マスコミの評価ほど いい加減なものはない！

「試合巧者」「次勝てば」＝夢語れないと辛口評も―決勝Ｔへ・サッカーＷ杯

  以前ボクシングの元世界ミニマム級王者・大橋秀行が、崔煕庸の
持つWBAタイトル挑戦前に‘大橋は年齢的に厳しい’的な形で衰え
を指摘されると‘みなさん早い時期に挑戦しようとしたら「時期尚
早」だの「キャリア不足」など散々言っていたのに今度は「もう衰
えた」ではいつ挑戦したらいいのか'とコメントしていたのが印象的
だった。

　サッカーW杯ロシア大会で西野朗監督率いる日本代表がグループ
ステージ最終戦でポーランド相手に1点リードされているにも拘ら
ずフェアプレーポイントでリードしているという事から、残り10分
の間に全く攻めようとせず自陣でのボール回しに終始し2位通過を
勝ち取った事が物議をかもしている。

　とりあえず第3者的立場の各国のマスコミから叩かれるのは仕方
ないが、問題は日本の一部マスコミが‘そこまでして勝ちたいか’
的な論調で批判しているのには呆れてしまう。

　Jリーグが発足して25年経つのだが当時の日本はドーハの悲劇
のように2－1でリードしながら残り時間が減っていたにも拘らず
時間稼ぎもせずにバカ正直に点を取りに行って切り替えされた挙句、
同点ゴールを決められアメリカW杯への出場権を逃したのをはじめ
‘日本人にはマリーシア（ズル賢さ）が足りない’と国際試合で敗
れる度に言われて来た言葉だ。

　ところが08年北京五輪への出場権をかけたサウジアラビアとの
最終戦など点を取られなければOKの場面でボールをキープしなが
ら時間を潰して逃げ切り出場権を獲得した時など‘日本もこういう
事ができるようになったか'と感心したのだが、先述したマスコミは
‘最後まで攻撃的な姿勢を見せなければ'的な論調で批判していたの
を思い出す。

　先日のポーランド戦で仮に同点狙いに行ってカウンターから2点
目を失い敗退した場合、自陣でのボール回しによる時間稼ぎを批判
したマスコミは‘フェアープレーポイントで勝っているのに無謀な
事を’と責めても‘グループステージ敗退したが最後まで全力でよく
戦った’と褒める事はないのは火を見るよりも明らかだ。

　過去の日本代表は02年と10年にW杯でグループステージを突
破したもののグループステージの突破がゴールのような形で臨んで
いたため、02年はトルコに0－1で10年はパラグアイと引き分け
PK戦でベスト8に進めなかった。

　しかし今回の日本は薄氷の勝ち上がりや、マスコミからの非難を
受ける代償として余力を持ってベルギー戦に臨む事ができる。

　やはり1つでも先に勝ち上がりたければ一戦必勝ではダメだし、
負けたら終わりの高校野球ですら計算づくで戦う時代なのだから
プロであるサッカーが今回のような計算づくの戦いをするのは当
然だろう。

　W杯というのは夢を追う場ではなく、結果こそが全てなのだから。