トキの森公園を後にして県道65号線を両津港とは反対側に当たる真野新町まで走って、国道350号線に入り小木港まで。小木からは県道45号線で宿根木へ向かうのですが、その前にちょっと気になるスポットがあるので寄り道。
ガイドブックなどではほとんど紹介されず、されても小さい扱いですが、岩屋洞窟の近くにある幸福地蔵にやって来ました。まあ、普通のお地蔵さんかなと思って、ふと上を見上げると…。
でかっ!
お地蔵さんの概念が崩壊するような巨大なお地蔵さんが鎮座ましましております。この幸福地蔵、高さが17.5mあり、日本一大きなお地蔵さんだそうです。インパクトのあるお地蔵さんですが、幸せになるようにお祈りをしておきます。
幸福地蔵から少し走ると宿根木の集落に入ります。車を止められそうなところがなかったので一旦通り過ぎてから戻ると、郵便局の前に駐車場があったので止めて歩きます。平日であれば郵便局に寄り道してからの行動になるのですが、残念ながらATMもやっていない日曜日です。
宿根木集落は江戸後期から明治にかけて北前船の寄港地として栄えた港町で、船大工が手がけた家並みが、入江の奥の狭い谷間に密集して建っています。明治時代になり鉄道が発達すると北前船は衰退しますが、宿根木の集落は火災にもあわずにそのまま残り、今に至っています。1991年に国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
山から谷へ下りてゆくと最初に出くわすのが宿根木公会堂。昔ながらの木造建築といった様相で、学校建築にもつながる様式です。
公会堂から歩いてゆくと、何やら人が集まっているところに出ます。
その人たちのおめあてがこちら。土地の都合上三角形に作られている三角家。なぜこの建物で記念撮影する人が多いのかというと、
JR東日本管内にお住いの方であればご存知かもしれませんが、JR東日本大人の休日倶楽部の広告にこの三角家が採用され、吉永小百合さんとともにポスターになっています。そして吉永小百合さんと同じ場所、同じポーズで写真を撮ろうとしているのです。
そんな場所を抜けぶらぶらと歩くと、なんとも風情のある街並みで、さっさと歩くのがもったいないぐらいです。しかもこの集落では人々が生活しており、観光地でありながら人々の生活感も感じられます。
こちらは一日ひと組だけ泊まることのできるお宿。軒下に飾りが施されています。
船大工が建てたからでしょうか、このような軒下の飾りのある建物は非常に珍しいです。立ち止まってしばし観察していましました。
歩いているとやがて海岸へと出ました。入江のあちこちにはかつて船をつないでいた、船つなぎの石が残っていました。今はたらい舟の体験ができる海岸ですが、かつては北海道と大阪、江戸を結ぶ船が寄港して停泊していたのでしょう。その海辺に近づいて見ると海の綺麗なこと。海底まで透き通って見えるぐらい綺麗でした。
石畳の細い路地は世捨小路。名前の由来は葬送の際に通る道だとか、諸説あるようです。が、ここにも住んでいる人がいるのだと実感させられる景色です。このちょっとした景色にものすごく惹かれます。
遠くから見た瞬間、昔の郵便局の建物では…。と思ったのがこちらの建物。思った通り旧郵便局舎で、和風建築の立ち並ぶ集落の中で唯一の洋風建築だそうです。入り口は塞がれてしまっていますが、その形にかつての面影が残っています。
ちょうど団体さんとかちあってしまい、写真を撮るのに日陰で団体さんをかわすのに時間を取られてしまいましたが、そのぶん集落の建物をじっくり見ることができたので、むしろよかったかもしれません。一通り見て回ってから急な階段を上がって車を止めてある場所に戻ると、大汗をかいていました。この日の佐渡の気温は30度。猛暑日を記録していた本土よりは低いですが、暑いことには変わりありません。車に戻りクーラーをかけてしばし涼んでから次の場所へと向かいます。