高校野球で投手を守る現実的な対策は 

 今年に入って高校野球界では投手の肩肘を守るため新潟高野連
が 球数制限の導入を提言するなど、ようやく投手の将来を考えた
議論 が出てきた。

 そもそもMLBやプロ野球をはじめとしたシニアレベルで投手の
肩は消耗品という意識が高まっている中、高校野球だけが‘炎の3
連投’‘魂の160球’などと連投や多くの球数を投げる事を賞賛する
発想自体がおかしなものだと思うので今回のように有識者会議が
立ち上げられた事は僅かではあるが進歩には違いない。

 高校野球で多くの球数を投げて連投する事が賞賛される理由とし
て高校野球が夏の甲子園での優勝を最大の目標という価値観の下で
運営されており、甲子園大会をはじめとした全ての大会が負けたら
終わりのトーナメントで行われているところに最大の原因があるだ
ろう。

 トーナメントを勝ち抜くには打ち勝つよりも守り勝つスタイルが
推奨され好投手を持つ事がチームにとって最大の武器で、投手に気
分よく投げさせるべく攻撃力を犠牲にしてでも守備を徹底的に強化
し鉄壁の守りを敷いたチームが強いチームという価値観が根付いて
おり1-0とか2-1というスコアの試合が喜ばれてきた。

 当然ながら投手に対する負担は大きいわけだが長い間、現場の指
導者やファンやマスコミまでがそれを肯定してきたので誰も変とは
思わなかったのだ。

 だから投手の肩や肘を守るための球数制限などと言っても多くの
反発があるわけだが、現実的な対策として今からトーナメント制や
甲子園での一括開催を止めたりするのはできないし現実的ではない。

 最も手っ取り早いのは‘1人の投手に頼るスタイルでは勝てない’
という意識を指導者達が共有する事で、実際に最近は複数投手制を
敷いたチームではないと勝てないし実際に全試合フルイニング投げ
る投手というのも少なくなっている。

 実際に今年の選抜高校野球では3試合を戦ったチームで1人の投手
がフルイニング投げるチームはなく、1人エースのチームでも2番手
投手を登板させているチームが目に付いた。

 しかも人材確保が難しいとされている公立校でも複数投手制を敷
いているチームが勝ち進むなど、1枚エースに頼る思想が現場でも
徐々に崩れて来ている事を実感する。

 もっとも1回戦の龍谷大平安-津田学園戦のようにエース同士が
好投し0-0で延長に入ったりする展開では好投している投手を球数
制限で交代させるのは現実的ではないので、仮に何らかの規制を導入
するとしたら‘100球以上投げ場合は連投を避ける’や‘連投の場合は
球数制限’などが落としどころになるのではないか。

 それと平行して現場には1-0で勝つよりも毎試合5点を取りに行
くという姿勢で練習させ1枚エースでは勝ち抜けない環境を作るべ
きだし、何よりもマスコミには過度な球数や連投を賞賛する報道は
絶対に避けるべきだろう。

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