宝石ざくざく◇ほらあなJournal3

ロシア語をはじめ、外国語学習に関するあれこれを書いておりましたが、最近は…?

風貌のいい人

2019年06月24日 | テレビ・ラジオ・映画など
ヤマハのピアノといえば
同じく土曜日NHKEテレでやっていた『SWITCHインタビュー 達人達「山下洋輔×養老孟司」』で、山下洋輔さんが弾いていたピアノはヤマハだった。(ピットインのピアノ?)

お二人は私の親くらいの年齢なのだが、若々しい!全然老いたという感じがしない。むしろお若い頃の映像よりもステキ。特に養老さん。虫取りと絵描きは年を取らないと昔何かで聞いたような気がするんだけれど、好きなことをやるって大事だなぁ。

好きなことについて、山下さんが話していたことがちょっと気になったので再録しておこう。
「好きなものは黙って待ってても出てこない」
「何かのきっかけでそれを知り、無理やりにでもこれが好きだと思い込む。人が何と言おうと好きだと言い張る。そうすると本当に好きになっちゃう」
「黙って待ってても降ってきませんよね?」
(養老)「何もしなきゃ何もなんない。宝くじは買わなきゃ当たらない」
「動き回って何かにぶち当たって好きだと言っちゃう」

私は好きなこといいなと思うこといろいろあるけど「んーそこまで・・・でも・・・ない・・・かなぁ」と、つい冷静に感情分析してしまって、前に進むのをためらいがちだったかなぁと。そこが私の失敗というか敗北というかーという気がして、この部分が気になったのだと思う。

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先日買った中野翠さんの新刊『いくつになっても トシヨリ生活の愉しみ』(文藝春秋)に「美老人への道」という章があって、笠智衆さん(中野さんとのツーショット写真、ステキ)とか天本英世さんとか老境に至って風貌のいい男性について書いているのだけど、いやぁ、上記のお二人もこの系譜につながるなぁーそういう方々がいるって嬉しいことだなぁと勝手に思った。

(同じ章に「ジュリーとショーケン」という文章があり、NHK「不惑のスクラム」でのドラマ復帰に喜び、ショーケンに美老人への期待をかけていたのにという話だったが「『不惑のスクラム』が遺作となってしまった・・・・・・」という結びはちょっと・・・ショーケンの遺作はこのドラマではなくて大河ドラマ「いだてん」の高橋是清役なのでは?訃報記事にもあったと思うし、中野さん「いだてん」気に入ってたみたいなのに・・・文章の流れとしてはこれで納まりがいいんだけど、事実と違うのは気になる。編集校正の人もそういうのは口出ししないのかな・・・とついつい蛇足が長くなった。この本自体は年を取ってものんきな感じが嬉しく、おすすめ老人映画も参考になる。読んでいて楽しかった好きな本(^^))

...と、長々書いてしまったけど、最後とは限らず、死後遺された作品ということならおかしくはないのかな?「遺作」の意味について考えこんでしまった^^;

ピアノ工場の秘密

2019年06月24日 | テレビ・ラジオ・映画など
土曜日にたまたま観ていたNHKの番組『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』、
カネオくんの声は千鳥のノブ、なぜかEテレ語学番組『旅するフランス語』のナレーションもやっていたりして、NHKにわりと重用されている。結構好き。
先日は「ピアノのお金の秘密」ということで、ヤマハの工場でのピアノの製造工程を紹介していた。
工場入口までの歩道が鍵盤のペイントだったりして、楽しそう。
案内役の工場長さん(だっけ?)は同じヤマハでもバイクの方をつくりたかったのに、なぜかピアノ工場勤務になったとか(?)
ピアノをつくる仕事ってすごい!
機械での工程もあるけど、人の手による職人技が大部分を占める。
工場がある静岡県はピアノ生産国内シェア100%とのことで、わー静岡県が夢の国のように思えてくる。
たしかにある意味「聖地」ではある。
ヤマハのピアノは海外にも輸出されていて、一通り形が完成すると、輸出先の気温や湿度に合わせた部屋に入れてしばらく寝かせて、それから音の調整をするのだそうだ。
恥ずかしながらというか、寡聞にしてというか、外国でもヤマハのピアノが使われているとは、思いもしなかった。
(日本人ピアニストが特に希望して所有している場合は別として)
旅先の異国の地で、ヤマハのピアノを見かけたら、すごく嬉しい気持ちになりそう。
(ヤマハのバイクの代理店はフランスの田舎で見た記憶がある。不思議で嬉しかった)
あ、番組ではヤマハとカワイの関係もさらっと説明していた。カワイでももちろん同じ気持ち。
(YAMAHA=山葉さんという漢字の名字からだったのねとあらためて)

番組の中では、115万円のピアノと1900万円のピアノの弾き比べもしていた。
お高いほうが本体の奥行(というのか?)が長くて、音の余韻が長く続き、高い音もよく出る。
演奏者の表現の幅が広がるとのこと。
この弾き比べでピアノを弾いていたのがふかわりょうで、むむっピアノが弾けるというだけで、見る目が変わる私であった。

おさらいのため、ピアノができるまでを検索したら、ヤマハのサイトで工場見学ツアーがあることを知った。いつか行ってみたいなぁ。

1粒で3度おいしい

2019年06月22日 | 
角川文庫の4月の新刊『フィンランド語は猫の言葉』(稲垣美晴)を読む。
この本について知ったのは、ご多分にもれず、言語学者というかロシア語の先生というか、の黒田龍之助さんの著書の中でだったと思う。
具体的にどの本だったかは覚えていないけれど。
この文庫の解説も黒田さんが書いている。

この本はこの文庫の前にすでに3つの版が出ていて、2008年に出たという猫の言葉社版のハードカバーを見たことがあったけど、その時は買わずにいたのだった。表紙はこの版のが圧倒的にかわいいのだけど。
文庫だとやっぱり気軽に手に取って読んでみようかなという気になる。

1970年代、フィンランド、フィンランド語が日本にとってまったくマイナーだった頃の留学記、初版は1981年文化出版局から出ている。
この本の面白さについては、たぶんもうよく知られているし、解説でも黒田さんが余すところなく伝えておられる。
留学記、異文化遭遇記の類を読むのが好きで、言葉の話も好き(フィンランド語について全然知らなくても、その分からなさが分かりやすく書かれていて面白い)、加えて著者の稲垣さんの文章が面白く、私にはちょっと懐かしい感じ。自分がローティーンだった頃の、子供向けの本からちょっと背伸びして読んでみようと思う本の文体がこういう感じだったなぁというか。

というわけで、私には1粒で2度おいしい的な本だったのだが、さらにもうひとつ。
著者は1952年東京生まれ、東京藝大卒業、藝大は美術学部だけど、ピアノに親しんでおられ、ピアニスト舘野泉さんの話も出てくる。
読みながら、あーなにかどこかにあったはずと思ってネット検索してみたのだけどなにも出てこず。
んー違うかなー、と読み進むと、終盤に、あ、YMOのライブ盤「公的抑圧」を聴いた話が出てくる。
「中でも、私は『東風』と『The end of Asia』が好きになった。」とのこと。

そこで確信。坂本龍一さんの本か記事かに、たしかフィンランド語の翻訳家にについてあったはずなのよーと探したら、ありました(笑(^^;)
89年発行の『SELDOM-ILLEGAL 時には、違法』(というタイトル、今はもうご法度ですね・・・あ、今見てるこれも角川文庫だわ)。
中学生のときに初めてラブレターをもらった話があり
「そうしたらその女性から、三十歳ぐらいになってからかな、コンタクトがあって、実はその時のラブレター事件の女の子は私よ、というんで、会ったんですよ。それがわりと有名な翻訳家になっていて、フィンランド語の唯一の翻訳家なんだよ、今。何冊も本を翻訳してて、自分も本を書いてて、フィンランド文学にかけては日本でのオーソリティになっているんだよね。」
とあるから、これは稲垣さんだろうなぁ、と。

だからどうだというわけではないのだけど、ヘウレーカ!(ちがうか(^^;)と、なんとなく嬉しい。
と、同時に、この『SELDOM-ILLEGAL 時には、違法』のこの辺の描写、当時30代、盛りの人が振り返る中坊時代って感じがよく出てて(取材・構成は見城徹氏)、そこからまた流れた長い時を思ってなんともいえない気持ちになってしまった。

本のことなど

2019年06月16日 | 
書かないまま日が過ぎていくのも寂しいので、なんでも書いてみよう。
ということで、ここのところ読んだ本について覚え書き。

・穂村弘氏による短歌本
『ぼくの短歌ノート』『しびれる短歌』(東直子氏との共著)『はじめての短歌』(監修:講座の内容をまとめたもの)『短歌ください 君の抜け殻篇』(雑誌『ダ・ヴィンチ』で連載中の短歌投稿企画をまとめたもの)

「いい短歌は社会の網の目の外にあって、お金では買えないものを与えてくれるんです。」
↑『はじめての短歌』で感銘を受けて書き留めておいたのだけど、これだけだと分かりにくいな。

世間の常識とかスピードとかに適合していこうとすると、どんどんこぼれ落ちて無かったことになってしまう気持ちや風景やものの見方なんかが、短歌にはすくいあげられていて、そういうのを読むのが、すごくおもしろい。

読むのはすごくおもしろいのだけど、自分では短歌はつくれそうにない。
もともと常識にとらわれやすい性格なので、定型を意識するとなお委縮してしまうのかも・・・?

・『ディス・イズ・ザ・デイ』(津村記久子 朝日新聞出版)
津村さんの新刊出てないかなと検索したら、あら、去年に出ていたのではないの。
サッカーの話ということで、とりあえず関係ないからいいやとスルーしたのだったかも。
でもこれは本当に面白かった!
J2リーグ(実在とは違う架空のもの)各チームのエンブレムやらマスコットやら選手のチャントやら細かいところまですごくよく設定されているのにほとほと感心。愛がなくてはできないことだ。
愛といえば、恋愛、友情、家族愛とかいろいろあるけど、これはサポーター愛というか地元愛というか、いやそもそも「愛」なんていってしまうとちょっと違うような、でも現代社会に確実に存在している大切な感情が描かれている。
読んだ後、実際のJ2リーグにも興味が出てきて、地元チーム(あ、J3だったわ)の日程とか屋台メシとかチェックしてしまった(^^ そういう現実的な効果を生むという点でもこの小説すごい。

・『シウマイの丸かじり』(東海林さだお 文春文庫)
「丸かじり」シリーズを買うのは久々。5月の連休時に『くるりのこと』の文庫版を買う時に新刊売場で見て。
東海林さんのこのシリーズについては歴代さまざまな方が絶賛されていますが、私はこれまでは普通においしそう面白いと思って読んでいただけだった。
が、自分が『週刊朝日』読者層の中核年齢になったためもあるのか?今回あらためてなるほど絶賛されるわけだと思ったりした。読み進めながらいちいち感嘆している自分がいる。
その発見、発想、そして、短いエッセイの集積でその時代も写し取っているところ。
味わい深い。読み継がれてほしい。でもこの文庫持ってるのを若い人に見られたときにどう説明するか難しいなぁなどとなぜか思い、職場などへの持ち歩きは躊躇していたのであった(^^;