あえて杉内俊哉に苦言を呈す

　早いもので明後日から日本シリーズが始まる。

　私の地元のホークスが8年ぶりに日本シリーズに出場するので今年は盛り上
がっているし、先週の土曜日にライオンズにアドバンテージも入れて4連勝で
シリーズ出場を決めただけに これまでの鬱憤を晴らすような気分だった。

　ただライオンズとのCSファイナルステージで気になったのが杉内俊哉に
ついて。

　ご存知のようにライオンズのエース・涌井秀章との素晴らしい投げ合いを演じ
5回以降は10回1アウトまで1人のランナーも出さない見事なピッチングを見せて
いたのだが、10回に1アウトから4番の中村にフェンス直撃の2ベースを打たれて
久しぶりのピンチを招いた。

　ここでファイターズとの1stステージで打ちまくっていたフェルナンデスを迎える
のだが、なぜか力勝負にいってレフト線に打ち返され先取点を与えてしまった。

　こういう投手戦になると特に王手をかけたホークスにとって残りの3イニングを
0で抑えれば日本シリーズ進出が決まるのだから1stステージから乗っている
フェルナンデスと わざわざ勝負しなくても歩かせて浅村・佐藤との勝負に行った
方が賢明だったのではないかと思うのだ。

　ところがフェルナンデスから打たれて やらずもがなの先取点を与えた直後に
杉内はマウンドで涙を流しながら降板してしまった。

　確かに気持ちは分かるし、これまでのピッチングを思えば勝たせてやりたかった
とは思うもののエースたる者もう少し冷静さが必要なのではないかと思った。

　一方の涌井も その裏に2アウト2塁でカウントを追い込みながら長谷川から
右中間を破られて追い付かれ、杉内同様マウンドで涙を流しながら降板した。

　ライオンズの場合は引き分けではダメなので10回に追い付かれた時点で
強力なホークスのブルペン陣から残り2イニングで最低でも1点は取らないと
いけなくなるし、そうなったらライオンズの勝つ確率は絶望的になるので涌井の
場合 力尽きたような姿は理解できるが、ホークスは引き分けOKで 例え先取点
を与えても1点で止めれば その裏の攻撃には希望が持てるのに、あの時の
杉内の態度は06年の斎藤和巳のようなサヨナラ負けを喫した雰囲気だった。

　これが岩崎のような若手ピッチャーなら気持ちも分かるが、和田と並ぶエースが
こういうシチュエーションで先取点を取られただけで ああいう態度を取るのは
違和感があった。

　基本的に杉内は気性が激しく04年など不甲斐ないピッチングをしてKOされて
ベンチで悔しさのあまりイスを利き手の左手で殴りつけて左手を骨折しシーズンを
棒に振るという失態を犯した事を覚えているが、いくら頭に血が上ってもローテー
ションの柱の1人である男がやる事ではないと当時から思っていた。

　更に昨年レギュラーシーズン最終登板でダルビッシュ相手に1－0で投げ勝ち、
事実上リーグ優勝を決めた試合後もベンチで涙を流していたのを見て‘CSは
大丈夫だろうか？’と不安になったのだが、案の定2試合とも成瀬と投げ合って
敗戦投手になっている。

　もう少し冷静さを持って投げないと本当の意味でのエースにはなれないと思うし、
そういう指摘をせずに感情論に流されるだけの野球マスゴミの酷さにも疑問を
持つものだ。