21日(日).昨日午後,当ビル10階ホールで日本記者クラブ主催の試写会「テロリズムとケパブ」を観ました この映画は日本とエジプトの国交150年を記念して,エジプト大使館の協力のもとに上映されたものです この日はエジプト大使館の関係者も出席して,あいさつがありました.上映に当たって記者クラブのI部長からこの映画について説明がありましたが,エジプト語を日本語に直して字幕を作成する作業が,人材不足の問題もあって困難で,もっと新しい映画を紹介したいと思ってもそう簡単にはいかない,という事情があるようです
「テロリズムとケバブ」は,ワヒド・ハーミドによって書かれ,エジプトの映画監督シェリーフ・アラファによって1992年に完成・上映されました アラブの喜劇王アーデル・イマームを主演として,現代エジプトの官僚主義的非合理性を非難して描いた社会派娯楽映画です
アーマドは息子の転校許可申請のため官庁に赴きますが,職員たちのたらい回しに合い,怒り心頭に達します 職員と揉みあいになったところに駆けつけた警官の機関銃が,はずみでアーマドの手に渡ります.その瞬間,彼は期せずして「テロリスト」になってしまいます 何人かを仲間に引き入れ,庁舎に居合わせた人々を人質にとって政府に要求を出します アーマドが彼らに何が欲しいかと訊くと「特上のケバブ(肉をローストした食物)が食べたい」というので,それを政府に要求します.政府側は「ケンタッキーではだめか?」と迫りますが,アーマドが人質に訊くと「ダメだ,ケバブを寄こせ」と,まるでデモ隊のようなシュプヒコールが起こります これには政府も折れてケバブの差し入れをします.アーマド自身は「この国で,人間の尊厳を取り戻したい」と思います.最後に,アーマドは人質の顔をして他の人質とともに外に逃れてニンマリするところで映画が終わります
このような反政府映画が,エジプト大使館のバックアップにより,日本とエジプト国交150周年記念に上映されることにまずます.近年のエジプトを巡る革命的な政治情勢を反映してのことでしょう 映画製作当時は,この映画のように官僚主義的な非合理主義がまかり通っていたのでしょう.それでは,目まぐるしく変化する政治情勢の中,今のエジプトはどうなっているのでしょうか 本当のところは現地に行ってみなければ分かりません ただ,そういう難しいことは抜きにして,この映画は喜劇仕立てなので,理屈抜きで楽しむことができました