アストロ球団系の作品が出ないのは

 40年前の今頃ヒットしていたマンガにアストロ球団がある。

 伝説の名投手・沢村栄治が抱いたメジャーリーグ打倒の夢を
かな
えるべく、沢村が戦死した10年後の昭和29年9月9日午前
9時
9分9秒に生まれ体のどこかにボールの形のあざがあるアス
トロ
超人達がチームを作って活躍するという内容だ。

 沢村栄治が投げたといわれる三段ドロップから始まりスカイラブ
やファントム大魔球にジャコビニ流星打法・コホテーク彗星打法・
加速度打法など魔球やスーパー打法がてんこ盛の作品でリアル
タイ
ムで読んでいた我々はワクワクしたものである。

 ところがアストロ球団はブラック球団やロッテにビクトリー球団
相手に戦った後、日本はおろか世界中のプロチームとも試合ができ
なくなる措置を受けマサイ族をはじめとしたアフリカの原住民達と
試合をするためコンコルドで旅立って終わる。

 アストロ球団締め出し措置の中心だったのが当時ジャイアンツの
監督だった川上哲治で‘アストロ球団は進化し過ぎた’というのが
理由だった。

 アストロ球団の3試合は必ずといっていいぐらい大ケガをする者
や死人まで出る壮絶な試合が多かったし、スローガンが‘1試合完全
燃焼’だからレギュラーシーズンで毎試合コレをやられれば対戦相手
は たまったものではない。

 つまり全試合を勝ちに行くアストロ球団に対し捨て試合を必ず作る
という現行のプロ野球やMLBの姿勢は相容れないものがあるので、
現在の我々の判断としては川上が主張するアストロ球団は球界のバ
ランスを崩す存在という意見に賛同できる。

 やはりアストロ球団が連載されていた時代は、プロ野球も高校野球
同様に毎試合を全力で勝ちに行っていると考えるファンが多かったの
かもしれない。

 その証拠に調整試合に過ぎないプレシーズンゲームから贔屓チーム
の勝敗に一喜一憂していたし、マスコミも現在のように主力選手の仕上
がり具合ではなくチームの勝敗や戦評に重点を置いた報道をしていた。

 しかもアストロ球団対ロッテ戦では試合終了後は高校野球のように
ホームベースを挟んで両チームの選手が整列するシーンまであったの
だから、作者達も高校野球とプロ野球の差が分からなかったのかもし
れないし負けを許容するプロ文化が成熟してなかったのだろう。

 21世紀に入り‘優勝するチームでも年間最低でも50敗はする’など
ファンの見方がレベルアップし、負けを許容できる度量を持った事が
アストロ球団のようなジャンルの野球マンガがなくなった原因の1つ
ではないだろうか。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
今でも好きです (柴田真紀)
2014-04-18 23:13:20
以前もコメしましたが、数年前の実写版(ブレイク前の、上地雄輔氏が三荻野球五役で出ている)、も全話録画したほどのファンです。
キャラでは、明智球七が好きでした。実写版も、永山たかし氏が、そっくりの髪型にしてくれていて、当時は好きでした。球一役は、デカレンの林剛史氏でしたし。
確かに、今のプロ野球の概念で読むと、古臭い部分も多いです。
そのせいか、実写版はラストが漫画版と違います。
いきなり、タイムトラベルしてしまう…というようなオチだったような(←録画していたくせに、覚えてない)。

魔球や魔打法が次々と出てくる野球漫画は、もうでないでしょうね~。
同じ理由で、カーアクション作品も出ないと思います。
 
 
 
実は私も (こーじ)
2014-04-19 22:19:17
>柴田真紀様
 実は私も こう書いてはいますが好きな作品で、息子達にも見せたいと思っています。

 しかも球七が好みとは連載当時私も球七が好みでした。

 実写版のラストは対戦寸前にタイムスリップして消えてしまうというものでしたね。
 
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