つのコンサートとダブっていることから14日の最終公演に振り替えたので、「だいぶ出遅れてしまうなぁ」と がっかりしていたのですが、初日公演より前にゲネプロの形で聴くことができるので、逆転ホームランのような気分です

ということで、わが家に来てから今日で3533日目を迎え、11月の米大統領選で共和党政権のトランプ前大統領の陣営が12日、対立候補の民主党ハリス副大統領への支持を表明した米歌手テイラー・スウィフトの世界ツアー「エラス・ツアー」のグッズデザインに酷似したTシャツ(1枚36ドル)の販売を開始したが、ファンからは「トランプを支持するスウィフティーズはいない」「恥ずかしい」「訴えるべき」と批判が殺到している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     恥も外聞もなく資金稼ぎに走るところは  さすがはトランプの支持者!  訴えるべき

          

昨日、新宿武蔵野館でキリル・セレブレン二コフ監督による2022年製作ロシア・フランス・スイス合作映画「チャイコフスキーの妻」(143分)を観ました

物語の舞台は女性の権利が著しく制限されていた19世紀後半の帝政ロシア かねて同性愛者だという噂が絶えなかった作曲家チャイコフスキー(オーディン・ランド・ビロン)は、世間体を鑑みて、熱烈な恋文を送ってくる地方貴族の娘で音楽院に通うアントニーナ(アリョーナ・ミハイロワ)と結婚する しかし、女性に対して愛情を抱いたことのないチャイコフスキーの結婚生活はすぐに破綻し、愛する夫から拒絶されたアントニーナは孤独な日々の中で次第に狂気に駆られていく

     

チャイコフスキーはアントニーナから熱烈な求愛の手紙を受け取ると、わざわざ彼女に会いに行き「あなたとは歳も離れているし、私には財産もない。もっと冷静になりなさい。私は女性には興味がない」と明言します チャイコフスキーの冷たい態度にアントニーナは失望します このシーンを観て、私は「まるでチャイコフスキーのオペラ『エフゲニー・オネーギン』の主人公のようだな」と思いました タチアーナは年上のオネーギンに愛の手紙を出しますが、オネーギンは彼女の愛を受け入れず「自分はまだ結婚によって束縛されたくない。あなたはまだ若い。もっと冷静になりなさい」と諭します。オペラと違うのは、アントニーナは2度目の手紙を書いて、結果的にチャイコフスキーから結婚の約束を取り付けることに成功します

タチアーナはチャイコフスキーから「女性には興味がない」と言われたものの、「自分の力で克服し、自分を愛させて見せる」と信じて結婚に踏み切ったと思われます しかし、現実にはチャイコフスキーの同性愛は彼女が考えるほど浅いものではなく、彼女を徹底的に拒絶することになります チャイコフスキーの弟からも「結婚は仕事に支障をきたしている。兄のために離婚してほしい」と迫られます しかし、彼女は「私は彼を愛しているし、彼も私を愛している」と主張し離婚を承諾しません ここで疑問が起こるのは、「果たしてアントニーナは本当にチャイコフスキーを心の底から愛していたから結婚したのか、あるいはチャイコフスキーという有名な作曲家の妻になることを望んで結婚したのか」ということです 映画を観る限り、彼女は本当にチャイコフスキーという人物を尊敬し愛していたのだろうと思います 2人の同居生活はたったの6週間で終わったといいます その後、チャイコフスキーがコレラに罹患し死去するまでの16年間、自身の死までの40年間、決して離婚を受け入れることがありませんでした 映画のラストに、アントニーナはその後の半生を精神病院で過ごしたというテロップが表示されます チャイコフスキーへの献身的な愛が受け入れられず、冷たくあしらわれたショックが精神を病む状態に追いやったのでしょう

映画ではチャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」のオネーギンのアリアが、何度か管弦楽で流れたほか、ピアノ独奏曲なども流れましたが、残念ながら私の知識が及ばず、1曲も分かりませんでした

ところで、本作の監督のキリル・セレブレン二コフは反体制派ロシア人で、2022年に亡命し、現在はベルリンを拠点に欧州で活躍しています 本作は有名芸術家の性的指向(同性愛)を正面から捉えて描いた作品ですが、一昨年、ロシアは非伝統的な性的関係の情報発信を制限する「反LGBT法」を制定しました 同性愛に批判の目を注ぐロシアにとって、本作は”好ましくない作品”と捉えられるでしょう その意味では、言論・表現の自由のない現在のプーチン・ロシアでは公開されないと思います そうでないことを祈るしかありません

     


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