人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

高関健 ✕ 森麻季 ✕ 藤木大地 ✕ 萩原潤 ✕ 東京シティ・フィルコーア ✕ 東京シティ・フィルでオルフ「カルミナ・ブラーナ」他を聴く / エリーナ・ガランチャ来日公演の日程決まる

2024年07月21日 00時12分56秒 | 日記

21日(日)。「エリーナ・ガランチャ メゾソプラノ リサイタル2025」の日程が決まりました テイト・コーポレーションの公式サイトによると、日程は次の通りとなっています

①2025年6月17日(火)18時30分 東京オペラシティコンサートホール(ピアノ伴奏)

②2025年6月21日(土)18時30分 サントリーホール(新日本フィルによる伴奏)

なお、演奏曲目・チケット代は未定で、チケットは2024年10月にテイトチケットセンター(主催者)先行発売の予定、詳細は随時HPで発表するとしています

     

ということで、わが家に来てから今日で3477日目を迎え、ロシア法務省は19日、ロシアのウクライナ侵攻に反対したなどとして、世界的に著名なロシアのピアニスト、エフゲニー・キーシン氏(52)をスパイとほぼ同義の「外国のエージェント(代理人)」に指定したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     文化を理解しない野蛮国家プーチン・ロシアに チャイコフスキーも嘆いているぜ

         

昨日、15時からティアラこうとう大ホールで東京シティ・フィル「第77回 ティアラこうとう定期演奏会」を、18時半からサントリーホールで東京交響楽団「第722回定期演奏会」聴きました ここではシティ・フィルのコンサートについて書きます

プログラムは①ニールセン「アラジン組曲 作品34」、②オルフ:世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」です 演奏は②のソプラノ独唱=森麻季、カウンターテナー独唱=藤木大地、バリトン独唱=萩原潤、児童合唱=江東少年少女合唱団、①②の合唱=東京シティ・フィルコーア、管弦楽=東京シティ・フィル、指揮=高関健です

     

完売御礼が出ている通り、会場は文字通り満席です

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置 オケの後方には女声合唱がスタンバイします コンマスは戸澤哲夫です

1曲目はニールセン「アラジン組曲 作品34」です この曲はカール・ニールセン(1865-1931)がデンマークの戯曲作家アダム・エーレンシュレーヤーの同名の戯曲のために1918年から19年にかけて作曲、1919年2月にコペンハーゲンで初演されました 1940年に全体から次の7曲が抜粋されました 第1曲「祝祭行進曲」、第2曲「アラジンの夢と朝霧の踊り」、第3曲「ヒンズーの踊り」、第4曲「中国の踊り」、第5曲「イスパハンの市場」、第6曲「囚人の踊り」、第7曲「黒人の踊り」です

この曲は、プレトークの通り、高関氏は昨年10月のN響定期公演でヘルベルト・ブロムシュテットの代役で4曲を指揮しています その時は合唱が入らなかったので、今回は完全バージョンとのことです

高関の指揮で演奏に入りますが、第1曲「祝祭行進曲」は勇壮な音楽です 第2曲「アラジンの夢と朝霧の踊り」は後半で木管楽器群の活躍が目立ちました 面白かったのは第5曲「イスパハンの市場」です オケが4つのパートに分かれて演奏を仕掛け合い、合唱が加わって進行していくので油断できません 全パートが揃った時はまさにカオスです 最後の第7曲「黒人の踊り」は合唱も加わり異国情緒豊かな音楽が熱狂的に演奏されます 初めて聴く曲でしたが、後半の「カルミナ・ブラーナ」との組み合わせが絶妙だと思いました

     

プログラム後半はオルフ:世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」です この曲はカール・オルフ(1895-1982)が19世紀末に南ドイツのベネディクトボイエルン派修道院で発見された10~13世紀の放浪僧、吟遊詩人らの詩を集めた写本をもとに1935年から36年にかけて作曲、1937年7月8日にフランクフルト歌劇場で初演されました

この作品は次のように構成されています

冒頭部「運命の女神フォルトゥナ、世界の女帝よ」:第1曲、第2曲

第1部「はじめての春」:第3曲~第10曲

第2部「酒場にて」:第11曲~第14曲

第3部「愛の宮廷」:第15曲~第23曲

冒頭部「ブランツィフロールよ、ヘレナよ」:第24曲、第25曲

指揮台の正面にピアノが2台縦に並べられ、下手にチェレスタがスタンバイします オケの後方には男女混声合唱が所せましと並びます

藤木大地と萩原潤が入場し、コーラスのセンター手前にスタンバイし、高関の指揮で演奏に入ります 第1曲「おお、フォルトナよ」がオーケストラの力強い演奏に乗せて混声合唱で歌われますが、この合唱が大迫力で素晴らしかった この曲に限らず、東京シティ・フィルコーアの合唱は力強く頼もしさがありました 第1部の後、チューニングがありました 第2部に入ると、藤木大地が第12曲「私はかつて湖に住んでいた」をカウンターテナーで歌いますが、焼き鳥にされた白鳥の嘆きを”お涙頂戴”的に哀れっぽく歌い上げシニカルな笑いを誘いました 続く第13曲「私は悦楽郷の大修道院院長さまだ」を萩原潤が歌いますが、いかにも権威を振りかざすのに行儀が悪い聖職者のように、威張り散らして歌ったので、思わずクスリと笑ってしまいました さすがはオペラ歌手だと思います 第2部が酔っ払いのどんちゃん騒ぎで終了すると、ステージ上手から森麻季と児童合唱団が入場し、コントラバスの後方辺りでスタンバイします さっそく森麻季の出番ですが、いつもの通り、透明感のある美しいソプラノで息の長いアリアを歌い上げました 特に第23曲「この上なく素敵なあなた」のソロは素晴らしかった 児童合唱との掛け合いによるアリアも良かったです そして、最後に冒頭部の「おお、フォルトナよ」の旋律が戻ってきます オケと合唱が混然一体となった大迫力の演奏がもたらす高揚感を何に例えれば良いだろうか 「カルミナ・ブラーナ」への長い旅から戻ってきたような錯覚に陥ります 類まれな統率力と集中力で全体を束ねた高関健をはじめ、ソリストも合唱もオーケストラも、文句なしの素晴らしい演奏を繰り広げました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました

この時、時計の針は17時03分を指していました 普段は最後まで見届けてから席を立つのですが、この日はそうも言ってられません 18時にはサントリーホールで東響定期演奏会が開演するので、それに間に合わせなくてはなりません カーテンコール中でしたが、会場を後にして地下鉄 住吉駅に向かいました 東響定期の模様は次のブログにアップします

     

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エリアス・グランディ ✕ マリー=アンジュ・グッチ ✕ 読売日響でショパン「ピアノ協奏曲第1番」、ブラームス「交響曲第4番」他を聴く / コバケンの半生~朝日の「人生の贈りもの」連載終わる

2024年07月20日 00時04分40秒 | 日記

20日(土)。朝日新聞朝刊文化欄に連載の「語る~人生の贈りもの 指揮者・小林研一郎」が昨日の第14回で完結しました 小林研一郎は1940年福島県生まれ。東京藝大の作曲家と指揮科を卒業後、74年にブダペスト国際指揮者コンクールで第1位 ”炎のコバケン”の愛称で国内外のオーケストラと共演を重ねています

野城千穂さんによるインタビューを超略すると以下の通りです

「『炎のコバケン』というキャッチフレーズは1980年代、公演の宣伝文句として書かれたのが始まりだと思う 父・正毅は高校教師、母・喜代子は小学校教師だった。4歳の時、父がピアノで弾いた『月の砂漠』に感動し、10歳の時、ラジオから流れてきた『第九』を聴いて涙が止まらず、作曲科になりたいと誓った ピアノを東京音楽学校卒の若松紀志子先生に、作曲を石桁真礼生先生に師事した 初めて自作曲を先生に見せた時、『ショパンが風邪を引いたみたいな曲だね』と言われたのを覚えている その後、東京藝大作曲科に首席で合格したが、当時多くの学生と教師の関心の的は現代音楽、とりわけ前衛音楽にあった 絶望し作曲を諦めて指揮者になることを決意する 1966年に東京藝大指揮科に入学し、日本フィル常任指揮者・渡辺暁雄に師事する。68年に渡辺が退任し、首席指揮者に就いたのが小澤征爾だった 小澤は渡辺と共に64年の日本フィルの北米公演を成功させたが、後に経営母体の契約打ち切りなどを機に新日本フィルの創設に加わり、日本フィルから離れた 渡辺の次に師事したのは山田一雄だった。大変厳しく、『どうして君はそんなにばかなんだ』と何度も言われた 山田が小澤の振るストラヴィンスキー『春の祭典』をみて『小澤は天才だね』と言った タイプの違う3人の体の動き方、手の伸び方を見て学んだ 1974年の第1回ブダペスト国際指揮者コンクールの募集要項を見つけたのは締め切りの3日ほど後だった 指導していた合唱団の関係者を通じて主催者に数回掛け合い、何とか参加が認められた オペラや交響曲など数十の課題曲を頭に叩き込んだ 1次予選はくじ引きで引いた2曲を演奏するが、1曲目はベートーヴェン『交響曲第1番』第2楽章だった 引いた瞬間、『僕の人生は終わった』と思った シンプルな曲の作りだが、シンプルを生かすことは指揮者にとって大変難しい 2曲目はロッシーニ『セヴィリアの理髪師』序曲だった。この曲は作曲家・神津善行先生の好意でコンサートで振ったことがあった くじで引いた順に演奏する決まりだったが、賭けに出た。指揮台に立つと『セヴィリア』と叫んだ。戸惑う楽員や制止しようと近づいてくるスタッフが見えたが、構わず指揮棒を振り下ろした 演奏が終わるとオーケストラは拍手や足踏みで褒めたたえてくれた ベートーヴェンはあまりうまくいかなかったと思うが、第1次予選を通過した 第2次予選はドヴォルザーク『交響曲第9番』第4楽章だった。ハンガリー語も、英語も、ドイツ語もろくに話せないが、音楽の共通語はイタリア語だ。腕を大きく広げて『グランディオーソ(壮大に)』と言うとすごくいい音が出た 2位に大きく点差をつけてのトップ通過だった 第3次予選もトップ通過。本選ではベートーヴェン『交響曲第6番』などを指揮して1位に輝いた その後、ヨーロッパ各地の楽団に招かれ指揮を採った ハンガリーでの人気は特に高く、ハンガリー国立交響楽団では1987年から約10年、常任指揮者や音楽監督を務めた 1985年に京都市交響楽団の常任指揮者に就任した。ホールと練習場があまりにも酷い環境だったので、新たなホールと練習場の建設を市や地元紙の記者に訴えた その後、新練習場が完成、新ホールの建設計画も発表された 日本フィルとは88年から2007年にかけて首席指揮者、常任指揮者、音楽監督と肩書を変えながら長く関わった 1996年にチェコ・フィルの常任指揮者に就任した。2002年、『プラハの春』音楽祭の開幕コンサートでスメタナの連作交響詩『わが祖国』を日本人として初めて指揮した 97年にチェコ・フィルと録音した時、ファゴット奏者が『この曲は僕たちのバイブルだ。僕たちの演奏を尊重してほしい』と抗議してきた これに対し『僕にとっては世界の名曲。バイブルの感覚は分かりませんから、今回は辞めます』と言いホテルに帰った 夜に楽員の代表が訪ねてきて『さっきは悪かった』と言うので和解し、翌日には自分の頼みを聞いてもらえるようになった 井上道義君は今年で引退だと言っているそうだ。3か月もすればまた戻りたいと言うだろう 自分も還暦の頃に本気でやめようと思ったけれど、無理だった お願いされたコンサートは、引き受けたくなってしまう性格かもしれない。 指揮法を教えるというのは非常に特殊だ。言われた通りに指揮棒を振ったところで、音が出るわけじゃない 後姿を見て盗むのが指揮者だ。それが出来る素晴らしい弟子に恵まれた。弟子には松尾葉子、藤岡幸夫、山田和樹、三ツ橋敬子らがいる 山田和樹は最初、自分のコピーのようだった。最初はそれでよい。自分で色々と試しながら最終的に自らの指揮法を探すしかない。ウィーンでも、オランダでも、ハンガリーでも、コンサートで後ろを振り返ると客席に彼が座っている 小林を盗もうとしている。彼はさらに伸びると確信している 今年末、ベートーヴェンの交響曲全9曲を連続で指揮する。自身15回目の挑戦だ

波乱万丈の半生を送ってきた今年84歳のコバケンさんはまだまだ元気です

年末の「ベートーヴェンの交響曲全9曲連続演奏会」の概要は下のチラシの通りです

     

ということで、わが家に来てから今日で3476日目を迎え、米国のトランプ前大統領が18日夜、共和党の全国大会で大統領候補の指名受諾演説に臨み、冒頭「米国の半分のためではなく、米国全体のために大統領選に立候補する」と表明し、分断を煽るのではなく、国をまとめ上げる指導者として自身をアピールした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     生死を分けた銃撃を受けて トランプは変わったのか 変わらなかったのか それが謎

         

昨日、夕食に千葉県勝浦市在住の大学時代の友人S君が送ってくれた「赤尾鯛」を煮つけ、「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「大根の味噌汁」を作りました 赤尾鯛はいつも煮過ぎて崩れてしまうので今回は気をつけました 大振りで食べ応えがありました

     

         

昨夜、サントリーホールで読売日響「第674回名曲シリーズ」を聴きました プログラムは①ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲、②ショパン「ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11」、③ブラームス「交響曲第4番 ホ短調 作品98」です 演奏は②のピアノ独奏=マリー=アンジュ・グッチ、指揮=エリアス・グランディです

指揮者エリアス・グランディはドイツ人と日本人の両親のもとミュンヘンに生まれる バーゼル、ミュンヘン、ベルリンの各地で指揮とチェロ、音楽理論を学ぶ ベルリン・コーミッシェ・オーパー管弦楽団のチェリストを経て、指揮者としてのキャリアをスタート。2015年、ショルティ国際指揮者コンクールで第2位となり注目を集める 2012年から16年までダルムスタット市立劇場の第1指揮者(カペルマイスター)を務め、15年から23年までハイデルベルク市立劇場の音楽総監督を務めた 25年4月、札幌交響楽団の首席指揮者に就任する予定

     

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び。コンマスは日下紗矢子、その隣は林悠介というダブルトップ態勢を敷きます

1曲目はウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲です    このオペラはカール・マリア・フォン・ウェーバー(1786-1826)が1817年から21年にかけて作曲した作品です イタリア・オペラが隆盛の中、ドイツ語によるオペラとして画期的な作品と言われています 「序曲」は本編のストーリーを凝縮したドラマティックな作品です

グランディの指揮で演奏に入ります 冒頭で弦楽器の演奏の後、4本のホルンが有名なテーマを奏でますが、松坂隼率いるホルン・セクションの演奏が素晴らしかった 演奏はゆったりしたテンポで進行しますが、中盤で徐々にテンポを上げます。その箇所の中館壮志のクラリネットの演奏が冴えていました グランディは大きな振りでスケールの大きな演奏を展開しました

     

2曲目はショパン「ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11」です この曲はフレデリック・ショパン(1810-1849)が1830年に作曲、同年10月11日にワルシャワで初演されました 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「ロマンツェ:ラルゲット」、第3楽章「ロンド:ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります なお、出版順が逆になったため第1番となりましたが、作曲順からいうと2番目の作品です

ピアノ独奏のマリー=アンジュ・グッチは1997年アルバニア生まれの27歳 パリ国立高等音楽院を最優秀で卒業、同音楽院の博士課程とソルボンヌ大学の修士課程で音楽学と分析の研鑽を積む パリ管、ベルリン・コンツェルトハウス管、BBC響、モントリオール響などと共演し好評を博す

ピアノがステージ中央に配置され、ピアニストの両手の動き写すビデオカメラが設置されます コンチェルトのため弦楽器は12型に縮小します

満場の拍手の中、白と黒を基調とするシックなステージ衣装、眼鏡がトレードマークのグッチが登場し、グランディの指揮で第1楽章に入ります

オーケストラによる長めの序奏に続いて、グッチのピアノが力強く入ってきます グッチのピアノは一音一音がクリアでとても美しく響きます リリカルな演奏というのはこういう演奏をいうのでしょう 第2楽章は指示通り、ロマンティシズムの極致を行く演奏が繰り広げられます 聴きながら思ったのは、グッチの演奏は本能的な直観で弾いているように見えるアルゲリッチとは対極にある知的なアプローチによる演奏だということです 第3楽章は一転、活気に満ちた歯切れの良い演奏が展開し、リズミカルな演奏により華麗なフィナーレを飾りました

満場の拍手にカーテンコールが繰り返され、グッチはラヴェル「左手のための協奏曲」のカデンツァを、まるで両手で弾いているかのように鮮やかに演奏し、再び大きな拍手を浴びました

     

     

プログラム後半はブラームス「交響曲第4番 ホ短調 作品98」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1884年から85年にかけて作曲、1885年10月25日にマイニンゲンで初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・モデラート」、第3楽章「アレグロ・ジョコーソ」、第4楽章「アレグロ・エネルジコ・エ・パッショナート」の4楽章から成ります

弦楽器は16型に拡大し、グランディの指揮で第1楽章に入ります 冒頭のため息のようなテーマの演奏は絶妙でした その後、ゆったりしたテンポで演奏が進みますが、中盤からテンポアップしていきます。チェロとホルンが素晴らしい

第1楽章が終わったところで、ティンパニの周辺で何事かがあったらしく、スタッフが出てきて何やら作業をしていました 楽器を移動していたように見えましたが、よくわかりません グランディも手持無沙汰の様子で、日下コンマスに「なんでっしゃろ?」と訊き、日下が「大したことおまへんやろ」と答えているように見えました(あくまでも個人の感想です)。後で X を見ていたら「ティンパニの皮が破けてびっくり」という投稿がありました   ブラームスの第4番はティンパニの皮が破けるほど力がいるのか? これがホントの力演か? 第2楽章ではホルンが冴えていました グランディはチェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンの各セクションにたっぷり歌わせていました この楽章はブラームスの渋い魅力が詰まっています 第3楽章冒頭の高速テンポの演奏には驚きました 何の迷いもなく突っ走っていく感じでした 第4楽章はパッサカリアのテーマが繰り返し登場しますが、巨大な建築物を造り上げていくように重厚感に満ちています 倉田優のフルートが素晴らしい 速めのテンポで疾走するフィナーレは圧巻でした

この曲はブラームスが52歳の時に作曲した”最後の交響曲”ですが、全体を聴き終わって感じた印象は、晩年の寂寥感を感じさせるというよりも、40代くらいの壮年期の前向きの姿勢を感じさせる演奏だったように思います

     

     

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「クラシックに知識は必要か」という議論を巡って ~ 音楽情報誌『ぶらあぼ』連載の城戸孝吉氏のコラム「気分はカプリッチョ」から / ホリー・ジャクソン「受験生には謎解きは向かない」を読む

2024年07月19日 00時01分18秒 | 日記

19日(金)。昨日、関東・甲信地方の梅雨が明けました 明けましておめでとうございますなんて悠長なこと言ってる場合の暑さじゃありません 来週はもっと暑くなるという予報が出ています 趣味に熱中するのはいいけど、夏の熱中症には気をつけましょう

さて、クラシック音楽情報誌『ぶらあぼ』に連載のレコード会社勤務・城戸孝吉氏のコラム「気分はカプリッチョ」の8月号のテーマは「『クラシックに知識は必要か』という議論を巡って」というタイトルでした 超略すると次の通りです

「SNSで時々炎上するテーマとして、『クラシックに知識は必要か』という問いがある 最近読んだ投稿は、『音楽を前情報なしで感性だけで聴いても、もちろんオーケー。しかし、作品の背景を知ると鑑賞に奥行きが生まれ、体験が豊かになる』という至極まっとうな意見だった ところがコメント欄を見ると、意外に反論が多いのである これはおそらく、そのような聴き方をしていない人々が、自分を否定されているような気もちになるからだろう それはよくわかる。とりわけビギナーは壁を作られているようで、面白くないに違いない しかし問題は、それに対する反論が、『知識はいらない。感じるままに聴けばいい』という論調になりがちなことである 元々の投稿は、『感じるままに聴いてはいけない』と言っているわけではない。『知識があれば、聴くことがより楽しくなる』と提案しているのである その際『知識』とは、知ったかぶりするためのウンチクではなく、作品理解を助ける情報や学識を指している 『知ることによってもっと面白くなりますよ!』というのが趣旨だろう。『知識は不要である。感性で聴くだけでいい』というやや攻撃的な論調がメインとなり、そこに『教養を前提とすることは排他的である』というポリティカル・コレクトネスが重なると、知識の立場は俄然悪くなってしまう 情報を集めることがスノビズム扱いされ、理解を育むことが推奨されなくなったら、クラシックは確実に面白くなくなるだろう 知ることを恐れる必要はまったくない。今知識を持っている人も、何かのきっかけで情報を集め始めたのであって、最初は無知だったのである

最近X(旧Twitter)を見ていたら、城所氏が指摘しているのと同じような投稿を見かけました 最初の投稿を大雑把に要約すると「クラシック音楽を理解するためには多少勉強することが必要である その努力をしてはじめてクラシックを聴く楽しさを味わうことができる」という内容でした。これに対し、「そんな”上から目線”のようなことを言ってるから、”クラシックは敷居が高い”と言われて敬遠されるのだ」という反論が寄せられていました これを見て私は「何か勘違いしているんじゃないかな」と思いました 私は城所氏が書いている『知識があれば、聴くことがより楽しくなりますよ』という主張に共感を覚えます 私がコンサートの感想をブログアップする際に心がけているのは、演奏曲目の最低限の知識(作曲年や楽章構成など)やオーケストラの編成(対抗配置など)を紹介することによって、そのコンサートを聴かなかった人にも どういうコンサートなのかがある程度分かるようにすること、そして、何より「ライブのコンサートって面白い」という雰囲気が読者に少しでも伝わるように書くことです その一方で、マナー違反行為については遠慮なく批判します 「演奏中のケータイ着信音」や「フラブラ(フライング・ブラボー)」などがその最たるものです コンサートは一人で聴いているわけではありません せっかくの良い雰囲気をぶち壊すような行為は演奏者や他の聴衆を不愉快にさせ、コンサートを台無しにします 私は「誰もが生演奏を楽しめるように、それぞれが最低限のマナーは守るべきである」という観点から批判します

ということで、わが家に来てから今日で3475日目を迎え、アメリカ大統領選の2つの世論調査で、いずれもバイデン大統領とトランプ前大統領の支持率は銃撃事件の前と後で大きな変化がないことが分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     新型コロナ罹患のバイデンを尻目に ケガしても元気なトランプが目立つのが気になる

         

昨日、夕食に「肉じゃが」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「シメジの味噌汁」を作りました 肉じゃがは先日のビーフシチューで余った牛肉を使いました

     

         

ホリー・ジャクソン「受験生には謎解きは向かない」(創元推理文庫)を読み終わりました ホリー・ジャクソンはイギリス・バッキンガムシャー生まれ。ノッティンガム大学で言語学と文芸創作を学び、英語の文学修士号を取得 2019年に刊行したデビュー作「自由研究には向かない殺人」は英米でベストセラーとなり、2020年のブリティッシュ・ブックアワードのリルドレンズ・ブック・オブ・ザ・イヤーを受賞した 本書は「自由研究には向かない殺人」の前日譚に当たる作品で、続編に「優等生は探偵に向かない」「卒業生には向かない真実」がある

高校生のピップにある招待状が届いた 試験が終わった週末、友人宅で架空の殺人の犯人当てゲームが開催されるという 舞台は1924年、孤島に建つ大富豪の館という設定で、参加者は同級生とその兄の7人。開始早々、館の主の刺殺死体が発見される 当初は乗り気ではなかったピップだが、次第にゲームにのめり込んでいく

     

この作品はピップの視点からゲームの進行がリアルタイムで描かれていくので、読む側も謎解きの楽しさを味わいながら読み進めることができます ピップのブックレット(それぞれの参加者の役割や、その都度どう行動すべきかの指示が書かれている)の内容や、その場で得られる情報、それを見たピップがどう思ったかなどはすべて読者に明かされるので、読者も彼女と同じように犯人は誰か推理することが出来るようになっています 参加者はブックレットに書かれた指示に従わなければなりませんが、その最後を見ないと(それは禁じられている)、自分が犯人かどうかも分からないというのがミソです

ゲームのラストで、ピップが理路整然と理由を説明して「この人物が犯人だ」と主張します 参加者は「さすがはピップ」と称賛しますが、ゲームの仕掛け人で探偵役のジェイミーは「それは間違いだ。この人が犯人だ」と、複数の参加者が怪しいと指摘した人物の名前を挙げます これに対し、ピップはいくつか矛盾を指摘しますが、ジェイミーは真犯人は変わらないと答えます ピップは「所詮ゲームだし、楽しかったから」として反論を止めます しかし彼女は納得していません。「でも間違っていた。間違うのは大嫌いだ」と独白します

この小説が他のミステリーと違うのは、必ずしも探偵役が正しいとは限らないということを示していることです

気軽に読めるミステリーとしてお薦めします

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芸劇ブランチコンサート「第31回名曲リサイタル・サロン ~ 『ピアノ・トランスクリプションの魔法』山中惇史」を聴く ~ J.S.バッハ「シャコンヌ」「ラルゴ」、ヘンデル「パッサカリア」ほか

2024年07月18日 00時01分29秒 | 日記

18日(木)。昨日午後、ほぼ1年ぶりに行きつけの歯科医に行き歯石を取ってもらいました ついでにすべての歯の状態をチェックしてもらいましたが、虫歯はないが、一部欠けているところがあるとのことで来週もう一度受診することになりました これを歯医者復活戦といいます

ということで、わが家に来てから今日で3474日目を迎え、ロシアの独立系ニュースサイト「ザ・ベル」は16日、ロシアのウクライナ侵攻後、65万人以上が国外に脱出し、帰国していないと伝えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     多くの優秀な人材が 野蛮で非人道的なロシアに 早めに見切りをつけて脱出しただよ

         

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた「アジを塩焼き」にして、「生野菜サラダ」「豚汁」「冷奴」を作り、「マグロの切り落とし&いくら」と一緒に食べました アジは大振りですが 決して大味ではなく 肉厚でソフトで とても美味しかったです

     

         

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで芸劇ブランチコンサート「第31回名曲リサイタル・サロン 『ピアノ・トランスクリプションの魔法』~ 山中惇史」公演を聴きました プログラムは①ヘンデル(山中惇史編)「アフェットゥオーソ」、②同「パッサカリア  ト短調」、③J.S.バッハ(山中惇史編)「ラルゴ(無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番より)」、④同(ブゾーニ編)「シャコンヌ」、⑤ショパン(バックハウス編)「ロマンス(ピアノ協奏曲第1番より)」、⑥山中惇史「わらべうたによるパラフレーズ」です ピアノ独奏は山中惇史です

山中惇史は東京藝大作曲科を経て同大学音楽研究科修士課程作曲科修了。後に同大学器楽専攻ピアノ科卒業。第26回奏楽堂日本歌曲コンクール作曲部門第1位   作曲家・編曲家・ピアニストとして多方面に活躍している

     

8日ぶりのコンサートです 1周間以上ライブ・コンサートを聴かないと、禁断症状で手が震えてきます(お前はアル中か)。この日も平日午前のコンサートにも関わらず多くの聴衆が集まりました

1曲目はヘンデル(山中惇史編)「アフェットゥオーソ」です この曲はジョージ・フレデリック・ヘンデル(1685-1759)が1750年頃に作曲した「ヴァイオリン・ソナタ第4番 ニ長調」の第1楽章です。「アフェットゥオーソ」とは「愛情を込めて」という意味のイタリア語です

山中は落ち着いた趣でゆったりと、曲を慈しむように演奏しました

2曲目はヘンデル「パッサカリア  ト短調」です この曲は「ハープシコード組曲第7番 ト短調」の第6楽章です

山中は一転、歯切れの良い推進力に満ちた演奏を展開しました

ここでナビゲーター八塩圭子さんによるインタビューに移りました    山中氏はこの日のプログラミングについて「ヘンデルにしてもバッハにしても、オリジナルがピアノである作品は一つもありません 元々チェンバロやヴァイオリンで弾かれた曲を、ピアノで弾くからこそ良さが分かる演奏を目指したいと思います ヘンデルについては、昨年まで全く興味がなく、『ハレルヤ・コーラス』や『水上の音楽』くらいしか知りませんでした しかし、今年1月にピアノの師匠であるアンヌ・ケフェレックさんのヘンデルのCDアルバムを聴いて、興味を持つようになりました」と語りました 彼がケフェレックに師事していたとは全く知りませんでした

     

3曲目はJ.S.バッハ(山中惇史編)「ラルゴ」です この曲はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)が1720年に作曲した「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ長調」の第3楽章です

山中は詩情豊かに演奏、聴衆を魅了しました

4曲目はJ.S.バッハ(ブゾーニ編)「シャコンヌ」です この曲は「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調」の第5楽章をフェルッチョ・ブゾーニがピアノ用に編曲したものです インタビューで山中氏はこの曲について「何でこんなに素晴らしい曲が作曲出来るのだろう、と信じられないほどの作品です 練習で弾きながら感動してしまいます でも本番ではそうはいかないので感情をコントロールして弾いています この曲は自分にとって、あるかないかで全く世界観が変わってしまうほどの大切な曲です」と語っていました

山中はもともとこの曲がピアノのために作曲されたかのように、緩急・強弱を完璧にコントロールし、時に静かにつぶやき、時に熱い高まりを表出しながらバッハの深い世界を表現しました ただただ見事な演奏でした

5曲目はショパン(バックハウス編)「ロマンス」です この曲はフレデリック・ショパン(1810-1849)が1830年に作曲した「ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11」の第2楽章をドイツのピアニスト、バックハウスが編曲したものです

山中のゆったりしたテンポによる演奏は、ショパンのリリシズムとロマンティシズムの極致を行くもので、一音一音の粒立ちがとても美しく響きました

     

最後の曲は山中惇史「わらべうたによるパラフレーズ」です この曲はこの日のために当初6分程度の作品として作曲し始めたのが、作曲の過程で10分程度に伸びたとのことです 本人は「『ある夏の夜の物語』というイメージで作曲した」と語っていました

ショパンまでは暗譜で演奏しましたが、この曲は iPad の電子楽譜を使用します

曲は「かごめかごめ」「あんたがたどこさ」「うしろの正面だーれ」などの童謡のメロディーが多様に変化しながら高音部から低音部まで散りばめられ、郷愁を誘いました

満場の拍手に山中はアンコールにショパン「子犬のワルツ・パラフレーズ」を鮮やかに演奏、大きな拍手の中コンサートを締めくくりました 山中惇史はピアニストとして一流だと思います また作曲家・編曲家としても相当の実力の持ち主だと感じたコンサートでした

     

本日toraブログのトータル閲覧数が890万 P V を、トータル訪問者数が290万 I P を超えました    これもひとえに普段からご訪問下さっている読者の皆さまのお陰と感謝しております  これからも1日も休むことなくド根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

【忘備録】

toraブログの7月18日現在のアクセス状況

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米澤穂信著「黒牢城」を読む ~ 織田信長に叛旗を翻した荒木村重と人質に取った黒田官兵衛を巡る戦国時代ミステリー:ある意味ミステリーを超えた作品

2024年07月17日 00時01分27秒 | 日記

17日(水)。わが家に来てから今日で3473日目を迎え、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」が使用するデジタルウォレットから15万ドルを超える暗号資産(仮想通貨)がカンボジアの大手決済会社に送られていたことがブロックチェーン(分散型台帳)データで分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     北朝鮮は 他国から盗んだ暗号資産を資金洗浄して 核・ミサイル開発を進めている

         

昨日、夕食に「豚バラ茄子炒め」「生野菜のサラダ」「冷奴」「舞茸の味噌汁」を作りました 「豚バラ茄子炒め」は初めて作りましたが、とても美味しかったです

     

         

米澤穂信著「黒牢城」(角川文庫)を読み終わりました 米澤穂信は1978年岐阜県生まれ。2001年「氷菓」で第5回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー 11年「折れた竜骨」で第64回日本推理作家協会賞、14年「満願」で第27回山本周五郎賞を受賞 21年「黒牢城」で第166回直木賞と山田風太郎賞、第22回本格ミステリ大賞を受賞。著書多数

時は「本能寺の変」より4年前。織田信長に叛旗を翻し有岡城に立てこもった荒木村重は、反逆の機会をうかがっていた そんな折、黒田官兵衛が織田側の使者として単身で城に乗り込んできた 村重は官兵衛をその場で殺さず地下牢に監禁する。そんな折、城内では不可解な難事件が4件立て続けに起こり、村重は「このままでは兵や民の疑念を晴らすことはできない」と、事件を解決するために動くが、なかなか解決の糸口が見つからない 村重は地下牢に幽閉した”知将”の誉れ高い官兵衛に知恵を貸してほしいと頼むと、彼は事件のヒントめいたことを口にする 事件の裏には何が隠されているのか、黒幕は誰か・・・

     

本書は2021年6月にKADOKAWAから刊行された単行本を2024年6月に文庫化したものです

この小説は「戦国時代ミステリー」とでも呼ぶべき作品です 時代小説特有の「言い回し」をはじめ、地名、人名などが「漢字」でふんだんに出てくるので、現代の小説を読む時のようにスムーズには読めません 本作は本文だけで512ページある超大作で、私は全編読むのに約10時間かかりました 難儀であったな、褒めて使わす しかし「次はどうなるのか」というワクワク感が半端なく、読む手が止まらず ほとんど一気読みしました

第1章「雪夜灯籠」で ほぼ密室状態で人質が殺された事件、第2章「花影手柄」で相手の大将の首が別の首と挿げ替えられた事件、第4章「落日孤影」で罪人が処刑される前に鉄砲で撃たれた事件・・・この3つの事件の影の黒幕は同一人物で、村重に極めて近い人物だったことには驚きました その人物は、なぜそれらの事件を主導したかと問われ、「仏の罰を民に知らしめるため」だったと告白します つまり、「悪事を働けば必ず天罰が下されることを城内の者に知らしめるためだった」と告白したのです

荒木村重は織田側の使者・黒田官兵衛を殺さなかったし、織田の元に帰すこともしませんでした 彼は官兵衛だけではなく、他の人質についても殺しませんでした それは元重の哲学によるものでした

「村重は信長の逆を為すことを決めていた すべて、それであった。なぜ付け城に入っていた織田の目付を生かして返したのか。信長なら殺すからである なぜ高山右近の人質を生かし、阿部自念を生かそうとしたのか。信長なら殺すからである。なぜに黒田官兵衛を生かしておくのか。それは、信長ならば殺すからであった

巻末の「解説」をドイツ公共放送プロデューサーのマライ・メントライン氏が書いていますが、この小説の価値・魅力を次のように書いています

「蓄積されたエネルギーが最大の劇的効果をもって炸裂するのが有岡城内で展開するクライマックス場面であり、ここで本作はミステリでありながら、ある意味ミステリを超越していく

上記の場面に限らず、この小説は「ある意味ミステリを超越している」と思います

オノオノ方、是非にと推薦申し上げるゆえ 覚悟して読破されよ

さて、これで12日(金)から5日間連続で毎日1冊ずつ、前日に読んだ本を翌日朝にブログアップしてきたことになりますが、とくに後半の2冊=彬子女王「赤と青のガウン」(約400ページ)と米澤穂信「黒牢城」(約520ページ)が困難を極めました とにかく読むだけで8時間なり10時間がかかってしまいます これがコンサートや映画だったら、鑑賞時間はせいぜい2時間程度でしょう ブログを書く時間を含めて考えたら、コンサートや映画の方がはるかに”楽”です しかし、現状は 腰痛悪化防止のため、映画鑑賞を控えるようにしている関係で、その分読書が多くなる傾向にあります 腰痛が治るまでは仕方ありません

ということで、今日は8日ぶりにコンサートに出かけます

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雨穴著「変な家」を読む ~ 家の跡継ぎ問題に絡む昔から伝わる恐ろしい”しきたり”が子孫の人生を支配する恐ろしい話

2024年07月16日 00時02分34秒 | 日記

16日(火)。わが家に来てから今日で3472日目を迎え、トランプ前米大統領は、14日にペンシルベニア州バトラーで演説中に銃撃を受け右耳を負傷した事件を受けて、11月の大統領選へ向けての共和党での大統領候補指名受諾演説の原稿を書き換えている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     MAGA(アメリカを再び偉大に)の元で団結を!と呼びかけ ヒーローになるつもり

         

昨日、夕食に「ビーフシチュー」と「生野菜サラダ」を作りました ビーフシチューはいつものように牛バラ肉を使いましたが、美味しかったです

     

         

雨穴著「変な家」(飛鳥新社文庫)を読み終わりました 雨穴(うけつ)はインターネットを中心に活動するホラー作家。ウェブライター、YouTuberとしても活動している

雨穴の知人・柳岡が購入を検討している都内の中古一軒家がある 開放的で明るい内装のごくありふれた物件に見えたが、間取り図に「謎の空間」が存在していた 知り合いの設計士・栗原にその間取り図を見せると、この家はそこかしこに「奇妙な違和感」が存在するという 栗原はある恐ろしい仮説を導き出す。そんな中、その家のすぐ近くで左手首だけがない死体遺棄事件が発生する 仮説と事件との関係を疑う雨穴が一連の疑惑を記事にして投稿すると、その家の間取りに心当たりがあるという人物・宮江柚希から連絡が来る 会って話を聞くと「あの家の住人に私の主人が殺されたかもしれない」と言う 彼女の夫・宮江恭一は3年前の9月に「知り合いの家に行ってくる」と言って家を出てから行方不明になった。その後、埼玉県内で遺体が発見され、DNA鑑定の結果、夫と判明したが左手がなかったと言う 不自然な間取りの家と宮江恭一の死とはどういう繋がりがあるのか

     

1階と2階の見取り図を見ると、確かに1階の謎の空間には「あれっ?」と気が付きますが、それ以外の箇所は設計士の解説を読まないとすぐには分かりません

本書を読み終わった感想は、「犬神家の一族」のような昭和的な雰囲気をまとったストーリーだな、ということです 家の跡継ぎ問題に絡む昔から伝わる恐ろしい”しきたり”が、子孫の人生を支配するという恐ろしいストーリーです

ただ、ホラー小説として読めば、素直に”怖い”と思うのでしょうが、最初から最後までリアリティーをまったく感じませんでした 「殺人のために作った家」とか「子どもに見ず知らずの人を殺させる」とか、とても現実的には考えられない設定です 殺人事件ということでは、現実の方が先行しているような不可思議な事件がいくらでもあるような気がします

ところで、読み終わって表紙を外したら別の表紙が出てきました これは「変な表紙」か

     

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「ホロヴィッツ ヒストリック・リターン」 ~ 日経の記事から / 彬子女王著「赤と青のガウン オックスフォード留学記」を読む ~ 女性皇族として初めて海外で博士号を取得した彬子女王のエッセイ

2024年07月15日 00時55分57秒 | 日記

15日(月)。千葉県勝浦市在住の大学時代の友人S君が「海の幸セット」を送ってくれました どれもが大振りで、鯵、ホッケ、赤尾鯛、鯖、烏賊が所せましと入っていました 最近、魚をよく食べているので助かります S君ありがとう

     

         

昨日の日経朝刊「名作コンシェルジュ」コーナーで「ホロヴィッツ   1965年カーネギー・ホール ヒストリック・リターン」 が取り上げられていました ウラディミール・ホロヴィッツは1903年キーウ生まれ(1989年没)の20世紀を代表するピアニストの一人です ホロヴィッツは、アメリカ・デビュー25周年を記念した1953年のリサイタル以降、鬱状態になり人前で弾くのを止めてしまいました それから12年後の1965年5月9日、カーネギー・ホールでリサイタルを再開、その1か月後に「ヒストリック・リターン」としてリリースされたのがこのライブ録音です

     

     

このアルバムに収録されている中で一番好きな曲はショパン「バラード第1番 ト短調 作品23」です ホロヴィッツの演奏について音楽評論家・鈴木淳史氏は「解説」の中で、「テンポを揺らし、パッションも渦巻く。プログラム最期を飾るにふさわしい熱演だ」と書いています しかし、私はちょっと物足りなさを感じます 私はむしろ、この演奏の3年後の1968年1~2月にカーネギーホールで収録された「ホロヴィッツ・オン・テレビジョン」における「バラード第1番」の方に、ホロヴィッツらしい歌心とパッションを感じます また、このCDで特別に素晴らしいと思うのはスクリャービン「エチュード嬰ニ短調作品8-12」です 「魂を揺さぶられる演奏」とはこういう演奏を言うのでしょう

     

     

ということで、わが家に来てから今日で3471日目を迎え、トランプ前米大統領が13日、ペンシルベニア州バトラーで演説中に銃撃を受け耳に怪我を負ったが命に別状はなかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     どんな理由があろうとも政治的暴力は許されない  犯人はある意味”ノータリン”だ

         

彬子女王著「赤と青のガウン オックスフォード留学記」(PHP文庫)を読み終わりました 彬子女王は1981年に”ひげの殿下”として知られた故 寛仁親王殿下の第一女子として生まれる 学習院大学を卒業後、英国オックスフォード大学マートン・コレッジ(令和天皇も在籍した)に留学、女性皇族初の海外での博士号(専攻は日本美術)を取得して帰国、立命館大学総合研究機構のポストドクトラルフェロー、特別招聘准教授を経て、現在は京都産業大学日本文化研究所特別教授、京都市立芸術大学客員教授、日本・トルコ協会総裁、一般社団法人日英協会名誉総裁、公益社団法人日本プロスキー教師協会総裁などを務める

     

著者は「文庫本へのあとがき」の中で、「2023年5月の連休明けの頃、友人から『彬子様の留学記がTwitterでバズってますよ』と連絡を受けた」と書いています 「チャールズ国王陛下の戴冠式の直後だったので英国や皇室への関心が高まっていた時期だったからだろうか」と考えながらも、「なぜ8年も経っているのに、今バズるのか?」と疑問に思ったが、率直に嬉しかった、と書いています このことが文庫本化に繋がったようです 私は文庫化されなかったら手に取らなかったと思います

この作品は、月刊誌「Voice」(PHP研究所)2012年4月号~2014年5月号に連載された「オックスフォード留学記 ~ 中世の街に学んで」に加筆を得て再編集し2015年1月に単行本として刊行、さらに2024年4月の文庫化に際しても加筆・補整したエッセイです

タイトルにある「赤と青のガウン」とは、オックスフォード大学の学位授与式で大学院生が着る赤地に青のガウンのことです この留学記は、学習院大学在学中の1年間の短期留学(2001年)の思い出を振り返りながら、彬子女王がオックスフォード大学で 目標であり励みとなる「赤と青のガウン」を着るまでの5年間(2004~08年)を書き綴ったエッセイです

そもそも私が本書を読もうと思ったのは、一般人ではなく皇室メンバーの留学記であることから「面白そう」と直感したからです その観点から、皇室独特の制度や習慣についていくつか教えられたことがあります

①皇族の側にいて守る人たちを側衛官(そくえいかん)という。警視庁の附属期間である皇宮警察本部に所属している皇宮護衛官で、国家公務員である 政府要人などに付くSPとは違う。皇族を守ることを「警衛」、要人を守ることを「警護」、モノを守ることを「警備」という。皇宮護衛官はEU圏内における2週間以上の滞在の場合は付かない。アメリカや中東地域に行くときなどは期間の長短に関わらず常に付いてくる 国内ではどこに行くにも側衛官が付いてくるので、生まれて初めて一人で街を歩いたのは、日本ではなくオックスフォードだった

②皇族は「日本国民」ではない 戸籍や住民票はないし、国民健康保険には加入できない。海外へ行くときのパスポートも普通の赤や紺の表紙のものではない。表紙には「外交旅券」と書いてある茶色のパスポートで、外交官の持つものと同じ。海外渡航の際には基本的に1回限りしか使えない「外交旅券」を渡される。留学に際しては、留学期間中有効で、どの国にも渡航可能な外交旅券を作ってもらった

さて、本書を読んで感じるのは、彬子女王はもともと賢いうえに頑張り屋さんであるということです 最初のうちは、英国皇室と交流のある日本の皇室の人だからオックスフォード大学でも特別扱いして博士号を授与したのではないか、と思って読み始めましたが、とんでもない誤解であることが分かりました 学習院大学で彼女を指導した元学長の福井憲彦氏が巻末の「ご留学記に乾杯」というタイトルで「解説」を書かれていますが、彼女は「学習院大学成績優秀者表彰」を受けるほど優秀な学生だったのです オックスフォード大学では、当初「修士課程」だけで修了する予定だったのが、オックスフォード大学や大英博物館などの関係者から「もったいない。もっと突き詰めてみたら」という声に押されて「博士課程」に挑戦します 彼女は孤独感と厳しい指導に”博士論文性胃炎”に罹りながらも、友人たちに励まされ、新しい壁を乗り越えるべく努力を重ねます それだけに「合格」と告げられた時の嬉しさは何にも代えがたいものだったことが伝わってきます

本書ではエリザベス女王に謁見を許された「アフターヌーン・ティー」での半端ない緊張や、格安航空券を利用した時の失敗談など、勉強を離れた生活の様子も生き生きと描かれています また、本文に入る前に、オックスフォード大学の校舎や見取り図、友人たちとの写真がふんだんに掲載されています    どの写真も彬子女王の笑顔が印象的です

400ページに近い大書ですが、われわれ一般人にとっては新鮮で面白く、あっという間に読み終わりました    お薦めします

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ブレイディみかこ著「ほくはイエローで ホワイトで、ちょっとブルー2」を読む ~ 英国の公立中学校に通う息子が直面する様々な出来事:「社会を信じること」とは?

2024年07月14日 00時16分03秒 | 日記

14日(日)。当初の予定では週の後半は映画を何本か観る予定でしたが、腰痛が悪化する恐れがあるので控えました 毎日、家でベッドに寝転んで新聞や本を読んで過ごしています 腰痛が悪化してコンサートに行けなくなったら元も子もないので、ここは我慢のしどころです

ということで、わが家に来てから今日で3470日目を迎え、英国のシャバナ・マムード法相は12日、服役中の受刑者数千人を早期出所させる計画を明らかにしたが、受刑者の増加に刑務所の建設が追いつかずパンク寸前となっているためで、スナク前政権の失敗だと非難した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     プーチンと金正恩とトランプを収監してもらおうと思ったけど 満杯か  残念至極!

         

ブレイディみかこ著「ほくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」(新潮文庫)を読み終わりました ブレイディみかこは1965年福岡生まれ。県立高校を卒業後、音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、96年から英国ブライトン在住。ロンドンの日系企業で数年間勤務した後、英国で保育士の資格を取得。「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。2017年「子どもたちの階級闘争」で新潮ドキュメント賞を、19年「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」で、Yahoo!ニュース本屋大賞2019年ノンフィクション本大賞を受賞 「花の命はノー・フューチャー」「ヨーロッパ・コーリング」「ワイルドサイドをほっつき歩け」など著書多数

     

2019年夏に発売された「ほくはイエローで ホワイトで、ちょっとブルー」は、ブレイディさんの息子である「ぼく」が地元の元底辺中学校に入学し、人種差別、貧富の差、ジェンダー問題などに直面し、悩み考えながら成長する姿を綴ったドキュメンタリーで、他者を理解するための想像力を意味する「エンパシー」という言葉が日本で人口に膾炙するきっかけになりました

本書では前作から2年が経過した2021年、中学2年生に成長した「ぼく」が日常や学校生活の中で出会った人々や新たに経験した出来事を描いています

最初のエピソードは、不用品の整理を始めたことから鉄のスクラップを集めるルーマニア移民の家族と出会う話です 古着をあげようと、息子さんが自分の服をゴミ袋に入れ始めた時、「あげる立場」と「もらう立場」の関係になると「うしろめたさがある」と違和感を感じます これについてブレイディさんは「『あげる』と『リサイクルする』は違うと思う 今回は、たまたま誰が使うか知ってるから『あげる』という感じになるけど、例えば慈善センターにリサイクルの服を持っていくときは、それを使う人が誰だか分からないし、不要なものを持ち寄ってシェアするという考えしかないから、『あげる』とは考えないでしょ。だから、これもリサイクルなんだから、不要なものは世の中に流せという感覚だけでいいんじゃない?」と伝えます 息子さんの感覚も鋭いし、ブレイディさんのアドヴァイスも素晴らしい

息子さんが通う中学校の国語のスピーチの授業を巡るエピソードには考えさせられます 5Sというメソッドを使い、5分間のスピーチの準備をするという課題に対し、同級生たちは、ドラッグ、摂食障害、LGBTQ、ポリティカル・コレクトネスなどのテーマを取り上げます。英国の教育レヴェルの高さに驚きます そんな中、息子さんはイギリスでも大きく報道された、大型台風が通過する中で、日本の避難所がホームレスの受け入れを拒否したというニュースを題材に「社会を信じること」をテーマに決めます 息子さんは、受け入れ拒否をした人がどんな気持ちでそうしたかについて考えます。「避難所にいるほかの人たちや、そこで働いている人たちは、みんなホームレスの人を受け入れたくないはずだと考えたから、追い返したんじゃないか。そうだとしたら、その人は自分勝手なのではなく『コミュニティの中で共に生活している人々の集団=社会』を慮っての判断だったのではないか」と考えます さらに「ホームレスを追い返した人は、避難所という社会を信じていないのではないか」と考察します これについて、ブレイディさんは、「ホームレスを受け入れなかった避難所はメディアや一般の人々からも激しく非難されることになった そうなることが予見できなかった避難所の職員は、社会を見誤っていた、というか、見くびっていたのだ 逆にその職員が、社会の人々と同じように感じるはずだと信じることができれば、社会には必ず自分の決断を後押しする人々もいると信じることができれば、たとえ規則や慣習がどうなっていようとも、現場や個人の判断で誰かの命を守ることはできるはずなのである」と語ります。ブレイディさんは、息子さんが選んだテーマが5分間のスピーチのテーマとしては大き過ぎることから、「難しいことはバシッと言い切れる結論にはならない、分からないって正直に終わるものリアルでいい」とアドヴァイスします

なお、スピーチ原稿の書き方の「5S」というメソッドとは次のようなものだと説明しています

①Situation (聞き手が想像できるようなシーンを設定して議論を始める)

②Strongest(演説の最も重要な主張を提示する)

③Story(個人の経験談を用いて自分の主張を裏付ける)

④Shut  down(反論を封じ込める)

⑤Solution(処方箋を提案する)

中学生が自分でテーマを決め、上記の「5S」に基づいて5分間のスピーチ原稿を書き上げて、同級生の前で読み上げるのです さすがは”グレイト” ブリテンです

一方、「ビートルズの全メンバーの名前を挙げよ」という問題が出るのは英国らしいな、と思いました ところが息子さんはジョン・レノンの名前を間違えてしまいます 音楽好きが高じて英国に渡ったほどのパンク・ロックのブレイディさんは「ニール・レノンって誰なのよ」と叫びます。彼女は「自分の息子がジョン・レノンの名前を間違えたという事実にわたしはとっさには対峙できなかった。12年間の養育法はすべて間違っていたのかとさえ思った」と嘆いています

「考えさせられた」と思った次には脱力系ギャグが待っている そんなところもこの本の魅力です

ブレイディさんが これまでさんざん批判してきた緊縮財政の「保守党」が政権を降り、「労働党」政権が誕生しました これから英国はどうなっていくのか、その中でブレイディさんと息子さんはどのように生きていくのでしょうか・・・早くも次の「3」が待ち遠しい思いです

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江藤光紀氏「METオーケストラ来日公演評」を読んで / 柚月裕子著「チョウセンアサガオの咲く夏」を読む ~ 著者初のオムニバス短編集

2024年07月13日 00時01分03秒 | 日記

13日(土)。昨日の日経夕刊「クラシック評」で音楽評論家・江藤光紀氏がMETオーケストラ(メトロポリタン歌劇場管弦楽団)来日公演を取り上げていました プログラムは①ワーグナー「さまよえるオランダ人」序曲、②ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」組曲、③バルトーク「青ひげ公の城」で、指揮は音楽監督ヤニック・ネゼ=セガンです 大好きなエリーナ・ガランチャが出演するので余程チケットを取ろうと思いましたが、歌うのが「青ひげ公の城」だったので止めました もっとポピュラーな楽曲だったら聴きに行ったと思います 来年6月には来日しリサイタルを開くというので、その時は万難を排して聴きに行くつもりです ところで、江藤氏の評によると、METオケの来日公演は「東日本大震災の年から13年ぶり」とのことです

     

私は13年前=2011年6月にMET来日公演を聴いています 次の3公演です

①プッチーニ「ラ・ボエーム」=ファビオ・ルイージ指揮。マリウシュ・クヴィエチェン、ピョートル・ベチャワ、バルバラ・フリットリ、スザンナ・フィリップス他

②ヴェルディ「ドン・カルロ」=ファビオ・ルイージ指揮。マリーナ・ポプラフスカヤ、ヨンフン・リー、ディミトリ・ホロストフスキー、ルネ・パーペ、エカテリーナ・グバノヴァ他

③ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」=ジャナンドレア・ノセダ指揮。ディアナ・ダムラウ、ジェリコ・ルチッチ、イルダール・アブドラザコフ、ピョートル・ベチャワ他

     

いずれも当時のMETを代表する超一流の歌手陣です しかし、今でも忘れられない悔しい思い出は、「ラ・ボエーム」でミミを歌うはずだったアンナ・ネトレプコが、東日本大震災に伴う東電の原発事故を受けて来日しなくなったことです 私がこの公演のチケットを取ったのは彼女の歌を聴くためだと言っても過言ではなかっただけに心底ガッカリしました 代わりにバルバラ・フリットリがミミを歌いました。ネトレプコは当時 乳幼児を抱えていたので、チェルノブイリ原発事故を経験した国の出身者として日本行きには不安があったと聞いています 諦めるしかありませんでした また、オルガ・ボロディナ、ヨナス・カウフマン、ジョセフ・カレーヤも来日しませんでした 一方、「ランメルモールのルチア」でタイトルロールを歌ったドイツ出身のディアナ・ダムラウは乳児とともに来日し、立派にヒロインを歌い上げました

     

2011年の来日公演で忘れられないのは「ドン・カルロ」でロドリーゴを歌ったロシア出身のディミトリ・ホロストフスキーです 艶のあるバリトンが魅力で、とにかくカッコいい 残念ながら、その6年後の2017年11月に脳腫瘍のため世を去りました もっともっと聴きたかった歌手です

     

ということで、わが家に来てから今日で3469日目を迎え、米大統領選の進退が注目されるバイデン大統領(81)は11日、約8か月ぶりの単独記者会見に臨んだが、ハリス副大統領の資質について問われて「トランプ副大統領を」と名前を言い間違え、会見直前の演説でもウクライナのゼレンスキー大統領を「皆さま、プーチン大統領です」と紹介し、間違いに気づき「ゼレンスキー大統領だ。プーチン大統領を倒すことに集中し過ぎていた」と慌てて釈明する一膜もあった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     これは致命的な失言だ 政敵トランプを利するだけ 民主党はもしトラを避けられる?

         

昨日、夕食に隔週金曜のローテにより「鶏の唐揚げ」を作りました 今回も外カリカリ内ジューシーに仕上がり、とても美味しかったです 2週間に一度のビールも美味しかったです

     

         

柚月裕子著「チョウセンアサガオの咲く夏」(角川文庫)を読み終わりました 柚月裕子は1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビュー 13年「検事の本懐」で第15回大藪春彦賞、16年「孤狼の血」で第69回日本推理作家協会賞を受賞 著書に「孤狼の血」シリーズ、「佐方貞人」シリーズ、「パレートの誤算」「月下のサクラ」「あしたの君へ」など多数

     

本書は2022年4月にKADOKAWAから刊行され、2024年4月に文庫化された著者初のオムニバス短編集で、初期の作品を中心に次の11編が収録されています

「チョウセンアサガオの咲く夏」・・老いた母親を献身的に介護し続ける娘の隠された楽しみは?・・・という話です。趣味は園芸という娘の”承認欲求”の行きつく先はここまで行くか、という怖い話です

「泣き虫の鈴」・・・郷里を出て養蚕業を営む豪農で働く12歳の少年が、瞽女(ごぜ)の少女に出逢ったときの人間ドラマを描いた作品です

「サクラ・サクラ」・・・パラオ共和国のペリリュー島に旅行に来た青年が、日本語で「さくら さくら やよいの空に~」と歌う老人と出逢う話です

「お薬増やしておきました」・・・大学病院の精神科で看護師として働く女性が、自分が女医であると思い込んでいる患者に接した時の話。思わずニヤリとします

「初孫」・・・不妊外来を受診して1年後に妊娠して出産した子どもの血液型をDNA鑑定で調べると、父親である自分と親子関係にないことが分かった しかし、血縁者であることも分かった。それはどういうことか という話です。これ、短編映画にしたら面白そうです

「原稿取り」・・・大作家の原稿を取りに行った編集者が電車の中でスリに遭い、原稿を奪われてしまう なぜか大作家は怒らずもう一度原稿を書くことを受け入れてくれた。それは何故か? という話です  筒井康隆が書きそうなストーリーです

「愛しのルナ」・・・ルナという名の可愛い猫を動画サイトに投稿している女性が、「ペットは飼い主に似ているといいます。投稿者もルナのように可愛いんでしょうね」とのコメントを受けて、ルナと自分の顔をアップするという話です さて投稿者はどんな顔の持ち主でしょうか

「鳴く猫」・・・真紀が亡き母の住んでいたアパートに行くと、見知らぬ猫がやって来る🐈 真紀はかつて母親に捨てられたことから交流がなかったが、母親の友人の話では、その猫にマキという名前を付けて呼んでいた、という話です

「影にそう」・・・「泣き虫の鈴」に出てきた瞽女の少女が、何故自分だけが厳しく躾けられるのかを悟る話です 教訓は「可愛い子には旅をさせよ」です

「黙れおそ松」・・・赤塚不二夫のギャグ漫画「おそ松くん」を原作に、主人公の六つ子を小学5年生から20歳のニートに設定変更したテレビアニメ「おそ松さん」ですが、本作は文芸カルチャー誌「ダ・ヴィンチ」の「おそ松さん」特集のために書きおろされたものです🍢 著者には珍しくギャグをかましています

「ヒーロー」・・・検事・佐方貞人の仕事を補佐する、検索事務官として働く増田陽二を主人公にしたスピンオフ作品です 高校時代の柔道部監督の告別式に参列したところ、柔道部仲間で、かつて自分を支えてくれた「ヒーロー」伊達将司と再会する 同級生の木戸彩香を交えて飲みに行くと、伊達は大阪府警で刑事をやっていると話し出したが、違和感が生じる 先に退席した伊達を追いかけて問い詰めると、伊達はかつて人を殴り前科者になっており、定職には就かず時給にの仕事を転々としていることが分かる 伊達は投げやりの態度を取るが、増田は学生時代の自分たちのヒーローを引き合いに出して励ますという話です

これらの作品を読むと、柚月裕子の初期の頃の作品の中に、後の多くの作品に共通する「人を思いやる心」を感じ取ることが出来ます

toraブログでは柚月裕子の文庫化されたすべての作品(下記)をご紹介しました

「臨床真理」「蟻の菜園~アントガーデン」「慈雨」「盤上の向日葵(上・下)」「朽ちないサクラ」「月下のサクラ」「合理的にあり得ない」「パレートの誤算」「ウツボカズラの甘い息」「あしたの君へ」「孤狼の血」「狂犬の眼」「暴虎の牙(上・下)」「小説 孤狼の血 LEVEL2」「最後の証人」「検事の本懐」「検事の死命」「検事の信義」。「ふたつの時間、ふたりの自分」(エッセイ)

柚月裕子の作品には、次の作品を読みたくなる魅力があります

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N響来シーズンAプロ年間チケット届く / 「文庫本、25年前から3割値上げ」 ~ 日経の記事から:最近購入した8冊の文庫本の平均価格は829円でした

2024年07月12日 06時34分01秒 | 日記

12日(金)。昨日の朝、出かける時に「万歩計」がないことに気がつきました そういえば 前日デニムのパンツを洗濯したなーと思い出して、ポケットを探ってみたら入っていました 洗濯機の中でグルグル回っていたわけで 相当な運動量だったと思いますが、念のため歩数を確認したら0歩でした これから得た教訓は、洗濯機が回っても 万歩計は歩かない

話は変わりますが、N響から来シーズンAプログラムの年間チケット9枚が送られてきました 7日に現在の席のまま会員継続手続きをしたばかりです 相変わらずN響はやることが速いと思いました

ということで、わが家に来てから今日で3468日目を迎え、ロシアの最高検察庁は10日、ロシアで最有力の英字メディア「モスクワ・タイムズ」(現在オランダに拠点)の活動が「外交、内政の両面で、ロシア指導部の信用失墜を目的にしている」として「好ましくない」と表明、これによりロシアでは「モスクワ・タイムズ」への協力や購読が難しくなる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     裸の王様プーチン・ロシアは ますます醜い体を世界に晒すことになった 恥ずかしい

         

昨日、夕食に「豚ロースの山賊焼き」と「エノキダケの味噌汁」を作りました 豚肉の下にはカイワレを敷いて、いつものように野菜類はプレートに乗せました

     

         

7月9日付日経夕刊「値札の経済学」で「文庫本、25年前から3割値上げ なぜ消えた『1000円の壁』」という見出しの記事(西岡杏記者)が掲載されていました 超略すると次の通りです

「文庫本の値上げが止まらない。足元の平均単価は700円を超え、1000円以上も珍しくなくなった 単行本との価格が詰まる背景には、かつて『文庫落ち』といわれ単行本の廉価版的な扱いだった文庫本の立ち位置の変容がある 出版取次大手の日本出版販売(日販)が発表した文庫本の年間売上高トップ10の23年の平均価格は760円と、13年の709円から51円上昇した 出版科学研究所によると、23年の文庫本の出回り価格は平均736円。25年前から33%上昇しており、書籍全体の8%に比べ上昇幅が大きい 文庫本が高額化する要因の一つは、娯楽の多様化による『本離れ』だ 22年の一人当たりの文庫本購入数は年間0.9冊と1997年の2.0冊から半減した インターネットやSNSに時間を奪われ、書籍全体も6.9冊から4.0冊に減っている 物流コストなどの原価の上昇は書籍全体にのしかかる。日販によると、本1冊あたりの物流コストは23年度に31.5円と、14年度比で7割上昇した このほか戦略的な要因もある。かつて単行本の文庫化は『文庫落ち』ともいわれたが、最近は文庫を先に発売するケースも増えている 文庫化までの期間も2~3年が多かったのが、1~2年程度に早まっている

この記事の価格は税別の本体価格だと思われます この記事を見て、6月30日に購入し7月1日のtoraブログでご紹介した8冊の文庫本を価格(税別)の高い順に並べてみました

①彬子女王「赤と青のガウン」(PHP文庫:24年4月=396ページ)1200円

②米澤穂信「黒牢城」(角川文庫:24年6月=523ページ)960円

③道尾秀介「N」(集英社文庫:24年6月=406ページ)900円

④ホリー・ジャクソン「受験生は謎解きに向かない」(創元推理文庫:24年1月=172ページ)800円

④斎藤孝「頭のよさは国語力で決まる」(だいわ文庫:21年12月=270ページ)800円

⑥雨穴「変な家」(飛鳥新社:24年1月=253ページ)700円

⑦柚月裕子「チョウセンアサガオの咲く夏」(角川文庫:24年4月=232ページ)680円

⑧ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」(新潮文庫:24年7月=237ページ)590円

以上8冊の平均価格は829円です 上の記事にある日販の平均760円より高めですね この中で1000円を超えるのは彬子女王の著書の1200円ですが、それなりのページ数はあるものの、これは”皇室御用達特別価格”でしょうか

     

なお、私は単行本を買うことはほとんどなく、文庫本ばかり購入しています その理由は、単行本は①サイズが大きくかさばる②重い③価格が高いのに対し、文庫本は①サイズが小さく場所を取らない②軽い③比較的安いからです このうち③は文庫本価格が単行本価格に近付き、高くなる傾向にあります

なお、読み終わった本のうちクラシック音楽関係の本と時事問題の本(いずれも文庫・新書が中心)は自宅の本棚に積み上げてありますが、小説などエンタメ関係の本は、ある程度溜まった段階で読書が趣味の知り合いに譲っています 私の場合、ブログを書く関係で読みながら本の角を折る習慣(ドッグイヤー)があるので、ブックオフに持って行っても高くは売れないことは解っていますので

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