2日(月)。昨日、新国立劇場でヴェルディのオペラ「オテロ」を観ました キャストはオテロ=ヴァルテル・フラッカーロ(テノール)、デズデーモナ=マリア・ルイジア・ボルシ(ソプラノ)、イアーゴ=ミカエル・ババジャ二アン(バリトン)、ロドヴィーコ=松位浩(バス)、カッシオ=小原啓楼(テノール)、エミーリア=清水佳澄(メッゾ・ソプラノ)ほか。バックを務めるのはジャン・レイサム・ケーニック指揮東京フィルです。演出はマリオ・マルトーネで、2009年9月新国立プレミエ公演の再演です オテロの妻デズデーモナ役のボルシは、体調不良のため来日不能となったポプラフスカヤの代役です
シェイクスピアの名作「オセロ」に、晩年のヴェルディが7年の歳月をかけて作曲した悲劇の物語のあらすじは次のとおりです。
15世紀末、ヴェネチアの将軍オテロはトルコ艦隊に勝利し、嵐の中キプロス島に帰還します。オテロはカッシオを副官に昇進させ、それを妬んだ旗手のイアーゴは、オテロを破滅させるべく謀略を企てます 最初にカッシオを陰謀によって失脚させた上で、オテロへ取り成すように妻デズデーモナに頼むようカッシオに入れ知恵します。さらに、デズデーモナの落としたハンカチを手に入れ、カッシオに持たせます。妻とカッシオの不貞を信じ込んだオテロは嫉妬に狂い、デズデーモナを絞殺しますが、真実を知って自害します
演出のマルトーネは舞台をキプロスからヴェネチアに移して、ステージ上に運河を再現、50トンもの水が張られます この舞台を見た隣席のおじさんが「市ヶ谷の釣り堀みたいだな」とほざいていました。イマージネーションの行方がおかしくね?
ケーニックのタクトで第1幕が始まります ケーニックはロンドン生まれ、ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックで学びました。88年にウィーン国立歌劇場に初登場し、その後、世界各地の歌劇場で指揮をしているとのことです。冒頭、嵐のシーンの音楽で、ケーニックは聴衆の心を鷲づかみしました すごい迫力です。東京フィルの演奏も狂気迫るものがあります
主人公オテロを歌うフラッカーロは、世界各地の歌劇場で歌っている実力者で、この日も最初から絶好調のドラマチック・テノールを聴かせてくれました ヴェルディのこのオペラは心理劇といってよいと思いますが、主人公オテロの迷い、悩みを歌に載せて語っていました
このオペラの”影の主役”と言ってもいいのがイアーゴです。ババジャ二アンは、オテロを謀略で陥れる悪魔の役をしっかりと演じ、歌い上げました いい歌手です。最後のカーテンコールに出てきたとき、足を引きづっていましたが、演技中にどこかにぶつけたのかもしれません この日がプレミエ公演なので、まだ何度か歌い演じなければなりません。大したことがなければいいのですが
デズデーモナ役のボルシは後半にいくにしたがって、どんどん調子を上げていき、最後の第4幕の「柳の歌」は本当に美しいソプラノ・ソロを聴かせてくれました 彼女は立派にポプラフスカヤの代役をこなしました
この公演が成功したのは、フラッカーロ、ババジャ二アン、ボルシの3人の歌手陣の活躍とともに、新国立劇場合唱団の圧倒的な歌唱力、そして、ケーニック指揮東京フィルの素晴らしいバックによるところが大きいと、あらためて思いました
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