百忌怪談・20
陣とはじめて会ったのは、私がまだ
師匠の道場に通い出して一週間目の
日曜日だった・・・。
透明「先生あそこにいる子は」
師匠「おお紹介がまだだったな
お~い陣」
透明「」
師匠「あはははははっ
あいつ、人見知りでな
お前から、行ってやれ」
道場の隅っこで丸まっている小学生は
私達を見ることもなく、ただ空を眺め
ながら、何かを話していた・・・。
陣「・・・ブツブツブツブツ・・・。」
透明「は、はじめまして」
陣「・・・ブツブツ・・・・。」
透明「・・・僕、透明って言うんだ
よろしくね」
陣「」
私は陣に手を伸ばし、握手を求めた
陣は、はじめてこちらを見て照れくさそうに
手を伸ばす・・・。
私が陣の手を握った瞬間
「パキッ」
透明「」
陣「ごめんなさい、ごめんなさい」
私の右手の小指は、折れていた・・・。
陣「僕は・・・ブツブツブツブツ・・・。」
徐々に、痛みが・・・
透明「じ、陣くんこれから、よろしくね」
私は、痛いのを我慢しながら師匠の元へ・・・
師匠「大丈夫か」
透明「小指が痛いです」
師匠「ちょっと、見せてみろ
・・・げっ折れてる」
透明「えっ」
師匠「ちょっと我慢な」
「コキッ」
透明「」
師匠「これでよし痛みはどうだ」
透明「は、はい大丈夫です
師匠「今、添え木もってきてやるから、
ちょっと待っててな」
透明「は、はい・・・。」
今のは、陣くんがやったのかな
私は、恐る恐る陣の元へ・・・
透明「陣くん」
陣「・・・・ブツブツ・・・。」
陣の言葉を、よ~く聞き取る
陣「僕は悪くない・・・僕はいい子・・・
僕は明るい・・・僕は・・・。」
透明「」
陣「僕は幸せ・・・僕は元気・・・・。」
透明「じ~ん~く~ん」
陣「」
耳元で、大きな声をだすと陣くんは驚いた
表情でこちらを見る
透明「陣くん、凄いね」
陣「えっ」
透明「今のどうやったの」
陣「えっ、あの・・・その・・・」
透明「今、こうやって触れただけで」
陣「ダメッ」
透明「」
陣「僕に、触れないで・・・
僕は・・・ブツブツ・・・・。」
透明「ダメだよ」
陣「」
透明「言いたいことは、ちゃんと言わなくちゃ
僕たち、友達になるんだから」
陣「と、友達」
透明「うんいや」
陣「ブルブルッ」
透明「それじゃ~、これからよろしくね」
そう言うと、私は自分から陣の手を握る
陣は大粒の涙を流しながら、はじめて笑顔を
みせてくれた
このとき、私には陣の中にある心の闇が
みえていたのかもしれない・・・。
私の目の端には、笑顔で見つめる師匠の顔が
うつっていた
ネガティブ・キャンセラー能力
陣は本来、誰よりも暗く、誰よりもネガティブなのだ
皆さんには信じられないかもしれないが、これが彼の
能力の源でもある・・・。
普段は、明るくお馬鹿キャラの陣だが、ひとたび能力を
使うときには、強い負の感情がよみがえる
私も詳しくは分からないのだが、
ネガティブ・キャンセラー能力というのは、
己の負の感情の最上級能力
人間は元々、防御本能が強い為、物事を悪くとらえる
ことに長けている
この感情は、非常に強い念を生みだしやすく、ある意味
どんな念にも負けない強い力を秘めている
陣は、この負の念をあやつり、どんな流れをも破壊する
ことができるのだが・・・危険すぎる能力は、周りから
敬遠され、恐れられる
陣は、この能力のために親からも恐れられ、
友達も作ることはできなかった
その分、子供の頃は私達、キョウダイ以外には心を許す
ことはなかった
そんな陣を見てきた私達も、できるだけ陣に
この希有な能力を使わせることのない
ようにしてきたのだが・・・
次回いよいよファイナルです
続く・・・。
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陣とはじめて会ったのは、私がまだ
師匠の道場に通い出して一週間目の
日曜日だった・・・。
透明「先生あそこにいる子は」
師匠「おお紹介がまだだったな
お~い陣」
透明「」
師匠「あはははははっ
あいつ、人見知りでな
お前から、行ってやれ」
道場の隅っこで丸まっている小学生は
私達を見ることもなく、ただ空を眺め
ながら、何かを話していた・・・。
陣「・・・ブツブツブツブツ・・・。」
透明「は、はじめまして」
陣「・・・ブツブツ・・・・。」
透明「・・・僕、透明って言うんだ
よろしくね」
陣「」
私は陣に手を伸ばし、握手を求めた
陣は、はじめてこちらを見て照れくさそうに
手を伸ばす・・・。
私が陣の手を握った瞬間
「パキッ」
透明「」
陣「ごめんなさい、ごめんなさい」
私の右手の小指は、折れていた・・・。
陣「僕は・・・ブツブツブツブツ・・・。」
徐々に、痛みが・・・
透明「じ、陣くんこれから、よろしくね」
私は、痛いのを我慢しながら師匠の元へ・・・
師匠「大丈夫か」
透明「小指が痛いです」
師匠「ちょっと、見せてみろ
・・・げっ折れてる」
透明「えっ」
師匠「ちょっと我慢な」
「コキッ」
透明「」
師匠「これでよし痛みはどうだ」
透明「は、はい大丈夫です
師匠「今、添え木もってきてやるから、
ちょっと待っててな」
透明「は、はい・・・。」
今のは、陣くんがやったのかな
私は、恐る恐る陣の元へ・・・
透明「陣くん」
陣「・・・・ブツブツ・・・。」
陣の言葉を、よ~く聞き取る
陣「僕は悪くない・・・僕はいい子・・・
僕は明るい・・・僕は・・・。」
透明「」
陣「僕は幸せ・・・僕は元気・・・・。」
透明「じ~ん~く~ん」
陣「」
耳元で、大きな声をだすと陣くんは驚いた
表情でこちらを見る
透明「陣くん、凄いね」
陣「えっ」
透明「今のどうやったの」
陣「えっ、あの・・・その・・・」
透明「今、こうやって触れただけで」
陣「ダメッ」
透明「」
陣「僕に、触れないで・・・
僕は・・・ブツブツ・・・・。」
透明「ダメだよ」
陣「」
透明「言いたいことは、ちゃんと言わなくちゃ
僕たち、友達になるんだから」
陣「と、友達」
透明「うんいや」
陣「ブルブルッ」
透明「それじゃ~、これからよろしくね」
そう言うと、私は自分から陣の手を握る
陣は大粒の涙を流しながら、はじめて笑顔を
みせてくれた
このとき、私には陣の中にある心の闇が
みえていたのかもしれない・・・。
私の目の端には、笑顔で見つめる師匠の顔が
うつっていた
ネガティブ・キャンセラー能力
陣は本来、誰よりも暗く、誰よりもネガティブなのだ
皆さんには信じられないかもしれないが、これが彼の
能力の源でもある・・・。
普段は、明るくお馬鹿キャラの陣だが、ひとたび能力を
使うときには、強い負の感情がよみがえる
私も詳しくは分からないのだが、
ネガティブ・キャンセラー能力というのは、
己の負の感情の最上級能力
人間は元々、防御本能が強い為、物事を悪くとらえる
ことに長けている
この感情は、非常に強い念を生みだしやすく、ある意味
どんな念にも負けない強い力を秘めている
陣は、この負の念をあやつり、どんな流れをも破壊する
ことができるのだが・・・危険すぎる能力は、周りから
敬遠され、恐れられる
陣は、この能力のために親からも恐れられ、
友達も作ることはできなかった
その分、子供の頃は私達、キョウダイ以外には心を許す
ことはなかった
そんな陣を見てきた私達も、できるだけ陣に
この希有な能力を使わせることのない
ようにしてきたのだが・・・
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