黒田にイチローからねぎらい=プロ野球・広島
カープの黒田博樹投手が昨日今シーズン限りの引退を表明した。
奇しくも今年がプロ入り20年目でNYヤンキースからの長期契約の
オファーを蹴ってカープに復帰し、2年目にカープを25年ぶりのリ
ーグ優勝に導いた事でモチベーションが切れたのかもしれない。
思えば専修大から96年のドラフト2位で入団した時は決して後に
日本はおろかMLBでも活躍できる選手だとは思わなかったし、適応
能力の素晴らしさを実感した次第で特にカープとMLBは真逆の価値
観の世界だけに両方とも見事にアジャストできたのだから凄い。
ちなみに96年のドラフトといえばアトランタ五輪が終わった直後
だったので多くの即戦力選手達がプロ入りしたわけで、黒田は2位
だったものの1位の澤崎俊和の方が断然目立っておりプロ入り初勝
利が東京ドームでのジャイアンツ戦だったので意外な思いだった。
この年のドラフトではジャイアンツは1位に入来祐作、2位に小野
仁、3位に三沢興一らを獲得しているしアトランタのエースである
川村丈夫をベイスターズが獲得している中で黒田の存在は正直言っ
て目立つものではなかった。
ところが黒田が11年間カープで投げただけでなく33歳となった
08年にFAでLAドジャースに入団して4年間で41勝を上げると37歳
になった12年から3年間NYヤンキースと契約し通算38勝を上げる
など抜群の安定感を誇っていた。
黒田の凄いところは最初のカープ時代に完投に拘っていたのを
MLB移籍後は‘1試合を完封しても次の登板でKOされたらチームに
とって意味がない’という事から試合を作る事に切り替えてローテ
を守り続けた事。
これは意外に難しい事で松坂大輔などを筆頭に日本で実績を残し
たスタイルで押し通したがる中で、しっかりと7回100球3失点と
いうMLB仕様に切り替えられたからこそLAドジャース&NYヤンキー
スという2大名門チームで7年間もプレーできただけでなく称賛され
続ける存在になったのだろう。
そしてMLB7年間の経験やノウハウをカープの若手投手陣に伝える
事により、彼らが成長したので身を引く決心が付いたのではないか
と思われる。
明後日から始まる日本シリーズで黒田が投げるのは多くて2試合
だから、彼の雄姿を目に焼き付けて置きたいものだ。