夏休み中の仕事を片付けて、茹だるような暑さの中、西子の墓参りに行った。
身体中から噴き出す汗をぬぐいながら、花を手向け線香を上げた。
「わおんが、西子に似てきたよ。嬉しいような、困ったような…だね」
携帯の画面に西子を映して、心の中で話しかけた。
西子の正確な年齢は結局わからずじまいだったけど、若いときの西子ってやっぱりわおんに似ているような気がしている。
そして若いときの西子と過ごせなかった時間を、今、わおんと過ごしているのかもしれない。そんな気もしている。
後から来た親子連れ。高校生くらいの娘さんが長い時間、手を合わせていた。
きっと飼い主も一緒に過ごしたコも、幸せな時間を過ごしていたんだろうなあ。
西子は幸せだったのかな?
「まあ、まあってところかしらね」
蝉の鳴き声に交じって、西子が答えたような気がした。
写真は、暑いのに猫ベットの上から動こうとしない西子。