

陣「コオオオオオッ

陣の呼吸が変わる・・・。
人間の呼吸には、様々な効果がある

例えば腹式呼吸は、身体の流れを正常化し
考え方もポジティブにする効果がある

では、その逆であれば・・・。
陣のそれは、正に腹式呼吸の逆であった

円「うっ


透明「くっ、こんなに・・・

周りの空気が淀みはじめ、空気自体が
重みを増すような感覚に陥る・・・

陣「・・・・・ブツブツ・・・。」
陣は、古い御札の入った包みを虚ろな目で
見つめながら何かを口ずさんでいる・・・。
「キイイイイイイイイイイイイッ」
それに抵抗するように、御札から発せられる
音も大きく強くなる

陣「ブツブツブツブツ・・・。」
「パキッ

鈍い音がこだまする

陣「ブツブツブツブツ・・・。」
「キイ・イ・イ・・・・・パキン

怜「・・・音が消えた

・・・・・・終わったの

辺りは、一瞬にして静まりかえる・・・。
私は、田端さんの様子を視て事の終焉を
感じ取っていた・・・。
透明「さてと・・・ここからだ

円「う、うん


怜「仕方がない・・・

私達は、陣の周りを取り囲む

円「はじめるよ

怜「うん

円と怜は印を組み、呪文の詠唱を開始する

私は、陣に直接近づき語りかける・・・。
透明「陣



陣「ブツブツブツブツ・・・。」
透明「ありがとうな


陣「・・・・・・・・。」
透明「陣の能力があったから、今回は
田端さんを救うことができたんだよ

お前の能力は、素晴らしい能力だよ

陣は、幼い頃よりこの能力を否定し続けて
いたため、能力の発動が未だ自分では
押さえきれない部分がある

そのため、私達は陣の能力の押さえ方を
師匠から伝授されていた

透明「陣

見ていて

陣「・・・・・・。」
そう言うと、私は陣の額に手を当て、
自分の気を注ぎ込んで行く・・・。
「パキキッ

鈍い音が、私の身体に響く・・・。
透明「(・・・大丈夫だ、骨まではイってない

今回は軽くてすみそうだ・・・。)」
陣「・・・・・・・うっ

・・・・・・・・・・
・・・・・・・あっ

透明


透明「うん



陣「おう


円「ふ~っ


怜「まったく


陣「悪い悪い

したんだから、イイじゃんか~

怜「それはそうだけど・・・

取り敢えず、一件落着

私達は、力を失った御札を坂下さんに見せ
一連の説明をする・・・。
透明「この御札は、土地の安寧を祈願する
御札のようだけど、見覚えある

坂下「いいえ

ことも知りませんでした

透明「なるほど

建てる時に埋められたものなのかもしれ
ないね

御札としての効力は、かなり長いもの
だったのかもしれないけど、誰もが
この御札のことを忘れて、時が過ぎて
しまい赤光に変わっていた・・・。
通常は、土に埋まっていた為、赤光と
してのターゲットは設定できなかったが、
百忌怪談をすることで、霊場が高まり
つながってしまったと考えた方が、
つじつまが合う・・・。」
坂下「そ、それじゃ~

透明「勘違いしないでね

坂下さんのせいではないからね

坂下「で、でも

田端「千夏のせいじゃないよ

坂下「重美

田端「最初に、ここで研究発表しようって言ったの
私だし

くれてたじゃない

怜「そうそう


そもそも、誰もこうなるとは思っていない
のだから・・・。」
坂下「・・・・・

透明「坂下さんも田端さんも、お互いを思いやる
気持ちがあることには変わりがない

そんな友達がいるということの方が
大切なことなんだと思うよ

坂下「・・・はい

田端「陣先生


陣「えっ



あ、あははははっ



円「良かったじゃん


怜「ほんと

はじめてかも・・・。」
陣「お、お前ら

・・・フッ



円&怜「カチン

後ろでボコボコにされている陣くんはホオって
おいて・・・

透明「この御札の処分は、私達が責任をもって
処分するから安心して

この後、不調とか何かあるようなら、
怜に連絡してくれれば対処するから、
遠慮なく言っておいでね

坂下「はい

田端「はい


私達は古い御札を持ち帰り、坂下家を後にした

帰り道・・・。
円「はぁ~~~~っ


陣「お、俺も・・・


怜「そこに、おいしいラーメン屋さんあるよ


透明「俺、パス


円「ええ~~っ


陣「付き合い悪いぞ


怜「・・・・・・・・・今日はありがとう

私達、ラーメン食べて帰るから、透明も
気をつけてね

今回のお礼は後日

透明「うん


私は三人と別れ、駅に向かう・・・


透明「はぁ~

この腕じゃ、箸も持てないか・・・

残暑の残る夜風に吹かれ、一仕事終えた満足感を
感じながら家路を急ぐ透明なのでした

完
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