松中信彦低迷の理由

　明日からパリーグのプレーオフが始まるが我がホークスの前途は
多難で下手すると連敗で敗退という屈辱が待ち構えている。
　最大の理由が打線で今年のチームホームラン数は90未満という少なさ、
03年・小久保、04年・井口、05年城島と3年続けて全盛時の四天王のうち
3人までが抜けて松中のみになり重圧がずっしりと被さっているのだ。
　もともと入団の時から城島と井口はMLB志向が強かったらしく井口には
ポスティングで城島にはFAでの移籍を故・根本陸夫GMは約束していたらしい。
　一方で小久保は将来の監督としての予定が人間の屑とも言える前社長に
追い出される形でジャイアンツに移籍してしまった。
　03年までは4番の小久保はホームランバッターではあったがチャンスで意外に
打てず5番の松中が直後に痛打という場面が多かった。ところが03年は小久保が
怪我でシーズンを棒にふったものの松中が5番時代のバッティングをやって穴を
埋めていたのだ。
　ところが04年に小久保が抜け松中が4番に座ったため責任感の強すぎる松中は
‘4番にはホームランが要求される’というデマを信じて体をビルドアップさせ
「体重が100㌔を越えた」といって喜んでいた。確かに広い福岡ドームの左中間
上段に叩き込める打力は素晴らしく（かつてはブライアントぐらいのもの）ホーム
ラン数も飛躍的に伸び05年にはシーズン50本に乗った。
　その副作用として元来持ち合わせていたチャンスに強いクラッチヒッターの
資質が徐々に無くなりプレーオフでの不信はその象徴だった。なにせ1位通過した
ホークスは第1ラウンドを他のチームが戦っている間試合がないので試合勘が
戻るまで時間がかかりやすいし特にホームランバッターにはこれが顕著だ。
　基本的にホームランバッターはヤンキースのAロッドに代表されるように活躍
する時としない時の格差が大きすぎる傾向があるしエンジンのかかりが遅いために
短期決戦ではブレーキになりやすいのだ。
　今年の3月に行われたWBCで松中は日本代表の4番として登場しホームランこそ
０だったが、つなぎのバッティングをしっかりやり優勝に大きく貢献した。
そしてチームでもこの姿勢で行こうとしたが、いかんせん後を打つズレータは
典型的なムラの激しいタイプだから相手としては‘最悪松中を歩かせてズレータ
勝負’というチョイスを露骨にしてくるので松中の四球数が飛躍的に伸びホーム
ランは激減する事になった。
　結局昨年までは松中の後を勝負強い城島が打っていたのでホームランボールが
来る確率が高くなっていたのだが城島が抜けた今年はそれが無い、そしてホーム
ランが少ないと首位打者を取っているにも拘わらず‘不信の１年’などと頭の
不自由なマスコミは書き立てる。悪い事に松中はそういう記事を読んで考え込む
ので余計な悪循環に陥るのだ。
　松中のトラウマを解消させたいなら今年でFAの小久保を奪回するべきだ、
そうすれば責任を1人で背負い込む事はなくなるし小久保の後を打つと持ち前の
勝負強さが蘇るはず。幸い孫オーナーは小久保の奪回計画を画策しているようで
そちらの手腕に期待したい。