「馬小屋は愛」 ルカによる福音書 2章1~7節
ルカによる福音書では、イエスさんが誕生したのはローマ皇帝による住民登録の勅令が出された時期であったと伝えています。ヨセフは、臨月を迎えたマリアと一緒に故郷のユダヤのベツレヘムに向かって旅をしました。途中、マリアが産気づいたため、宿屋に泊まろうとしましたが、彼らが泊まる場所はありませんでした。住民登録のために旅をする人が多く、出産の「ケガレ」に伴う休業を避けるために、“出産お断り”になっていたのかも知れません。結果的にマリアは無事出産し、イエスさんは飼い葉桶に寝かされました。出産した場所は、宿屋ではなく馬小屋でした。
宿屋は、利益追究のために「清い」ことを優先し、臨月を迎えたマリアを拒絶しました。馬小屋は、元々が「ケガレ」ているとされていたこともあり、出産の「ケガレ」は問題になりませんでした。イエスさんの誕生物語は、イエスさんが産まれるにあたり、人間が作り出した「清い」という概念が、「聖なる神の子」を拒絶したと伝えているのです。別の言い方をすれば、「清い」とは、互いに支え合い、困っている人がいたら皆で助け合うことの方ではないのかと問うているのです。イエスさんが馬小屋で産まれた物語を通して、人間が作り出した概念なんかよりも、愛が最も大切であることが教えられているのです。