春の嵐 ・10
泰蔵さんは、すぐに指輪の持ち主に
連絡をとる
連絡をとる
透明「なるほど・・・渦眼が赤いのは、
このルビーから生まれたからなんだね」
渦眼「・・・・う・・・ん・・・ 。」
タイ「おい連絡ついたぞ
すぐ近くだから、直接家に行くぞ」
透明「わかった
渦眼指輪の中に戻ってくれるかい」
渦眼は、いそいそと指輪に戻って行く
透明「それじゃぁ~、行こうか」
私は、泰蔵さんと共に、その方の自宅へと向かう
その方のお宅は、泰蔵さんのお店から、歩いて20分程
の近くにあった
タイ「ここかしっかし、きたねぇ~とこだなぁ~」
透明「あのねぇ~人のこと言えないでしょ
そういうこと言わないの」
タイ「な、なにを~っ」
透明「とにかく、訪ねるよ」
そこは、少し古いアパート・・・。
木の看板には「あざみ荘」と書いてある
私達は、そこの102号室の戸を叩いた・・・。
「は~い」
タイ「先ほど電話した」
「ガチャッ」
泰蔵さんがみな迄言う前に、扉がひらく
中には、品の良さそうなお婆様が立っていた
中間「すみませんわざわざ来ていただいて
狭いですが、どうぞ、お入りください」
このお婆様の名前は、
「中間 タエ」(なかま たえ)さん
お歳は、80歳とのこと・・・やっぱり泰蔵さんより
年下じゃないか
私達は、中間さんのお宅にお邪魔させてもらう
中間「あの~もしかして、指輪が売れたのでしょうか」
タイ「あっい、いやそうじゃぁなくてだ
その、なんだ透明」
なにキョドってんだよ~
透明「はじめまして私、透明と申します
少し、この指輪のことをお尋ねしたくて
ご連絡させていただきました」
中間「は、はぁ」
透明「もちろん、気に入れば、こちらの指輪は
買い取らせていただこうと思っていますので、
宜しくお願いします」
中間「そ、そうですか
私が答えられることであれば、何でも聞いてください」
透明「単刀直入にお聞きしたいのですが
この指輪は、お揃いの指輪がありませんでしたか」
中間「えっなぜ、それを」
透明「やはり、この指輪、結婚指輪だったんですね」
タイ「えっそうだったのか」
中間「・・・はい・・・実は・・・。」
中間さんは、20の時に10年上の旦那様と結婚
戦後、ダイヤモンドよりも色石が流行っていた時代に
中間さんの旦那様が無理をして買ってくれたのが、
この指輪だそうだ
この指輪だそうだ
旦那様との暮らしは、貧しいながらも楽しく、
数年の後に、一男一女をもうけ、幸せに暮らしていた
しかし、中間さんが37歳の時、旦那様は仕事の
忙しさから身体を壊し、帰らぬ人となってしまう
忙しさから身体を壊し、帰らぬ人となってしまう
それからは、中間さんが子ども達を必死で養ってきた
とのこと・・・。
そして現在、もともと身体の弱かった息子さんが、
腎臓を患い、手術を受ける必要があるため、
泣く泣く、想い出の品だった結婚指輪を手放そうと
泰蔵さんのところへ相談に行ったのだった
タイ「そうだったんか・・・そりゃ~
てぇ~へんだったなぁ~」
中間「ええ・・・」
タイ「しかし、透明
この指輪が、何で結婚指輪とわかったんだ」
透明「それはね」
私は、箱から指輪を取り出して見せる・・・。
透明「この指輪の形と、裏に掘られた文字を見たから
これが作られた当時としては珍しく、指輪の裏に
メッセージが彫られている
昔は、刻印を入れるにも結構技術が必要だったし、
お金も掛かっただろうから、入れる人は珍しかった
と思うんだ
もちろん、刻印自体は今と違って荒いけどね」
中間「そ、そうだったんですか」
タイ「その指輪には、なんて」
透明「かなり、潰れちゃってるけど・・・多分、
・・・・大切な君へ ・・・・。
素敵な言葉だよね」
中間「」
タイ「大切な・・・君へ・・・か」
中間さんは、その言葉を聞くと、その場で泣き崩れて
しまった・・・。
しまった・・・。
泰蔵さんも、もらい泣きしている
大切な想いが詰まった指輪・・・どうするべきか・・・。
続く ・・・。
昴と透明先生のお店
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