☆My Everyday Life in Canada☆

カナダに来て18年。2人の子供達の成長記録やカナダの幼児教育など梅ちゃんからの日常エピソード色々☆

教育にお金が必要なわけ

2022-10-31 | 学校関係
このお金とは、塾や受験、授業料に個人が個人の家庭に必要なお金のことではなく、社会に生きる子供達が その子が持つ能力のレベルや、家庭の経済事情、障害の有無に関係なく平等な教育を受けられる環境を整えるためのお金です

今日このニュースが気になりました
 「障害ある子を分離、人権侵害」 大阪の親子が人権救済を申し立て


カナダでも 以前は分離が主流だったようです。障害ということにネガティブなイメージしかなかった時代は、生まれてきても死産で報告されたり、即、施設に分離。なんて今では信じられない時代もあったようです。 きっと世界中で同じような事が起こっていた/今も起こっているのでしょう。。残念だしもったいない。 きっと、その中にも、多くの「天才」「逸材」がいた事でしょう。

カナダでは最近はインクルーシブ教育が主流で、障害の有無に関わらず、できるだけみんなと同じ教室で学ぶ。が、生まれた時から定着していると、私は感じています。

子供を環境に合わせるのではなく、環境を子供の必要性に合わせていく。
という考え方だと理解しています

簡単に言うと、例えば、この生徒は車椅子だから段差のある学校に通わせられない。
ではなく、段差があるから車椅子の子が通えないのなら、段差をなくして車椅子でも通えるようにしよう。

この子は学習障害があって読み書きについていけないから、通常学級には通わせられない。
ではなく、読み書きに取り組むのに人一倍時間がかかる。支援がいるのなら、その支援できる人(スタッフやボランティア)の協力を得て 本人が望む通常学級に通わせられるようにしよう。音声や口述で解決できることなら、それも利用しよう。

この子は注意散漫で落ち着きがなく授業に集中できなくて他の子達も困るから、通常学級には通わせられない。
ではなく、この子は注意散漫だから 視界に入る掲示物などの情報が少ない席に座らせてみよう。
椅子に座る事が苦手なら、別の座る環境(クッションやバランスボールなど)を使ってみたり、手元で柔らかくつぶせる小物を握らせてみよう。誰かが側にいた方が集中力を保てるなら、スタッフかボランティアに支援をお願いしよう。

注意散漫になる理由の中には、学習内容がその子には簡単すぎてしまい、退屈で刺激を求めている場合もあります。英語・フランス語という母国語に対しての壁があってそれが理解できない事に 問題があることもあります。

そのバリアによって、子供を分離するのではなく、そのバリアをどうしたら小さくできるのか。を考えて環境を整える事で、必要以上の分離がなくなります

もちろん担任の先生一人では限界があります。だけど、支援の先生やボランティアの存在があることで、多くの子達が分離や隔離をすることなく学べる環境が作れます。

そのためには、設備、教材、人材への費用が生じてしまうのも現状です
だから、お金が必要なんです


それと、子供は、自分と異なる刺激からも学ぶ力を持っています

歩けない子、喋れない子が、同じような子達だけ過ごしているのと
歩ける子、お話ができる子達と一緒に過ごすのとでは、どちらがより発達を期待できると思いますか。。

赤ちゃんが言葉や行動を発達させていくのと同じで、見る事、聞くことからの刺激で、たくさんの事を学べます

私が以前短期のお仕事で行った2、3歳クラスに、ダウン症のお子さんがいました。他の子達は走ることができ、三輪車に乗ったり、少し高さのある場所から飛び降りたりしていました。そこにいたダウン症のお子さんは、まだ歩くことができません。でも、観察していると 動きが一般的な1歳前後のお子さんと似てると感じて、この子。。。もうすぐ歩けるようになりそうだなと思いました

乗るタイプの倒れにくい車のおもちゃを支えに立たせてみると、しっかり立っていて、ゆーっくり車を進めてみると、それに合わせて1歩出そうとしてるのがわかり、ただ、膝が外を向いていたので、前に向けて、膝がつっぱらないように軽く膝の後ろを前に押してみました。そしたら、1歩進み、2歩進み。。自分でもすこーし押しながら、ヨチヨチ車を推し進めて歩きました。

それをみて、この子は、他の周りの同年代と比べると、身体的な発達は1年くらい遅れているかもしれない。でも、この「歩き出す」というプロセスは、今走り回っている子達が歩き始めた時と、同じだな〜と痛感したんです。

脳損傷などで機能不全や、重度の身体障害を持つお子さんは歩行器が必要だったり、手話や補聴器。点字など別の学習アプローチも必要になるけれど、
改めて、観察の大切さと、その子の発達段階に応じた適切な支援。そして、周りからの刺激。これによって、成長スピードはそれぞれ異なっても確実に発達していく様子を実感しました。

でもこれが、もし30人の子供に担任が1人の環境だったら。。。。他の子達の安全管理も考えると、丁寧な支援をするというのは難しいですよね

この時は10人の子供に、3人のスタッフで対応していました。

もちろん、この時は3人分のお給料が発生しています。 でも、じゃあ、これは無駄な出費?そう思われたら残念なことだけど。。。。

障害の有無ではなく、子供それぞれが持つ得意不得意に対応できる教育環境で学べるって、子供達楽しいと思います。

でもね、そこで仕事をするスタッフにも生活があり。仕事として人件費もしっかりいただくことで、働く人達も、自分の仕事が尊重されている気持ちを持てるし、よりよい教育環境を整えていく励みにもなると思うんですよね。

だからね、教育には温かい支援が。お金が必要です


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