河野、判定で2度目の防衛=亀田興、引退を表明―WBA・Sフライ級
日本時間の今日午前中にシカゴで行われたWBA:Sフライ級
タイトルマッチで王者の河野公平が2Rにダウンを奪うと3度に
わたるローブローの減点と終始アグレシブに攻めてパンチを
ヒットさせ、挑戦者の亀田興毅に大差の判定勝ちで2度目の
防衛に成功した。
敗れた亀田は試合後に引退を表明したのだが、正直言って
亀田が ここまで錆び付いたのかと思ってしまった。
10年前の8月にワンミチョーク・シンワンチャーに3RでTKO
勝ちしOPBFタイトルを奪取した時はイキのいいヤツが出てきた
と思っていたし、実際にワンミチョークは日本人挑戦者に
勝っていたので亀田の自力もそれなりにあると思っていた。
ところが06年3月にエドガル・ソーサの代役カルロス・ボウ
チャンのジャブに手を焼き、最後はローブローでKO勝ちした
あたりから実力に疑問符が付き始め8月のファン・ランダエダ
戦で亀田不信はピークに達したのだった。
亀田ボクシングの真髄は自分より大きく強い相手とは徹底
的に対戦を避け、確実に勝てると思った相手には執拗に追い
回して どんな手を使ってでも勝つというもの。
それでも内藤大助に勝って2階級制覇した時点では世間の
評価も僅かながら上がったのだが、内藤に1敗1分だった前
王者のポンサクレック・ウォンジョンカムから完敗した事で
強敵との対戦を忌避するようになった。
ボクサーは強い相手と戦ってないと自力が錆び付くし特に
亀田のようなカウンターで倒すタイプが格下の噛ませ犬の
ような相手ばかりと対戦していたら、カウンターを打ち込む
タイミングを逃すし恐怖感も出て的確にヒットせずに倒せず
判定までズルズルという試合ばかりになる。
特にSフライ級を避けてバンタムに上げアンセルモ・モレ
ノをなぜかスーパー王者に格上げされて9ヶ月前まで引退状態
だったアレクサンドル・ムニョスとの決定戦を強引にセット
アップしてバンタム級まで取った時には賞賛する者は誰も
いない状態だった。
結果的にモレノとの統一戦を避けまくりながら噛ませ犬の
ような挑戦者ばかりと防衛戦を行っていたので、普段から
ボクシングに興味のない面々にすら‘亀田はいつになったら
1位とやるのか’などと言われる始末で対戦を避けられない
と判断してタイトルを返上する。
こうして4階級制覇をブチ上げた今日の一戦に臨むのだが
無為に過ごした歳月は残酷なもので苦し紛れのローブローで
減点を3度も取られるとは、とても3階級制覇したボクサーの
する事ではない。
やはり強敵から逃げまくっていたからこそ武器であるカウ
ンターを打てなくなっていた形で、決してレベルが高いとは
いえない王者のパンチを再三にわたって被弾しカウンターを
返せないまま顔を晴れ上がらせての大差判定負けはボクシン
グを商売道具としか見なさずに10年を過ごした者の末路だろ
う。
正直言って‘やり尽くした’のではなく‘対戦しても勝てる
相手がいなくなった’というのが実情だから、TV局の縛りが
なくなって引退できてホッとしているのではなかっただろうか。