可破家の御啓・１５

可破家の御啓(かばかのごけい)・１５


透明「ま、まあ、話もまとまったことですし

　　　まずは賢木さんに向けて、神様が

　　　手を差し伸べようとしている内容を

　　　先にお話ししておきましょうか」

賢木「はい」


賢木さんも、陣に押し切られた形だから

まだ信仰というものが上手く掴めていないだろう

まぁ当たり前だが、そういったものを払拭

するためにも、まずは神託の本質を話してから

賢木さんを導くほうが良いかもしれないな


透明「さて、先程の話に戻りますが、

　　　賢木家はこのままでは破滅の道を進む

　　　ことになる

　　　これは、今の当主である賢木さんが

　　　関係しているということになります

　　　ですが、１つ間違えないで欲しいのは、

　　　この破滅は賢木さんの能力が足りていない

　　　というものではなく、実質的な問題が

　　　関わってきているようです」

賢木「えっ実質的な問題」

透明「賢木さん、今おいくつですか」

賢木「えっこ、今年で３４です」

透明「ご結婚は」

賢木「い、いえ、まだしていません・・・」

透明「お相手は・・・」

賢木「いません・・・」

透明「し、失礼しました

　　　実は神様の神託の一つに跡取り問題の

　　　文言が入っていたんです

　　　先程の神託の中にある北方というのは

　　　北の守り、北の守りは家内の守護を意味し

　　　それは奥様ということに繋がります

　　　つまり、これが賢木家の断絶に繋がり、

　　　破滅の道に繋がっているようです」

賢木「えっま、まさか、破滅って・・・。」

透明「跡取り問題です」

賢木「そ、そんなことが・・・」

透明「いえいえ

　　　これは非常に重要な問題なんです」

賢木「」

透明「賢木さんがもしご結婚をされて

　　　お子さんができたら、賢木さんの

　　　本当の才能が開花するはずなんです

　　　つまり先程お話した繁栄のルートから

　　　外れているというのは、賢木さんが

　　　家督を次世代に繋ぐ努力をせずにいる

　　　ということにもなります」

賢木「・・・・し、しかし

　　　・・・今の私では・・・」

透明「それも逆です」

賢木「えっ」

透明「もともと賢木家というのは、氏子として

　　　栄えてきた家系で、氏子としての役目を

　　　次世代に繋げて行くことで、神様からの

　　　恩恵を約束された家系なんです

　　　つまり、血を絶やさないことが一番大切な

　　　責務だったりするのだと思います

　　　そしてこれは先程、私が勝手に視せて

　　　いただいたことなのですが・・・。

　　　賢木さんには、神様からの加護が

　　　与えられていて、その加護の発動条件が

　　　「守るべき者を得ること」

　　　となっているので、全てが繋がっている

　　　と考えられます」

　陣「ちょ、ちょっと待って

　　　つまり、賢木さんが結婚して

　　　お子さんを持たないと、仕事も

　　　上手く行かなかったりするの」

透明「おっと言い方が悪かったね

　　　今の話だと、お子さんを持たないと

　　　賢木さんは仕事が上手く行かない

　　　ように聞こえてしまうね

　　　実はそうじゃなくて、その逆なんだよ」

　陣「えっ逆う～んと・・・

　　　・・・ど、どういうこと」



　　　　　　　　　　　続く・・・。

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