


桜木「そ、そんな人


透明「いるよ

桜木「だ、誰ですか


透明「君のお父さんだよ

桜木「えっ

透明「君は、お父さんを憎んでいるみたいだけど、
よ~く、考えてみて欲しいんだ

お母さんのことがあって、お母さんの
面影をもつ君に辛く当たっていたと
言うけど、それって本当に、そのことで
辛く当たっていたのかなぁ


桜木「それは、疑う余地はないです

私はあの人に、お前は母親によく似ている

って、頭ごなしに怒鳴られていましたから

透明「なるほどね

今ならわかるんじゃない

桜木「えっ


透明「お前は母親によく似ている

桜木「・・・・

透明「お母さんが出ていってしまったことで、
ショックだったのは、桜木さんだけじゃない

当然、旦那様であったお父さんもショックだった
と思うんだ・・・それに、きっと自分のことも
沢山責めていたと思う・・・

だから、君にはちゃんとした人生を歩んで
欲しいと願ったんじゃないかな

その言葉の続きは、私が思うに

「だから、お前はあんな風にはなるな

だったんじゃないかな

桜木「

透明「これは、私の予想だから、疑っても良いよ

桜木「・・・・。」
透明「父としての責任・・・娘をちゃんと育てなければ
ならないという想い

男手一つで子供を育てるには、かなりの
覚悟が必要だと思う

厳しさと、娘に対する申し訳なさが混ざっている
言葉のような気がするんだ

桜木「・・・・私は、父を恨むことで、母への恨みを
ぶつけていた気がします

今、社会人になって、あの人が私を育てることが
どれだけ大変だったのかは、薄々感じていました・・・。
それでも、傷ついた気持ちにあの言葉は辛かった

苦しかったんです

透明「そのことを、お父さんに伝えた

桜木「いいえ・・・どうせ取り合ってくれないし、
どこかで、お父さんも辛いのだと
思っていたから・・・

心が痛い

相手を想い合っている・・・。
透明「今からでも、遅くないんじゃない

桜木「えっ

透明「お父さん・・・君が頼ってくるの、待ってるよ

桜木「

透明「専門学校に受かった後、君はお父さんから
逃げるように家を出たよね

その生活費を稼ぐために働きながら
学校に通っていたけど、学費はお父さんが
払ってくれていたんじゃないのかな

桜木「は、はい・・・

透明「家を捨て、父を残して出ていった娘の学費を
黙って出してくれていた気持ち・・・。
今なら理解できるんじゃないかな

桜木「

気づいてくれたかな

桜木「わ、私・・・・お母さんと同じ・・・

透明「お父さんは、最後まで君の父親だよ

それが、母親がしてくれなかった、
親としての務めと感じているんじゃないかな

無骨で厳しい人だけど、君に不自由をかけた
罪滅ぼしともいえる行動だよね

桜木「わ、わたし


次回、ファイナル

桜木さんを救います


続く ・・・。







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