次の繕いの依頼です。
依頼者は着物のお店のセールスの方。
いつも妻とのやり取りですので、私はお名前も知りませんでしたが、息子さんの保育園卒園の記念品ですって。
こんな風に口辺が欠けてしまって。
欠片も大切に保存されていて。
底のあたりにも小さいですが、いくつか欠けていて。
息子さんはこの「かいせい」君ですって。
今回は簡易法で、2液混合の接着剤に強力粉を混ぜたもので。
底の部分も手入れして。
接着剤が硬化した翌日以降に、漆と金属粉の処理です。
黒艶漆を面相筆で塗って。
そして錫紛(ゴールド)を蒔いて。
このゴールド色の錫粉、金の消し粉のようでいい感じ。
3日ほど湿気のある容器の中で温めて、漆の乾燥です。
錫粉ですので、仕上げは真綿できれいにするだけで、そしてカッターナイフでラインも整えて。
仕上がりです。
底の部分の仕上げは、白の本漆だと次第に色が黄色っぽくなってしまうので、「新うるし」の白を使っています。
「かいせい」君、大切な記念品が蘇って良かったですね。