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こーじ苑
ドネアに完敗しても西岡利晃の功績は色褪せない!
進退は「自分の口から」=西岡、悔いない敗戦―ボクシング(時事通信) - goo ニュース
昨日ノニト・ドネアとのSバンタム級タイトル統一戦で敗れた西岡利晃の試合
ぶりに対して‘がっかりした’とか‘退屈な試合’などと酷評する書き込みや意見が
他のブログや掲示板などに載っていたので驚いた。
確かに昨日の試合は西岡の完敗だがドネアに勝つための戦いに徹した結果、
敗れたわけで少なくとも惨敗という表現は見当違いもいいところで、そういう目で
評価するのだったら巌流島の決闘で敗れた宮本武蔵から敗れた佐々木小次郎
は酷評されなければならない事になる。
強敵相手に勝負に徹するなら自分の武器を封じてでも相手の最大の武器を
封じるというのが大前提だから、そのために見た目には面白味のない退屈な
展開になるのは仕方ない話でハイレベルな試合になればなるほど試合展開が
地味で退屈になるというのは特に格闘技では よくある話。
つまりドネアの最大の武器である左フックを絶対に食わないために右ジャブを
犠牲にしてでもガードを上げて戦う事を選んだわけで、その結果手数が出なく
なっても仕方ない話だ。
2Rからドネアがハイペースの攻撃を仕掛けて来たのに対し、ただでさえ前半
型のドネアの攻撃を凌いで後半勝負という作戦で臨んでいるので防御に徹して
左ストレートをボディに打って行くのは悪くなかったと思う。
最大の誤算はドネアの攻勢が全く収まらず打ち終わりを狙ってもタイミングよく
バックステップされるという展開が続き昨年のマルケス戦では5Rぐらいからできた
アジャストが全くできなかった事だろうし、言うなればキンシャサでアリがフォア
マン相手にロープ・ア・ドープをやったにも拘らずフォアマンが最後まで打ち疲れ
せずに終わってしまったようなものだろう。
だから‘例えKOされても最初から打ち合うべきだった’というような戦いは匹夫
の勇に過ぎないし、そういう批判は5Rまでと同じペースで最終ラウンドまで戦った
場合のみにされるべきだ。
この試合を総括するとしたら西岡はドネアに勝つための作戦を忠実に遂行し、
持てる力を全て出し切った末に敗れたという事で、批判はされても非難される
要素は全くないと言い切れる。
そしてドネアに完敗したからといってもアキレス腱断裂というアクシデントやウィ
ラポンに4度とも勝てなかったという挫折を乗り越えて32歳で世界王者になって
強敵ジョニー・ゴンサレスをメキシコに乗り込んで逆転KOし、ラスベガスでラファエ
ル・マルケス相手のビッグマッチで完勝したという功績は決して色褪せるものでは
ない。
少なくともドネア戦の西岡の戦いは自称3階級制覇王者とは対極にあるものだし、
ドネアに完敗した西岡を酷評するのはロベルト・デュランやシュガー・レイ・レナー
ドら名王者が敗れた試合のみを見て酷評するのと同じという事になるのだから。
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アメリカのリングで、東洋人の世界王者2人が雌雄を決するなどと言う、一昔前なら想像も出来なかった事をやってのけた、その事だけでもこの両者の試合がどれほどの物だったのか?を雄弁に物語っていると思います。
過去を調べてみても、アメリカ国籍の選手が絡んでいない世界戦がメインでアメリカで行われた例は以外に少ないはずで、知る限りではMSGでロベルト・デュランvsエステバン・デ・へススが戦った試合など、数えるほどしか無く、エリック・モラレス等はアメリカ国籍だし、ホセ・ナポレスの挑戦者のほとんどはアメリカ国籍だったわけで、ましてアメリカの陸続きでもない国のボクサー同士の世界戦がアメリカのリングで、メインを張った事実は偉大な事だと思います。
試合そのものは、優れた力量を持った者同士の試合であっても、より優れた者がきちんと差を付けて勝った。隙の探りあいの末、先に隙を突いたドネアが己の強打を最上のタイミングで叩き込んだ結果だった、そのように思います。
通算144勝103KOを記録した、フェザー級の名王者サンディ・サドラーが、KOの秘訣を問われた際に「自分の一番強力なパンチを、リードブローなしにノーモーションで打ち込む事が出来ればKO勝ちできる。」と答えたそうですが、今回のドネアの9Rの右などは、まさしくその通りの一撃でしょう。デュランvsデ・へスス(3)の12R、デュランが勝負を決定付けた右ストレートのカウンターが、今回のドネアの右に良く似たパンチだったですね。
私もデュラン-ヘススの3戦目だった統一戦を思い出しました。
あれも右ストレートのカウンター一閃でしたよね。
ああいうノーモーションのパンチってなかなか見る事ができませんし(ヤ○ザ一家の長男が吹聴しているのとは月とスッポンです)、ロイヤル小林を倒したアルゲリョやゴメスのパンチを思い出しましたよ。
そういえばフィリピン人ボクサーにはメキシカンも痛い目にあっているのですようね。
具志堅がフローレスに負けた時にメキシコ人はサルディバルの屈辱を晴らすことができたと喜んでいたと
いう話を聞きましたので、それぐらい自国のスーパー王者に対する思い入れが強いのでパッキャオにモラレスやバレラが負けたのはメキシコ人には痛恨でしょうね。
確かにWOWOWで煽り、ネット上にも試合の大きさが伝えられてただけに
ワインサイドで敗れてしまったのは、ボクシングファンからすると痛いですから
期待の裏返しとして厳しい意見も出ているのでしょう。
(一般のスポーツファンに「お薦め」していた人なんて参っちゃったでしょうね・・・)
序盤はともかく「右も左も出せない」ボクシングを5Rまで続けてしまい、
それを放送席が良しとしていたのにも、私は疑問を感じました。
(相手は完全にリズムと余裕を持ってしまったし・・・)
それでもダウンを奪われた回は打開を試みたワケだし、その姿勢は認めたいですね。
西岡選手といえば、ウィラポン第一戦で消極的な試合をしてしまい(私を含めた多くのボクシングファンから)批判を受けましたが
今回は勝負を掛けて倒されたのだから仕方がない・・・と思います。
防衛戦からドネア戦までのプロセスは、後の日本人世界王者に世界進出のヒントを残してくれたし
そう意味でも世界王者・西岡の功績は大きいですね。
結局 西岡戦をステップとしていたドネアと、ドネア戦をゴールにしていた西岡の違いが こういう結果になってしまったと思ってます。
やはり こういうビッグマッチは、できれば30代前半に行って欲しかったとは思いますね。
西岡の作った道を他の世界王者達も進んで欲しいものです。